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判例時報 No.2078
             平成22年8月1日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

 


◆判決録◆

行政

◎名古屋市議会の会派が市から交付された政務調査費を所属議員に支出する際に各議員から諸経費と使途基準中の経費の項目等との対応関係を示す文書として提出を受けた報告書及びこれに添付された領収書が民訴法二二〇条四号二所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるとされた事例

(最二決平22・4・12)

◎ホステスの業務に関する報酬の額が一定の期間ごとに計算されて支払われている場合における、所得税法施行令三二二条にいう「当該支払金額の計算期間の日数」の意義

(最三判平22・3・2)

民事

◎債務者の破産手続開始の決定後に物上保証人が複数の被担保債権のうちの一部の債権につきその全額を弁済した場合に、債権者が破産手続において上記弁済に係る債権を行使することの可否

(最三判平22・3・16)

◎複数の債権の全部を消滅させるに足りない弁済を受けた債権者が、特約に基づく充当指定権を行使することが許されないとされた事例

(最三判平22・3・16)

◎一 甲乙の共有に属する不動産につき甲乙丙を共有者とする所有権保存登記がされている場合における、甲の丙に対する上記登記のうち丙の持分に関する部分の抹消登記手続請求は、更正登記手続を求める趣旨を含むか

二 甲乙の共有に属する不動産につき甲乙丙を共有者とする所有権保存登記がされている場合に甲が丙に対して上記登記の更正登記手続を求めることができる範囲

(最三判平22・4・20)

○上場会社の社債の購入者が同社の経常破綻により損失を被った場合、同社債の競売に当たった証券会社の説明義務違反に基づく損害賠償責任が認められた事例

(東京高判平21・4・6)

○建物の転借人甲の転貸人兼賃借人乙に預け入れた敷金が乙の賃貸人丙に預け入れた敷金に充てられていた場合において乙の再に対する敷金返還帯求権を甲の乙に対する信託財産とする甲と乙との間の信託契約の成立が否定された事例

(大阪高判20・9・24)

▽発電所の建設工事の下請会社の従業員の感電災害事故について、注文者の安全配慮義務違反の責任が否定された事例

(東京地判平22・3・19)

▽公職選挙法違反(酒食供与)の被疑者の任意同行、取調べ、弁護人との接見内容の聴取がいずれも適法であるとして、被疑者の国家賠償請求が棄却された事例(京都地判平22・3・24)

▽警察官が交通事故の実況見分現場で作成した事故メモが民事訴訟法二二〇条四号ロ所定の文書に該当しないとされた事例

(岡山地決平22・3・8)

▽外食店経営会社の支店長が、長時間勤務による過労蓄積により就寝中に心室細動を発症し完全麻痺による意識不明の状態となったことにつき、会社に安全配慮義務違反による損害賠償責任があるとされた事例

(虎児島地判平22・2・16)

知的財産権

○発明の名称を「弾性ラミネート構造体とその製造方法」とする発明に係る特許出願についてされた拒絶査定不服審判請求を成り立たないとした審決が維持された事例

(知的財産高判平21・9・29)

▽一 特許出願における先願たる地位の存否については特許庁が第一次的な判断権を有しており、その判断は同一事実に係る裁判所の判断に拘束されることはないなどとして、先願たる地位を有しないことの確認を求める利益がないとされた事例

二 マウス抗体とヒト化抗体に関する発明について、特定の条件下で必ず希望する抗体が得られるというものではないことを考慮して共同発明者間の発明完成への貢献度の割合が判断された事例

(大阪地判平21・10・8)

▽一 共同発明者の一人を発明者として記載しないまま特許出願を行う行為が、その者の発明者としての名誉を侵害するものであるとされた事例

二 共同発明者の一人を発明者とせずに使用者に届出を行った行為が、不法行為として

の違法性を有する行為であるとされた事例

(大阪地判平22・2・18)

◎株主総会の決議を経て内規に従い支給されることとなった会社法三六一条一項にいう取締役の報酬等に当たる退職慰労年金につき、集団的、画一的な処理が制度上要請されているという理由のみから、内規の廃止により未支給の退職慰労年金債権を失わせることの可否

(最三判平22・3・16)

労働

○外資系旅行代埋会社のファイナンシャル・コントローラーが会社から使用を許されていないディレクターの肩書を用いて手紙やEメールを作成し、自分が私的に関心を持った事業案件について、あたかも会社がその案件に関心を持っているように装い、繰り返し会社の実績・信用を利用して情報提供を求め、案件への参画を実現しょうとしたことは、職務上の地位を利周して自己の利益を図ったものということができ、懲戒解雇が相当であるとされた事例

(東京高判平22・1・20)

最新判例批評

四八 鞆の浦埋立免許差止め事件第一審判決

(広島地判平21・10・1)……山下竜

四九 貸金業者が借主に貸金の支払を請求し借主から弁済を受ける行為が不法行為を構成する場合

(最二判平21・9 ・4) ……大西邦弘- 1-9

五〇 民事再生手続が開始された主債務者に代わって保証債務を履行し、再生債権となる求償権を取得した保証人が、民法五〇一条に基づいて代位取得した共益債権たる原債権を、民事再生手続外で行使することの可否(消極)

(大阪地判平21・9 ・4) …… 上原敏夫

五一 公共工事の前払金にかかる預金払戻請求権と貸付債権との相殺の可否

(名古屋高金沢支判平21・7・22)……長谷川貞之

五二 ダイエット法に関する雑誌記事中に、芸能人の肖像写真を使用したことがパブリシティ権侵害にあたらないとした事例

(知的財産高判平21・8・27) …… 奥邨弘司

五三 県立病院の産婦人科に勤務する医師が従事した宿日直勤務に対する時間外・休日・深夜労働の割増賃金の支払請求が認容された例

(奈良地判平21・4・2) ・・・・・・吉田美喜夫

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