判例時報 No.2055
平成21年12月11日 号 定価:円
(本体価格:円+10%税)
◆記事◆ 国会議員の職務権限――過去の職務行為に対する賄賂……林幹人 最高裁刑事破棄判決等の実情(上)――平成二〇年度……三浦透 現代型取引をめぐる裁判例(243)……升田純 ◆判決録◆ 行政 ◎一 出生し […]
◆記事◆ 国会議員の職務権限――過去の職務行為に対する賄賂……林幹人 最高裁刑事破棄判決等の実情(上)――平成二〇年度……三浦透 現代型取引をめぐる裁判例(243)……升田純 ◆判決録◆ 行政 ◎一 出生し […]
◆記事◆
国会議員の職務権限――過去の職務行為に対する賄賂……林幹人
最高裁刑事破棄判決等の実情(上)――平成二〇年度……三浦透
現代型取引をめぐる裁判例(243)……升田純
◆判決録◆
◎一 出生した子につき住民票の記載を求める親からの申出に対し特別区の区長がした上記記載をしない旨の応答は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか
二 母がその戸籍に入る子につき適法な出生届を提出していない場合において、特別区の区長が住民である当該子につき上記母の世帯に属する者として住民票の記載をしていないことが違法ではないとされた事例
(最二判平21・4・17)
◎市議会の会派に交付する政務調査費の使途を「会派が行う」調査研究活動と定める函館市議会政務調査費の交付に関する条例施行規則(平成一三年函館市規則第四号)の下で、会派の代表者の承認を得て政務調査費が会派から所属議員に支出された場合において、議員が行う調査研究活動は所属会派の代表者の承認があるだけでは「会派が行う」ものとはいえないとし、上記の支出は上記の定めに適合しないとした原審の判断に違法があるとされた事例
(最三判平21・7・7)
▽租税特別措置法(平成一四年法律第七九号による改正前のもの)六六条の四の国外関連者に該当する法人への資金提供が同条及び法人税法(平成一四年法律第七九号による改正前のもの)三七条の寄附金に該当するとされた事例(東京地判平21・7・29)
○弁護士が一部架空債権につき債務弁済契約公正証書を作成の上債権差押・転付命令を取得して債権回収を図る非違行為をした旨の懲戒請求がされたが、結果として弁護士が債権の水増しを見過ごして債権回収した事情のある場合、懲戒請求者において、弁護士が当初から水増しの存在を認識していたと疑ったことは無理もないとして、当該懲戒請求が事実上の根拠を欠くものとはいえず、不法行為を構成しないとされた事例
(東京高判平21・7・29)
○建物の賃貸借契約の終了に伴う当該建物の明渡後の敷金返還義務の履行期は、清算完了時ではなく、明渡時であるとしたうえ、清算完了時とした第一審判決に対する賃借人からの
控訴がなく、不利益変更禁止の原則に従い、賃貸人の控訴が棄却された事例
(大阪高判平21・6・12)
▽不動産の購入予定者が不動産市況の悪化を理由に契約の締結を拒否したことについて、拒否の正当の理由がないとし、契約締結上の過失による不法行為責任が肯定された事例
(東京地判20・11・10)
▽テレビカメラの撤去請求、損害賠償請求が認容された事例
(東京地判平21・5・11)
▽一 契約上の不作為請求権に基づき会員に対する年会費徴収行為が差し止められた事例
二 仮処分命令の中で間接強制額二〇億円の支払が認容された事例(東京地決平21・8・13)
▽北海道警察本部の元総務部長が、北海道新聞社の記者が取材し著作し、出版社より出版し
た書籍の記載により名誉を穀損されたとして求めた損害賠償の一部が認容された事例
(礼幌地判平21・4・20)
▽適格消費者団体が、貸金業者に対して、同業者が金銭貸与に際して実施している早期完済違約金条項は消費者契約法に違反するとしてした、右条項の締結の停止及び右条項を含む借用証書の用紙の廃棄を求める請求が認容された事例
(京都地判平21・4・23)
○指定商品を「菓子及びパン」とする「天使のスイーツ」なる文字商標と、指定商品に「菓子及びパン」を含む「エンゼルスイーツ」及び「Angel Sweets」を上下二段に表した登録商標との、観念における類否(積極)
(知的財産高判平21・7・2)
○指定商品を被服等とするジーンズのバックポケットの形状を有する商標が、著名な被告ジーンズのバックポケットとの関係で、商標法四条一項一五号に規定する商標に当たるとされた事例(知的財産高判平21・5・12)
◎株式会社の従業員らが営業成績を上げる目的で架空の売上げを計上したため有価証券報告書に不実の記載がされ、株主が損害を被ったことにつき、会社の代表者に従業員らによる架空売上げの計上を防止するためのリスク管理体制構築義務違反の過失がないとされた事
例
(最一判平21・7・9)
▽一 単位労働組合の下部組織である組合支部についても、当該組合支部限りの交渉事項に当たるものについては、組合本部の統制に服するものの独自に団体交渉を行う権限があり、組合東京支部による団体交渉申入れの交渉議題は、東京支店に係る組合東京支部限りの交渉事項であり、組合本部が組合東京支部の団体交渉権限に制約を加えていたとはいえないから、組合東京支部と使用者との問の義務的団体交渉事項であるとされた事例
二 使用者には、組合支部限りの団体交渉事項について、組合支部との間で個別の団体交渉に応じる義務があり、組合支部が組合本部及び組合各支部が提示した団体交渉の議題を一括して取り上げるという連名方式による団体交渉を拒否しているのに、使用者が連名方式による団体交渉に固執して実質的な交渉に入れなかった場合には、使用者が当該組合支部との間の団体交渉を実質的に拒否したものと評価できるとされた事例
(東京地判平21・6・25)
◆最高裁判例要旨(平成二一年九月分)