判例時報 No.2070
平成22年5月11日 号 定価:円
(本体価格:円+10%税)
◆記事◆ 小野博士「日本法理の自覚的展開」の再検討(中)……中山研一 現代型取引をめぐる裁判例(253) ……升田純 ◆判例特報◆ ① 一 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利周に供し […]
◆記事◆ 小野博士「日本法理の自覚的展開」の再検討(中)……中山研一 現代型取引をめぐる裁判例(253) ……升田純 ◆判例特報◆ ① 一 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利周に供し […]
◆記事◆
小野博士「日本法理の自覚的展開」の再検討(中)……中山研一
現代型取引をめぐる裁判例(253) ……升田純
◆判例特報◆
① 一 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利周に供している行為が憲法八九条、二〇条一項後段に違反するとされた事例
二 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利用に供している行為が憲法の定める政教分離原則に違反し、市長において同施設の撤去及び土地明渡しを請求しないことが違法に財産の管理を怠るものであるとして、市の住民が怠る事実の違法確認を求めている住民訴訟において、上記行為が違憲と判断される場合に、その違憲性を解消するための他の合理的で現実的な手段が存在するか否かについて審理判断せず、当事者に対し釈明権を行使しないまま、上記怠る事実を違法とした原審の判断に違法があるとされた事例
――砂川政教分離(空知太神社)訴訟上告審判決(最大判平22・1・20)
②市が町内会に対し無償で神社施設の敷地としての利用に供していた市有地を同町内会に譲与したことが憲法二〇条三項、八九条に違反しないとされた事例
――砂川政教分離(冨平神社)訴訟上告審判決(最大判平22・1・20)
◆判決録◆
◎内国法人によりチャネル諸島ガーンジーに設立された子会社において、〇%超三〇%以下の範囲で税務当局に申請し承認された税率が適用税率になるとの制度に基づき二六%の税率でガーンジーに納付した所得税が、法人税法(平成一三年法律第六号による改正前のもの、平成一四年法律第七九号による改正前のもの及び平成二一年法律第一三号による改正前のもの)六九条一項、法人税法施行令一四一条一項にいう外国法人税に該当しないとはいえないとされた事例
(最一判平21・12・3)
◎共有者の一人が共有不動産から生ずる賃料を全額自己の収入として所得税の額を過大に申告しこれを納付した場合における事務管理の成否
(最三判平22・1・19)
◎当直の看護師らが抑制具であるミトンを用いて入院中の患者の両上肢をベッドに拘束した行為が、診療契約上の義務に違反せず、不法行為法上達法ともいえないとされた事例(最三原動機付自転車と普通貨物自動車が衝突し原動機付自転車の運転者が死亡した事故について、普通貨物自動車の運転者に徐行義務違反及び適正進路保持義務違反の過失があるとして同運転手及びその使用者である会社に損害額の八五% (過失相殺一五%)の支払が命じられた事例
(大阪高判平21・7・26)
▽営業権譲渡代金の譲渡担保契約が公序良俗に反しないとされた事例
(東京地判平21・9・31)
▽相続税の申告に関する事務処理を受任した税理士の作成した申告書に、土地の評価が過少、相続財産の申告漏れ等の不備があったため、納税者が修正申告と過少申告加算税等の納付を余儀なくされたことにつき、税理士に善管注意義務違反の責任が認められた事例
(東京地判平21・9・25)
▽ごみ焼却施設の建設工事の発注が、受注業者の談合により高い請負金額で受注され損害を被ったとして求めた損害賠償につき、損害額が民訴法二四八条を適用して算出され認容された事例
(名古屋地判平21・8・7)
▽公職選挙法違反で逮捕・勾留され警察官により取調べを受けた際の警察官の言動に違法があるとして求めた国家賠償請求が棄却された事例
(京都地判平21・10・30)
▽一 根抵当権に基づ-競売手続停止の仮処分が故意による不法行為に該当するとされた事例
二 違法な競売手続停止の仮処分による損害として、下落した売却価格相当額及び売却代金の運用利益相当額の損害が認定された事例
(盛岡地判平20・9・2)
○発明の名称を「インクカートリッジおよびインクカートリッジホルダ」とする発明に係る特許出願についてされた拒絶査定不服審判請求を成り立たないとした審決が取り消された事例
(知的財産高判平21・9・1)
○発明の名称を「塵癌壊死因子―αおよび―βレセプター」とする特許発明について、薬事法に基づく承認処分の対象となった物と特許発明との相違点の判断に誤りがあるとして、存続期間の延長登録出願を拒絶する審決が取り消された事例
(知的財産高判平21・12・3)
○一 賠償責任保険契約において「生産物又は仕事の瑕疵に基づく生産物又は仕事の目的物の損害それ自体の賠償責任を負担することによって被保険者が被る損害についてはてん補しない」旨を規定した生産物特約条項が適用される場合
二 賠償責任保険契約において「被保険者と他人との間に損害賠償に関する特別の定めがある場合において、その約定によって加重された賠償責任を負担することによる被保険者の損害をてん補しない」旨を規定した普通保険約款が適用される範囲
(大阪高判平21・9・11)
▽不動産仲介業者の報酬請求につき、黙示的仲介契約の締結を認め、その報酬額につき国土交通省告示の報酬限度額の四〇パーセントが相当と判断された事例(横浜地判平21・11・27)
◎一 精神鑑定の意見の一部を採用した場合と責任能力の有無・程度の判断
二 責任能力の有無・程度について原判決の判断手法に誤りがないとされた事例
(最一決平21・12・8)
◎一 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律二九条一項違反の罪(補助金等不正受交付罪)の成立範囲及びその判断方法
二 保管又は処分した国産牛肉の量に応じて交付される補助金につき、対象外の牛肉等を上乗せして補助金の交付を受けた場合、補助金等不正受交付罪は、交付を受けた補助金全額ではなく、上乗せした牛肉に係る受交付額について成立するとされた事例
(最二決平21・9・15)