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判例時報 No.2057 〔判例評論 No.611〕
             平成22年1月1日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

◆判決録◆ 行政 ◎凶悪重大犯罪等に係る出所情報ファイルの有効活用等を要請する警察庁から県警察本部長あての通達文書に記録された情報のうち、同ファイルの記録対象者を限定する入所罪名及び出所事由の種別並びに同ファイルの活用方 […]


◆判決録◆

行政

◎凶悪重大犯罪等に係る出所情報ファイルの有効活用等を要請する警察庁から県警察本部長あての通達文書に記録された情報のうち、同ファイルの記録対象者を限定する入所罪名及び出所事由の種別並びに同ファイルの活用方法に係る情報が、新潟県情報公開条例(平成一三年新潟県条例第五七号)七条四号所定の非公開情報に当たるとされた事例(最一判平21・7・9)

〇一 市立保育所の廃止を定める改正条例の制定行為が行政処分に当らないとして、その処分取消請求訴訟が却下された事例

二 民営化を前提とする市立保育所の廃止を定める改正条例の制定行為等に国家賠償法一条一項の違法性があるといえないとされた事例(東京高判平21・1・29)

民事

◎一 担保不動産収益執行における担保不動産の収益に係る給付を求める権利の帰属

二 抵当不動産の賃借人が、担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた後に、抵当権設定登記の前に取得した賃貸人に対する債権を自働債権とし賃料債権を受働債権とする相殺をもって管理人に対抗することの可否

(最二判平21・7・3)

〇著名な経済人に関する週刊誌の記事、表紙、広告がいずれも名誉穀損に当たらないとされた事例

(東京高判平21・7・15)

○太平洋戦争末期に沖縄諸島で発生したいわゆる「集団自決」について記述した書籍の出版社及び著者に対して求めた損害賠償請求及び出版差止め等の請求を棄却した第一審判決が控訴審において是認された事例

――沖縄集団自決出版差止等訴訟控訴審判決(大阪高判平20・10・31)

▽土地の売買による所有権移転登記手続を受任した司法書士が売主本人につき誤った確認情報を買主に提供したことによる売買代金相当額等の損害の不法行為責任が肯定された事例

(東京地判平20・1・27)

▽いわゆるアパートの上下階騒音について、下階の住人による騒音が受忍限度を超える騒音であるとして、上階の住人からの損害賠償請求が一部認められた事例(東京地判平21・10・29)

▽高校の校長の生徒に対する退学処分が、その裁量権の範囲を逸脱した違法なものであるとして、当該学校法人に対する損害賠償請求が認容された事例

(大阪地判平20・9・25)

▽暴力団事務所の建物の近隣居住者らが、暴力団に対してその使用禁止を求める仮処分命令の申立てが認容された事例(福岡地久留米支決平21・3・27)

知的財産権

○毛筆様の独特な書体で害した「PE’Z」と表記された文字から成る商標(本件商標)について、ジャズバンド「PE’Z」の活動状況等から「ペズ」の称呼のみが生じ、「ジャズバンドのペズ」の観念が生じ、「P」「E」「Z」の三文字から成る商標(引用商標)とは非類似であると判断された事例(知的財産高判平21・7・21)

商事

▽自動車総合保険契約の被保険自動車が第三者により傷つけられたとして求めた保険金請求につき、第三者による損傷事故の可能性は低く、保険者が惹起した可能性が高く、保険者の故意が推定されるとして請求が棄却された事例(千葉地判平20・12・22)

労働

▽一 人事部長による組合脱退懲摘心行為が不当労働行為に当たるとされた事例

二 雇用契約期間満了時までに契約更新手続に応じなかった組合員に対する雇止めが、不当労働行為に当たらないとされた事例

三 雇用契約期間の満了した組合員の雇用契約上の地位に関する組合からの団体交渉申

入れに対する対応が、不当労働行為に当たるとされた事例(東京地判平20・10・8)

刑事

○再審請求棄却決定に対する抗告審において、DNA型鑑定を実施し、その結果によれば、申立人が殺人等の事件の犯人ではない可能性が高く、無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したときに該当するとして、原決定が取り消され、再審開始決定がなされた事

――足利事件再審請求即時抗告審決定(東京高決平21・6・23)

最新判例批評

一 独立行政法人都市再生機構が施行する第一種都市再開発事業に係る施行規程及び事業計画の変更で新たな施行地区の編入を伴わないものについて国土交通大臣がした認可と抗告訴訟の対象(東京地判平20・12・25) ……小林博志

二 未登記の根抵当権者による再生債務者に対する根抵当権設定登記請求の可否(大阪地判平20・l0・31) ……高田賢治

三 一 同時期頃に、共に類似の商標等の使用を開始したX、Y間において、先に登録を受けたY商標登録に対する、Ⅹ請求に係る商標法四条一項七号、同一五号違反を理由とした無効審判の不成立審決が支持された事例

二 旧会社の事業等を何ら承継しないXが、旧会社が潜在的に有する周知性を利用しようとして正当な承継人であるが如-表示して商号や商標を使用した場合は、使用者Xの出所を示すものとして周知・著名性を有するに至っていたとは言えないと解された事例

三 右のように、使用者Xの出所を示すものとして周知。著名性を有するに至っていたとは言えない以上、同様の第三者Yが登録出願をしても、その類似商標に係るXのビジネスを妨害するものとは言えないとされた事例(知的財産高判平21・2・25)……工藤莞司

四 共同相続人が相続し、共有状態にある株式に関する権利行使者の定め、株主総会における議決権の行使が権利の濫用に当たり、許されないとされた事例(大阪高判平20・11・28)……河内隆史

五 株主代表訴訟の対象となる商法(平成一七年法律八七号による改正前のもの)二六七条一項にいう「取締役ノ責任」には、取締役が会社との取引によって負担することになった債務についての責任も含まれるか(最三判平21・3・10) ……藤原俊雄

六 被告人が、自らの暴行により相手方の攻撃を招き、これに対する反撃としてした傷害行為について、正当防衛が否定された事例(最二決平20・5・20)…… 明照博章

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