判例時報 No.2058
平成22年1月11日 号 定価:845円
(本体価格:768円+10%税)
◆記事◆ 最高裁刑事破棄判決等の実情(下)――平成二〇年度……三浦透 現代型取引をめぐる裁判例(245)……升田純 ◆判決録◆ 行政 ○地方税法所定の救済手続を経ることなく地方税法による課税処分の違法を理由 […]
◆記事◆
最高裁刑事破棄判決等の実情(下)――平成二〇年度……三浦透
現代型取引をめぐる裁判例(245)……升田純
◆判決録◆
行政
○地方税法所定の救済手続を経ることなく地方税法による課税処分の違法を理由とする国家賠償請求をすることが許されるとされた事例
(名古屋高判平21・4・23)
▽韓国在住の被爆者が県知事に対して被爆者健康手帳の交付申請をした場合、身体的、経済的事情から来日することが著しく困難であり、本人確認や被爆事実確認の上被爆要件該当性が判断することができた場合には、申請者が来日しないことのみを理由とする却下処分は違法であるとして、却下処分が取り消された事例(長崎地判平20・11・10)
民事
◎町とその区域内に産業廃棄物処理施設を設置している産業廃棄物処分業者とが締結した公害防止協定における、上記施設の使用期限の定め及びその期限を超えて産業廃棄物の処分を行ってはならない旨の定めは、廃棄物処理法の趣旨に反するか(最二判平21・7・10)
◎貸金業者が借主に貸金の支払を請求し借主から弁済を受ける行為が不法行為を構成する場合
(最二判平21・9・4)
◎宗教法人の所有する土地の明渡しを求める訴えが、法律上の争訟に当たらず、不適法とされた事例(最三判平21・9・15)
〇公共工事の前払金保証事業に関する法律に基づいて福井県坂井市の発注した公共工事を受注した建設会社が前払金を金融機関に別口普通預金として預け入れていたところ、建設会社が破産した場合に、破産会社の破産管財人の前記別口普通預金の払戻しに対して金融機関は相殺をもって対抗できないとされた事例
(名古屋高金沢支判平21・7・22)
▽医療機関担当者において、包茎手術及びこれに付随する亀頭コラーゲン注入術を受けた者に対し、亀頭コラーゲン注入術が医学的に一般に承認された術式ではないことを告げなかったことが’消費者契約法四条二項に規定する不利益事実の不告知に該当するとして、同
項に基づき、当該手術代金に関する立替払契約の取消しが認められた事例
(東京地判平21・6・19)
▽国の機関が裁判所による調査嘱託に回答しなかった場合につき、調査嘱託の申立人に対する関係で法的な義務が否定された事例(東京地判平21・6・19)
▽市が幹部職員に対して行った「政党機関紙の購読勧誘に関する調査」により同職員の人格権等が侵害されたとして、市に対して求めた国家賠償が棄却された事例(横浜地川崎支判平21・1・27 )
知的財産権
○特許権存続期間の延長登録がされた期間のうち、データ収集のために米置臨床試験に係る期間(一年八月二三日)について、薬事法一四条一項の承認等を受けることが必要であるために、その特許発明の実施をすることができない期間(特許法六七条二項)に該当しないとされた事例(知的財産高判平21・10・28)
商事
▽賃借中の無人倉庫に保管中の商品が当該倉庫が焼損する火災によって損害を受けたとして店舗総合保険契約に基づく火災保険金の支払を求める保険契約者の請求が損害保険会社の故意免責などの主張が排斥されて認容された事例(山口地下関支判平21・2・18)
労働
▽労働組合の街宣活動につき、本社付近での街宣活動は労働組合の正当な団体活動として違法性が阻却されるとしたが、会社社長自宅付近での街宣活動は違法であるとされた事例(東京地判平21・2・20)
最高裁判例要旨(平成二一年一〇月分