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判例時報 No.2086
             平成22年10月21日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

 


◆記事◆

米国テキサス州における消費者保護法制

――欺まん的取引慣行法(DTPA)について……西村真人

現代型取引をめぐる裁判例(264) ……升田純

海外刑法だより(305)フランスの参審制度(上) ……森下忠

◆判決録◆

行政

○平成二一年八月三〇日に行われた衆議院比例代表選出議員選挙の東京都選挙区における選挙は無効ではないとされた事例

(東京高判平22・2・3 )

民法

○右視床出血による左不全麻樺を発症して救急入院した患者が呼吸不全により死亡した場合、病院側の損害賠償責任が否定された事例

(東京高判平21・4・28)

〇左大腿部に熱傷を負った控訴人が’その原因は当時ズボンのポケットに収納していた携帯電話機の異常発熱であるとして、当該携帯電話機の製造業者に対し、製造物責任法三条又は民法七〇九条に基づき、損害賠償を請求したところ、請求を棄却した原判決を取り消し、請求が認容された事例

(仙台高判平22・4・2)

○総合病院において大腸がんの摘出手術後に患者に縫合不全が発症した場合、担当医師に適切な対処をしなかった過失があるとして、同医師及び病院の不法行為責任が認められた事例

(高松高判平22・2・25)

▽会社のメインバンクが会社の取引先に対して経営状態に関する情報を提供し又は説明する義務を負わないとされた事例

(東京地判平22・5・25)

▽愛知県青少年保護育成条例(昭和三六年愛知県条例第二二号)違反の罪(いわゆる淫行処罰規定)により逮捕、勾留、公訴提起され、その後、無罪判決が確定した場合において

一 同条例違反の被疑事実に基づく司法警察員の逮捕状請求及び逮捕状に基づく逮捕の違法性が肯定された事例

二 同条例違反の被疑事実に基づく検察官の勾留請求及び勾留状の執行の違法性が否定された事例

三 同条例違反の被疑事実について誤った前提により虚偽の自白を取得した検察官の取調べの違法性が肯定された事例

四 同条例違反の公訴事実に基づく検察官の公訴提起の違法性が肯定された事例

(名古屋地判平22・2・5)

▽一 道路運送車両法所定の法定整備等について、一年ごとに年間の請負代金額を定めて締結された点検整備請負契約が約一七年にわたって更新されてきた事情があっても、契約更新の打ち止めをすることが許されるとされた事例

二 債務者が製造し、債権者らに対して販売したトラックの法定整備等以外の点検、整備修理等の一般修理について、継続的な請負契約が黙示的に成立しているとされ、そのサービス供給の停止について正当な理由がないとして、当該契約上の地位の確認と当該サービス供給が命じられた事例

(京都地決平22・3・18)

▽町発注の公共工事の指名競争入札につき、町長が選挙の報復として、入札指名資格を有する建設業者への指名をしなかったことに違法性があるとして、町に対する損害賠償請求が認容された事例(青森地判平22・4・16)

知的財産権

○小売業者が「elle et ells/エルエエル」等の表示の下に婦人用下着を陳列販売し、婦人用下着の広告について右表示をしたことは、「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品とする「elle et ells」の本件商標の使用に当たる

(知的財産高判平21・11・26)

〇一 観音像の体内や足ほぞに制作者の一人として氏名が墨書されていても、証拠関係からみて観音像の制作作業に創作的な関与をしておらず、著作権法一四条の推定は覆されるとして、共同著作者であることが否定された事例

二 観音像の仏頭部をすげ替えた行為が、同一性保持権を侵害するものであり、「やむを得ないと認められる改変」に当たらないとされた事例

三 著作者の死後に、観音像の仏頭部をすげ替えた行為が、死亡した著作者の名誉・声望を害すべき行為であると認められた事例

四 著作権法一一五条の「名誉若しくは声望を回復するために適当な措置」として事実経緯を記載した広告文を新聞に掲載することが命じられた事例

(知的財産高判平22・3・25)

商事

▽会社分割に伴い飲食店の直営事業を承継した会社が当該店舗の名称を引き続き使用している場合における会社法二二条一項類推適用の可否(積極)

(東京地判平22・7・9)

労働

〇卒業式等での国歌斉唱の際に不起立であった都立高校の元教職員等に対する再雇用の不合格は、教育委員会の裁量権の著しい濫用ないし逸脱に当たらないとされた事例

(東京高判平22・1・28)

◆最高裁判例要旨(平成二二年六月分

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