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判例時報 No.2069
             平成22年5月1日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

◆判決録◆ 行政 ◎東京都建築安全条例(昭和二五年東京都条例第八九号)四条三項に基づく安全認定が行われた上で建築確認がされている場合に、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することの可否(最一判平21・12・1 […]


◆判決録◆

行政

◎東京都建築安全条例(昭和二五年東京都条例第八九号)四条三項に基づく安全認定が行われた上で建築確認がされている場合に、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することの可否(最一判平21・12・17)

◎固定資産評価基準(昭和三八年自治省告示第一五八号。平成一二年自治省告示第二一七号による改正前のもの)及び市の評価要領に基づき宅地の価格に比準する方法によって決定された市街化区域内の農地等の価格につき、当該区域が市街化区域としての実態を有していないことのみを理由として上記価格が適正な時価を上回るとした原審の判断に違法があるとされた事例(最二判平21・6・5)

民事

◎団地建物所有者全員で構成されるマンション管理組合の総会決議により行われた自ら専有部分に居住しない組合員が組合費に加えて住民活動協力金を負担すべきものとする旨の規約の変更が、建物の区分所有等に関する法律六六条、三一条一項後段にいう「一部の団地建物所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきとき」に当たらないとされた事例(最三判平22・1・26)

◎期限の利益喪失特約の下での利息制限法所定の制限を超える利息の支払の任意性を否定した最高裁判所の判決の言渡し日以前にされた制限超過部分の支払について、貸金業者が同特約の下でこれを受領したことのみを理由として当該貸金業者を民法七〇四条の「悪意の受益者」と推定することの可否(①、②事件)

(① 最二判平21・7・10、② 最三判平21・7・14)

◎遺留分減殺請求を受けた受遺者が、民法一〇四一条所定の価額を弁償する旨の意思表示をしたが、目的物の現物返還請求も価額弁償請求も受けていない場合において、受遺者の提起した弁償すべき額の確定を求める訴えに確認の利益があるか(最二判平21・12・18)

○電車内における痴漢行為の申告について、虚偽申告であったと認められないとして、申告者に対する損害賠償請求が棄却された事例

(東京高判平21・11・26)

〇夫から妻に対する離婚等請求事件において夫婦共有財産であるマンションの夫持分につき清算的財産分与として夫に取得させた上で扶養的財産分与として妻に対し賃貸することを命ずるなどされた事例

(名古屋高判平21・5・28)

○控訴審において、確定判決のある前訴請求は一部請求であったと解されるので、その残部請求となる後訴請求が前訴判決の既判力に抵触することはないとして、後訴請求を棄却した第一審判決が取り消され、事件が第一審に差し戻された事例

(福岡高判平21・7・7)

▽坂道に停車していた自動車が、運転者の降車後、後退を開始し、これを追いかけた運転者が死亡した事案につき、自動車に製造物責任法三条の「欠陥」が存在したとの主張が排斥された事例(東京地判平21・10・21)

▽帝王切開により娩出された新生児に脳性麻痺による重大な後遺障害が残った場合、看護師に監視義務の違反があったとして、病院側の損害賠償責任が認められた事例

(名古屋地判平21・6・24)

▽急性胃腸炎との確定診断を受けた患者が絞扼性イレウスにより死亡したことについて、担当医師には、確定診断後の経過観察中にイレウスを疑わせる所見が見られたにもかかわらず確定診断を見直さず、検査を実施しなかった過失があり、検査を実施していれば開腹手術により患者を救命できたとして、医師及び病院の不法行為責任が認められた事例

(横浜地判平21・10・14)

知的財産権

○特許無効審判請求事件の係属中に複数の請求項に係る訂正請求がされた場合、その実質が特許無効審判請求に対する防御手段としての訂正は、訂正の対象となっている請求項ごとに個別にその許否を判断すべきであるとして、請求項ごとに訂正の許否の判断がされなかった審決が取り消された事例

(知的財産高判平21・9・3)

▽携帯用害虫防除装置についての発明に係る特許権の侵害訴訟において、当該発明が特許法二九条二項に違反する無効理由があるとして、原告の請求が棄却された事例

(東京地判平21・8・31)

商亊

〇一 株券電子化会社の株主総会において全部取得条項付種類株式の取得決議があったことに伴い反対株主が価格決定申立をする場合における個別株主通知の要否

二 株券電子化会社の株主総会において全部取得条項付種類株式の取得決議があったことに伴い反対株主が価格決定申立をする場合において、会社が個別株主通知の欠缺を主張することが信義則に反するとされた事例(東京高決平22・2・18)

▽取締役の解任事由は原則として当該取締役が取締役に就任した以後に存在するものでなければならないとして、取締役に選任される以前、かつて同社の代表取締役であった当時の不正行為を解任事由とする解任請求が棄却された事例(京都地宮津支判平21・9・25)

刑事

◎防衛庁調達実施本部副本部長等の職にあった者が、退職後に私企業の非常勤顧問となり顧問料として金員の供与を受けたことについて、事後収賄罪が成立するとされた事例

(最一決平21・3・16)

◎銀行の代表取締役頭取が、実質倒産状態にある融資先企業グループの各社に対し、客観性を持った再建・整理計画もないまま、赤字補てん資金等を実質無担保で追加融資したことが、特別背任罪における取締役としての任務違背に当たるとされた事例

―旧拓銀特別背任事件上告審決定(最三決平21・11・9)

◆最高裁判例要旨(平成二二年二月分)

最新判例批評

二四 市町村の施行に係る土地区画整理事業計画の決定が、行政事件訴訟法三条二項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たるとされた事例

(最大判平20・9・10)……大貫裕之

二五 指定確認検査機関に対する建築確認検査業務委託契約違反に基づく申請主による損害賠償請求の可否

(東京地判平21・5・27)……鎌野邦樹

二六 法人税の申告に際し、非課税となる特例制度を利用しなかったことにつき、税理士の損害賠償責任は認められたが、監査業務を行う監査法人の責任が否定された事例

(大阪地判平20・7・29)……石崎泰雄

二七 被害者を殺害した加害者が被害者の相続人において被害者の死亡の事実を知り得ない状況を殊更に作出したため相続人がその事実を知ることができなかった場合における上記殺害に係る不法行為に基づく損害賠償請求権と民法七二四条後段の除斥期間

(最三判21 ・4・28)……辻伸行

二八 税理士が、相続税の期限後納付後に依頼を受けた更正の請求を怠り、依頼者に対して還付を受けられなかった税額に相当する額を損害賠償として支払った場合における、税理士職業賠償責任保険の契約約款に規定する免責条項(平成一六年七月の改定後のもの)の適用の有無

(東京高判平21・1・29)…… 黒木松男

二九 指定受取人とその者の相続人となるべき者とが同時に死亡した場合における「保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人」(改正前商法六七六条二項)(①事件)、および、給付金受取人の確定方法を定める共済約款の規定にいう「相続人」(②事件)の意義

(①、②最三判平21・6・2)……岡田豊基

三〇 火災原因の調査、判定に関し特別の学識経験を有する私人が燃焼実験を行ってその考察結果を報告した書面について、刑訴法三二一条三項は準用できないが’同条四項の書面に準じて同項により証拠能力が認められるとされた事例

(最二決平20・8・27)…… 高橋直哉

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