判例時報 No.2084
平成22年10月1日 号 定価:円
(本体価格:円+10%税)
◆判決録◆
◎市立学校の教職員の評価・育成制度の下で教職員が作成した自己串告票中の設定目標、達成状況等に係る各欄に記載された情報及び校長が作成した評価・育成シート中の当該教職員の評価、育成方針等に係る各欄に記載された情報が、茨木市情報公開条例(平成一五年茨木市条例第三五号)七条六号柱書き及び同号エ所定の非公開情報に当たるとされた事例
(最一判平22・2・25)
◎一 継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り
返され、同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合における利息制限法一条一項にいう「元本」の額
二 継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合において、上記取引の過程におけるある借入れの時点で従前の借入金残元本と新たな借入金との合計額が利息制限法一条一項所定の各区分における下限額を下回るに至ったときに、上記取引に適用される制限利率
(最三判平22・4・20)
◎金属工作機械部分品の製造等を業とするⅩ会社を退職後の競業避止義務に関する特約等の定めなく退職した従業員において、別会社を事業主体として、Ⅹ会社と同種の事業を営み、その取引先から継続的に仕事を受注した行為が、Ⅹ会社に対する不法行為に当たらないとされた事例
(最一判平22・3・25)
〇金融機関を当事者とする民事訴訟手続の中で、当該金融機関が所持する自己査定資料につき、文書提出命令が申し立てられた場合において、顧客の財務状況・業務状況に対する分析評価情報のうち信周管理リスク・自己査定ノウハウに関わる部分は保護に値する職業上の秘密として、文書提出義務を免れるとされた事例(東京高決平22・2・26)
▽上告審の審理において被上告人代理人らによる上告人代理人に対する名誉・信用穀損の共謀による共同不法行為責任が肯定された事例
(東京地判平22・5・27)
▽パチンコの打ち子募集及び攻略法に関する雑誌広告を見て広告主に連絡を取り、詐欺被害に遭った原告に対して、雑誌発行社及び広告代理店が過失による不法行為責任を負うと判断された事例
(大阪地判平22・5・12)
〇一 いわゆるラミネート式ラベルライターに関する職務発明の対価を請求する訴訟において請求が認容された事例
二 平成一六年法律第七九号による改正前の特許法三五条三項に基づく相当の対価の支払を受ける権利は、権利を行使することができる時から一〇年の経過によって消滅する
――ブラザー工業事件控訴審判決
(知的財産高判平21・6・25)
○元労働者が退職後労働組合に加入し、その後結成された分会から、使用者に対し、元労働者が使用者の業務に従事した際に石綿を吸引したことに起因して健康被害が発生している可能性があるなどとして団体交渉を求めた場合において、使用者に団体交渉義務があるとされた事例
(大阪高判平21・12・22)
▽一 犯人性が争点となった事案において、再審で無罪が言い渡された事例
二DNA型鑑定(MCTI18法)の証拠能力が否定された事例
――足利事件再審無罪判決(宇都宮地判平22・3・26)
六〇 品川区議会における会派が交付を受けて視察旅行等の経費に充てた政務調査費の使途制限違反を問題とする住民監査請求に係る監査に際し、監査委員が同会派から任意に提出を受けた文書に記録された政務調査活動の目的や内容等に係る情報が、品川区情報公開・個人情報保護条例(平成九年品川区条例第二五号)八条六号ア所定の非公開情報に当たるとされた事例
(最一判平21・12・17)……青木淳一
六一 期限の利益喪失特約の下での制限超過利息の受領と民法七〇四条の「悪意の受益者」との推定――同特約に基づく制限超過利息の支払の任意性を否定した最高裁判所判決の言渡し日以前にされた制限超過部分の支払につき、貸金業者が同特約の下でこれを受領したことのみを理由として、当該貸金業者を民法七〇四条の「悪意の受益者」と推定することができるか
(最二判平21・7・10)……川角由和
六二 チョコレート等を指定商品とする、四種類の魚介類の形を表した板状のチョコレートの形状についての立体商標の登録出願について、商標法三条一項三号に該当するとして拒絶すべきものとした審決が取り消された事例
(知的財産高判平20・6・30)……土肥一史
六三 農業協同組合監事の任務憐怠の認定方法
(最二判平21・11・27)……山田泰弘
六四 株主総会決議を経ることなく退任取締役に支給された退職慰労金相当額の金員についての不当利得返還請求と信義則由権利濫用
(最二判平21・12・18)……伊藤靖史
六五 特定の種類の商品先物取引について差玉向かいを行っている商品取引員が委託者に対して負う説明義務および通知義務(最一判平21・7・16)……志谷匡史