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判例時報 No.2063
             平成22年3月1日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

◆判決録◆ 行政 ◎市の設置する特定の保育所を廃止する条例の制定行為が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとされた事例(最一判平21・11・26)   民事 ◎特別養護老人ホームの入所者に対して虐待行為が行われ […]


◆判決録◆

行政

◎市の設置する特定の保育所を廃止する条例の制定行為が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとされた事例(最一判平21・11・26)

民事

◎特別養護老人ホームの入所者に対して虐待行為が行われている旨の新聞記事が同施設の職員からの情報提供等を端緒として掲載されたことにつき、同施設を設置経営する法人が、複数の目撃供述等が存在していたにもかかわらず、虐待行為はなく前記の情報は虚偽であるとして同職員に対してした損害賠償請求訴訟の提起が、違法な行為とはいえないとされた事例(最二判平21・10・23)

○産業廃棄物の処分場の建設、使用、操業の差止請求が棄却された事例(東京高判平21・10・23)

○銀行預金の返還請求訴訟の訴訟委任について、返還請求者が意思能力を欠いていたとは認められないとして、その欠如を理由として訴えを却下した原判決を取り消し、返還請求者(預金者)の請求が認容された事例(福岡高判平21・5・21)

▽後退するタクシーの金属性ポールとの衝突事故について、乗客に傷害ないし後遺障害が発生したとは認められないとして、タクシー会社の損害賠償責任が否定された事例(東京地判平21・6・2)

▽第二次大戦の戦没者の遺族の靖国神社に対する合祀取消請求及び靖国神社並びに国に対する損害賠償請求が棄却された事例(大阪地判平21・2・26)

▽印刷会社の経理担当者が会社の資金を不正に流用していることを知りながら、通貨証拠金取引を行った外国為替証拠金取引業者の取締役個人の不法行為責任が認められた事例

(名古屋地判平21・4・24)

▽国に雇用され米海軍横須賀基地に勤務した従業員が、アスベスト粉じんを吸入し胸膜中皮腫に罹患し死亡したのは、国の安全配慮義務違反によるものとして、胃の損害賠償責任が認められた事例

(横浜地横須賀支判平21・7・6)

▽地方自治法上の一部事務組合が租税滞納者である債務者の賃金業者に対する過払金返還請求権を滞納処分によって差し押さえたうえで賃金業者にその支払を求めて提起した取立訴訟に係る請求が認容された事例

(津地判平21・10・22)

知的財産権

○ 「電話番号情報の自動作成装置」に係る発明について、被告が製造使用する装置はその技術的範囲に属しないとした原判決が取り消された事例

(知的財産高判平21・2・18)

〇米国カリフォルニア州製のギターを指定商品とする登録商標と同一の引周商標が同登録商標の出願時及び登録査定時のいずれの時点においても米国人又はその関係会社が製造するギターを表示するものとして需要者の間に広く認識されており商標法四条一項一〇号に該当するとされて、同登録商標に係る登録を無効とした審決が維持された事例

(知的財産高判平21・8・27)

商事

◎A銀行が、県から要請を受け、県において再建資金の融資を計画していたB社に対し、上記融資が実行されるまでのつなぎ融資をした後に、B社に追加融資をしてもその回収を容易に見込めない7万で、これをしなければB社が破綻、倒産する可能性が高く、上記つなぎ融資まで回収不能となるおそれがある状況の下で、B社に対して追加融資をした場合において、その追加融資の一部につき、これを決定したA銀行の取締役らに善管注意義務違反があるとされた事例

(最二判平21・11・27)

労働

○卒業式における国歌斉唱の際、起立を命じた職務命令に違反して戒告処分を受けた都教諭の再雇用職員選考における不合格には裁量権の逸脱、濫用はないとして、都の国家賠償責

任が否定された事例(東京高判平21・11・15)

刑事

◎一 刑訴法四〇三条の二第.項と憲法三二条

二 即決裁判手続の制度が虚偽の自白を誘発するか(最三判平21・7・14)

◎銃刀法違反被告事件につき、けん銃等所持の共謀が認められないとした第一審判決及びこれを是認した原判決に重大な事実誤認の疑いがあるとして破棄し、事件を第一審に差し戻した事例

(最二判平21・10・19)

最高裁判例要旨(平成二一年一二月分)

判例評論

一三 譲渡禁止特約に反して債権を譲渡した債権者が譲渡の無効を主張することの可否(最二判平21・3・27)……関武志

一四 過払金返還請求権の消滅時効は継続的な金銭消費貸借取引が終了した時から進行するとして、過払金返還請求及び過払金発生時からの民法七〇四条所定の利息の請求が認容された事例(最二判平21・7・17)……平田健治-1-8

一五 弁護士会の設置する人権擁護委員会が受刑者から人権救済の申立てを受け、同委員会所属の弁護士が調査の一環として他の受刑者との接見を申し入れた場合において、これを許さなかった刑務所長の措置に国家賠償法一条一項にいう違法がないとされた事例(最三判平20・4・15)……村岡啓一

一六 本願発明の進歩性を否定するためには、引用発明から本願発明の特徴点に到達できる試みをしたであろうという推測が成り立つのみでは十分ではなく、本願発明の特徴点に到達するためにしたはずであるという示唆等が引用例に存在することが必要であると述べた上、引用例には、本願発明の特徴に対する示唆等があるとはいえないと判示し、審決の判断には誤りがあるとして、これが取消された事例(知的財産高判平21・1・28 )…… 高島喜一

一七 平成一六年改正前証券取引法一七条所定の損害賠償責任の責任主体(最二判平20・2・15)……岸田雅雄

一八 使用者が給与及び賞与提示の前提となる決定やこれに基づく支払をしたとはいえず、賃金決定をしないという不作為を継続している場合には、労組法二七条二項の申立期間経過の問題は生じないとされた事例――国・中労委(松蔭学園)事件(東京地判平21・2・12)……古川陽二

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