判例時報 No.2085
平成22年10月11日 号 定価:円
(本体価格:円+10%税)
◆ 記事◆
許可抗告事件の実情――平成二一年度……綿引万里子 宮城保
現代型取引をめぐる裁判例(263)……升田純
◆判例特報◆
一 老齢加算の廃止等を内容とする生活保護基準の改定及びこれに基づいて老齢加算を減額した保護変更決定が生活保護法五六条、八条及び九条並びに憲法二五条に違反しないとされた事例(①事件)
二 老齢加算の廃止等を内容とする生活保護基準の改定及びこれに基づいて老齢加算を減額した保護変更決定が生活保護法五六条に違反するとして、同決定が取り消された事例(②事件)
――生活保護老齢加算廃止訴訟(東京・福岡)控訴審判決
(①東京高判平22・5・27、②福岡高判平22・6・14)
◆判決録◆
○総務大臣がNHKに対してした平成一九年改正前の放送法に基づく国際放送実施命令等及び同改正後の放送法に基づく国際放送実施要請により、控訴人(1審原告)らの知る権利、情報を受領する権利等が侵害されたことを理由とする’国に対する国家賠償請求及びNHKに対する損害賠償請求が、いずれも棄却された事例
(大阪高判平22・1・29)
◎医療法人の定款に当該法人の解散時にはその残余財産を払込出資額に応じて分配する旨の規定がある場合における、同定款中の退社した社員はその出資額に応じて返還を請求することができる旨の規定の解釈
(最一判平22・4・8)
〇一 政治資金規正法上の団体に金員を寄附する行為又は実質的に金員の支出と同視できる行為と行政書士会の目的の範囲
二 行政書士会の政治資金規正法上の団体に対する支出行為の効力と行政書士の行政書士会に対する会費支払義務を定める会則の帰すう
三 行政書士会及び日本行政書士政治連盟県支部が同支部への入会を拒絶する行政書士に対して入会を強要した行為が不法行為に当たるとされた事例
(大阪高判20・1・12)
▽日本の法律事務所がフィリピンのNGO法人との間で締結したフィリピン人と日本人の混血児の調査に関して法律事務の協力及びその活動資金の提供を行う旨の契約について、被告の片務的な契約であり、信頼関係の維持が困難となる事情が生じた場合には解約できるとされた事例
(東京地判平22・3・12)
▽司法警察員作成の送致書の「犯罪事実」の記載部分に対する文書提出命令の申立てが認容
された事例
(名古屋地決平21・9・8)
▽貸金等根保証契約における極度額「元本(一〇〇万円以下)に利息及び遅延損害金を付加した額」とする定めは民法四六五条の二第一項の「極度額」の定めに当たらないとされた事例
(熊本地判平21・11・24)
○名称を「呼吸装置」とする発明において、解決課題の相違、作用及び機能の相違等により、引用発明に公知技術を適用することができないとして、審決の進歩性の判断に誤りがあったとされた事例
(知的財産高判平21・12・22)
▽撮影者である著作権者に無断で編集・作成されたDVDが一〇〇円均一ショップにおいて廉価で販売されたことによる著作権法一一四条三項に基づ-著作権料相当額の損害額につき、被告による販売額ではなく、同種のDVDの通常の販売価格を考慮して損害額が算定された事例――SLDVD事件第一審判決
(東京地判平22・4・21)
▽いわゆる免責事由として「道路交通法六五条一項に定める酒気帯び運転もしくはこれに相当する状態で被保険自動車を運転している場合に生じた損害に対しては保険金を支払わない」旨を規定した保険約款の解釈
(大阪地判平21・5・18)
◎一 労働審判に対し適法な異議の申立てがあったため訴訟に移行した場合において、当該労働審判は民訴法二三条一項六号にいう「前審の裁判」に当たるか
二 統括事業部長を兼務する取締役の地位にある従業員に対して会社がした普通解雇が、当該従業員に対する不法行為を構成するとはいえないとされた事例
(最三判平22・5・25)