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判例時報 No.2075
             平成22年7月1日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

判例特報 一 平成二一年八月三〇日に施行された衆議院議員総選挙の小選挙区大阪府第九区における選挙について、選挙区割りを定める規定が憲法上の投票価値の平等原則に違反するため違法であると認められ、事情判決の法理により、選挙無 […]


判例特報

一 平成二一年八月三〇日に施行された衆議院議員総選挙の小選挙区大阪府第九区における選挙について、選挙区割りを定める規定が憲法上の投票価値の平等原則に違反するため違法であると認められ、事情判決の法理により、選挙無効請求は棄却されたが、選挙が違法である旨の宣言が付された事例(①事件)

二 平成二1年八月三〇日に施行された衆議院議員総選挙の小選挙区広島県第一区における選挙について、選挙区割りを定める規定は憲法上の投票価値の平等原則に違反するため違法であると認められ、事情判決の法理により、選挙無効請求は棄却されたが、選挙が違法である旨の宣言が付された事例(②事件)

(①大阪高判平21・12・28、②広島高判平22・1.25)

行政

◎一 県が施行する道路事業の用地として所有地を買い取られたことに伴い、県から同土地上に存する所有建物を移転することに対する補償金の支払を受けた個人が、当該建物を第三者に譲渡して右土地外に曳行移転させた場合において、右補償金のうちに右曳行移転の費箱に充てられた金額があるときは、当該金額について所得税法四四条の適用を受けるか

二 県が施行する道路事業の用地として所有地を買い取られたことに伴い、県から同土地上に存する所有建物を移転することに対する補償金の支払を受けた個人が、当該建物を第三者に譲渡して右土地外に曳行移転させた場合において、右補償金が「公共用地の取得に伴う損失補償基準細則」(昭和三八年三月七日用地対策連絡会決定)所定の再築工法によった場合の建物の移転料の算定方法に準ずる方法で算定されたものであり、かつ、右の建物譲渡が個人に対する無償の譲渡であるときは、右補償金の金額で右曳行移転の費用に充てられた金額以外の金額のうちに所得税法四四条又は租税特別措置法(平成一六年法律第一四号による改正前のもの)三三条一項の適用を受ける金額があるか

(最三判平22・3・30)

民事

◎金の商品先物取引の委託契約において将来の金の価格は消費者契約法四条二項本文にいう「重要事項」に当たるか(最三判平22・3・30)

○新生児に脳性麻痔による重度の後遺障害が残った場合、担当医師に過失がなかったとして、同医師と病院側の不法行為責任が認められなかった事例(東京高判平21・5・13)

○破産会社の受注した公共工事に係る報酬の前払金を預け入れた預金債権を受働債権とし、破産会社に対する債権を自働債権として破産手続開始後に金融機関のした相殺が破産法七

一条一項一号の制限に抵触しないで有効とされた事例(福岡高判平21・4・10)

▽一 異議なき再生債権として再生債権者表に記載された債権と同一の債権を共益債権と主張してその支払を求める訴えが既判力に抵触する不適法なものとはいえないとされ

た事例

二 下請会社と再生手続開始決定を受けた元請会社との問の建築工事請負契約が再生手続開始の時に双方末履行であるとして再生債務者である元請会社による契約解除が認められた事例

(東京地判平21・10・30)

▽高速道路に路面凍結が発生していても、路面凍結の注意を発し、凍結防止剤の散布を実施すれば、入路閉鎖しな-ても、道路の設置又は管理に瑕疵がないとされた事例

(大阪地判平20・12・8)

▽日本野球機構及び一二球団が、私設応援団員に対してなした入場券の販売拒否対象者指定は、無効違法であるとして、指定の無効確認請求及び被指定者の損害賠償請求が認容された事例

(名古屋地判平22・1・28)

▽債務整理事件を受任した公設事務所の弁護士が委任事務の経過等に関する説明義務に違反したとして債務不履行に基づく損害賠償請求が一部認容された事例

(鹿児島地名瀬支判平22・3・23)

知的財産権

○指定商品を「化粧品」とする片仮名「ラブコスメ」の本件商標が、欧文字「Love」又は片仮名「ラブ」等から表記される六つの各引用商標と類似するとした審決が取り消された事例

(知的財産高判平21・4・27)

○指定商品を「化粧品」とし、「ラブコスメティック」の文字から成る商標が「ラブ」の文字から成る商標と類似するとされた事例(知的財産高判平21・7・16)

〇一 性的な用途に使用する化粧品に使用される「ラブコスメティック」などの文字で成

る商標は、指定商品を「化粧品」とする「ラブ」などの文字で成る商標とは類似しないとされた事例

二 性的な用途に使周する化粧品に使用される「ラブコスメ」などの文字で成る商標は、指定商品を「化粧品」とする「ラブ」などの文字で成る商標とは須似しないとされた事例

(大阪高判平20・11・7)

商亊

○株会社の取締役に任用されたこともなく、取締役としての職務を執行したこともない者の取締役報酬の請求につき、その実質は、会社の管理する不動産の収益の分配であるとの性格を免れないとして、これが認容された事例(大阪高判平21・3・12)

労働

▽原発性肺がんに雁患したことが、長期間にわたり労働者として電気配線工事に従事していた際に石綿ばく露を受けてきたことが原因であるとして、労働基準監督署長が行った、右労働者であった期間の後の特別加入期間に係る労災保険関係に基づく休業補償給付の支給決定が取消された事例

(横浜地判平21・7・30)

刑事

◎一 インターネットの個人利周者による名誉穀損と摘示事実を真実と誤信したことについての相当の理由

二 インターネットの個人利周者による名誉穀損行為につき、摘示事実を真実と誤信したことについて相当の理由がないとされた事例

(最一決平22・3・15)

最新判例批評

四〇 枚方市非常勤職員特別報酬返還措置請求住民訴訟第一審判決

(大阪地判平20・10・31 )……駒林 良則

四一 確定申告における所得税額控除金額の過少記載を理由とする更正の請求の可否

(最二判平21・7・10)……望月 爾

四二地方公共団体が金融機関と締結した損失補償契約と財政援助制限法が禁止する「保証契約」

(東京地判平21・9・10)……吉田 光碩

四三 定期建物賃貸借契約の終了に当たり、賃貸人が契約期間満了後に借地借家法三八条四項の通知をした場合でも、通知の日から六か月を経過した後は契約の終了を賃借人に対抗できるとされた事例

(東京地判平21・3・19)……吉田克己

四四 半田市のビジネスホテル耐震強度偽装損害賠償請求事件第1審判決

(名古屋地判平21・2・24)……小粥太郎

四五 一 担保不動産収益執行における担保不動産の収益に係る給付を求める権利の帰属

二 抵当不動産の賃借人が、担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた後に、抵当権設定登記の前に取得した賃貸人に対する債権を自働債権とし賃料債権を受働債権とする相殺をもって管理人に対抗することの可否

(最二判平21・7・3)……菱田雄郷

四六会社のリスク管理体制の整備に関し代表取締役の過失がないとされた事例

――日本システム技術事件上告審判決(最一判平21・7・9)……酒井太郎

四七 行使条件に違反する新株予約権の行使にもとづいて発行された新株について、新株発行の無効原因があると解された事例

(東京地判21・3・19)……片木晴彦

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