バックナンバー

判例時報 No.2056
             平成21年12月21日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

◆記事◆ 最高裁刑事破棄判決等の実情(中)――平成二〇年度……三浦透 先輩から聞いた話(七・終)――倉田卓次さん……渋川満 現代型取引をめぐる裁判例(244)……升田純 海外刑法だより(295) 内部告発の権利と義務…… […]


◆記事◆

最高裁刑事破棄判決等の実情(中)――平成二〇年度……三浦透

先輩から聞いた話(七・終)――倉田卓次さん……渋川満

現代型取引をめぐる裁判例(244)……升田純

海外刑法だより(295) 内部告発の権利と義務……森下忠

◆ 判決録◆

行政

◎法人税の確定申告において、法人税法(平成一五年法律第八号による改正前のもの)六八条一項に基づき配当等に係る所得税額を控除するに当たり、計算を誤ったために控除を受けるべき金額を過少に記載したとしてされた更正の請求が、法人税法六八条三項の趣旨に反するということはできず、国税通則法二三条一項一号所定の要件を満たすとされた事例

(最二判平21・7・10)

○旧軍人として戦病死した亡夫が無断でした協議離婚の届出により亡夫の戸籍から除籍されていた妻の旧恩給法七二条一項の「遺族」としての恩給(公務扶助料)の受給権は、離婚無効の判決が確定して戸籍の訂正がされるまでの間、その権利の行使について法律上の障害があり、時効消滅しないとされた事例

(東京高判平21・8・5)

▽地方公共団体の一部事務組合がした行政財産の使用不許可処分につき、審査基準の設定・公表を欠いたことにより、同処分が行政手続法五条に反するとして取り消された事例

(那覇地判平20・3・11)

民事

◎自動車の買主が、当該自動車が車台の接合等により複数の車台番号を有することが判明したとして、錯誤を理由に売買代金の返還を求めたのに対し、売主が移転登録手続との同時

履行を主張することが信義則上許されないとされた事例(最二判平21・7・17)

○拘置所に勾留されていた刑事被告人の自費による新聞講読申請を拒否したことは違法であるが、拘置所長に過失がないとして、国家賠償請求が棄却された事例(大阪高判平21・6・11)

知的財産権

〇一 イラクにおいて航空自衛隊が行っている空輸活動は、武力行使を禁止したイラクにおける人道復興支援及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(イラク特措法)二条二項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条三項に違反し、かつ、憲法九条一項に違反する活動を含む

二 平和的生存権は、憲法上の法的な権利であり、裁判所に対し救済を求めることができる場合があるという意味において具体的権利性を有する

三 イラクへの自衛隊派遣により、未だ控訴人らの平和的生存権が侵害されているとはいえない

――自衛隊のイラク派遣差止訴訟控訴審判決(名古屋高判平20・4・17)

▽交通事故にあった中学生の約二三年後の高次脳機能障害について、事故との因果関係を認め、加害運転者の不法行為責任が認められた事例

(東京地判平21・4・16)

▽営業権に基づき労働組合及びその構成員に対する情報宣伝活動の差し止め請求が認められた事例(東京地決平21・9・10)

▽再生債務者の連帯保証人が、保証債務の履行に伴い、債権者にとっては共益債権となる債権を法定代位で取得したが、再生債務者に対する事後求償権が再生債権となるにすぎない場合において、法定代位で取得した債権につき、当該債権が共益債権であるとして民事再生手続外でその権利を行使することの可否(消極)(大阪地判平21・9・4)

▽農協に勤務する職員が過労によりうつ病に雁患して自殺した事故につき、農協に職員に対する安全配慮義務違反があるとして損害賠償責任が認容された事例

(釧路地帯広支判平21・2・2)

知的財産権

○チョコレート等を指定商品とする、四種類の魚介類の形を表した板状のチョコレートの形状についての立体商標の登録出願について、商標法三条一項三号に該当するとして拒絶すべきものとした審決が取り消された事例(知的財産高判平20・6・30)

商事

▽被共済者が頭蓋内出血を発症し、意識障害により用水路に転落して溺死した場合、外来の

事故に当たるとして、共済金の支払請求が認められた事例(仙台地石巻支判平21・3・26)

労働

▽一 卒業式での国歌斉唱時に国旗に向かって起立し国歌を斉唱するよう命じた校長の職務命令に違反したことを理由に再雇用、再任用の採用選考に不合格となった原告の不合格処分取消し及び無効確認並びに採用義務付けの訴えがいずれも不適法であるとして却下された事例

二 右職務命令が憲法一九条に違反しないとされた事例

三 再雇用、再任用の採用選考において、原告が右の職務命令に違反したことを理由に不合格としたのは、東京都教育委員会の裁量権を逸脱、濫用したものであるとして国家賠償請求が認められた事例

(東京地判平21・11・19)

▽一 学習塾の校長及び校長代理であった原告らが、労働基準法四一条二号に規定する管理監督者には当たらないとされた事例

二 住宅に要する費用にかかわらず一定額を支給する手当が、労働基準法三七条四項及び労働基準法施行規則二一条三号により割増賃金の算定の基礎となる賃金から除外される住宅手当に当たらないとされた事例

(横浜地判平21・7・23)

◆最高裁判例要旨(平成二一年九月分)

Copyrightc 株式会社判例時報社 All Rights Reserved.

PAGE TOP