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判例時報 No.2051 〔判例評論 No.609〕
             平成21年11月1日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

◆判例特報◆ 教職員組合の大会に使用される予定だった宴会場等を有するホテル会社が、仮処分命令に反して当該宴会場等の使用を拒否し、その説明文をホームページ上に掲載するなどしたことにつき、損害賠償請求及び謝罪広告掲載請求が認 […]


◆判例特報◆

教職員組合の大会に使用される予定だった宴会場等を有するホテル会社が、仮処分命令に反して当該宴会場等の使用を拒否し、その説明文をホームページ上に掲載するなどしたことにつき、損害賠償請求及び謝罪広告掲載請求が認容された事例

――プリンスホテル日教組大会会場等使用拒否事件第一審判決(東京地判平21・7・28)

◆判決録◆

行政

〇「混合再生改良砂」は千葉県条例所定の「土砂等」に当たらないとし、特定事業の許可申請に対する不許可処分は適法であるとされた事例

(東京高判平20・10・16)

▽一 普通地方公共団体の非常勤の職員に対する報酬は、地方自治法二〇三条の二第二項により、日額報酬制が原則であり、勤務実態が常勤の職員と異ならない場合に限り、例外として勤務日数によらずに報酬を支給することができる

二 普通地方公共団体の非常勤の職員とされる労働委員会、収用委員会、選挙管理委員会の行政委員の報酬を月額で支給する旨の条例は、その勤務実態からみて日額報酬制を原則とする地方自治法二〇三条の二第二項の趣旨に反し効力を有しないとして公金支出の差止めが認められた事例

(大津地判平21・1・22)

民事

○不動産売買契約に関する事務処理の委任を受けた弁護士の報酬等について当該弁護士の事務所の報酬基準により算定される金額とは異なる金額とする旨の合意の成立が認定された事例

(東京高判平20・12・25)

〇株式の信用取引により損失を被った顧客が証券会社に対し、同社の従業員の勧誘による過当取引及び指導助言義務違反による債務不履行があるとして求めた損害賠償請求が認容された事例

(大阪高判平20・8・27)

〇建物としての基本的な安全性を損なう畷庇があり、それにより居住者等の生命’身体又は財産が侵害されたものということはできないとして、当該建物の建築工事を請け負った会社及び建築工事の設計・監理を受託した会社の建物の所有者に対する不法行為責任が否定された事例

(福岡高判平21・2・6)

▽証券会社から付与されたログインID及びパスワードを使用してインターネットによる株式の信用取引が行われる場合において、自ら口座を開設してログインID及びパスワードを付与された本人ではなく、第三者がこれを使用して取引を行っていたが、その使用について本人が異議を述べていない以上、当該取引の効果は本人に帰属し、その帰属を否定する事情は認められないとして、本人に対し当該取引によって生じた差損金の支払が命じられた事例

(東京地判平21・2・5)

▽法人税の申告に際し租税特別措置法六八条の二第一項四号に基づ-法人税にかかる同族会社の留保金課税を非課税とする特例制度を利用しなかったことにつき、監査業務を引き受けた監査法人の責任を否定したが、法人税確定申告書の作成と税務代理を依頼された税理士の損害賠償責任が認められた事例

(大阪地判平20・7・29)

▽傷害致死の被害者の両親が、暴行現場にいた加害者の友人に対して暴行に加担したとして共同不法行為に基づき求めた損害賠償請求が認容された事例

(名古屋地判平21・2・18)

▽建物賃貸借契約における敷引特約及び更新料特約が、いずれも消費者契約法一〇条に違反し無効であるとされた事例

(京都地判平21・7・23)

知的財産権

○米の販売業者から米を購入し、同販売業者の米袋に商標を表示したラベルを貼付して第三者に販売する行為が商標法五〇条一項にいう「使用」であると認められた事例

(知的財産高判平21・6・25)

▽不正競争防止法二条一項一四号の不正競争行為(虚偽事実の告知等)を行ったことに基づく損害賠償請求につき、原告と競争関係にない者と原告と競争関係にある者による共同不法行為の成立が認められなかった事例

(東京地判平21・4・27)

商事

○保険金受取人の親権者が被保険者の殺害に関与していたとしても、保険金受取人自身と同一に評価できる者の故意行為によって発生した場合と認めることができないとして、保険会社の免責を認めなかった事例

(名古屋高判平21・4・24)

労働

▽電気工事の請負会社の従業員が悪性胸膜中皮腫により死亡した場合において、勤務中の石綿曝露との因果関係が認められず、会社の安全配慮義務違反の責任が否定された事例

(東京地判平21・2・16)

刑事

▽妄想型統合失調症にり患していた被告人が、同居の実母を殺意をもって牛刀で数回突き刺したが未遂に終わったという殺人未遂の事案において、病状やその犯行への影響に加えて、動機の了解可能性、犯行の合目的性等の総合判断により、完全責任能力が認められた事例

(東京地判平21・3・26)

◆判例評論◆

六四 統合失調症を発症し医師の診療を必要とする状態に至った時点において二〇歳未満であったことが事後的診断等により医学的に確認できた者と国民年金法三〇条の四所定のいわゆる初診日要件

(最二判平20・10・10)……菊池馨実

六五 店舗の賃借人が賃貸人の修繕義務の不履行により被った営業利益相当の損害について、賃借人が損害を回避又は減少させる措置を執ることができたと解される時期以降は被った損害のすべてが民法四一六条一項にいう通常生ずべき損害に当たるということはできないとされた事例

(最二判平21・1・19)……千葉恵美子

六六 抵当権者に対抗できない賃借人からの無断転使用借入に対して、抵当不動産の買受人が引渡命令を求めることの可否

(東京高決20 ・4・25)……新井剛

六七 職務発明の相当対価額の算定における外国特許および関連会社への実施料収入額の参酌――アルガトロパン事件

(知的財産高判平20・5・14)……潮海久雄

六八 会計帳簿等の閲覧請求の拒否事由と請求株主の主観的意図の安否

(最一決平21・1・15)……受川環大

六九 交通事故の加害者が被害者に賠償すべき人的損害の額の算定に当たり、加害者の父が締結していた自動車保険契約の人身傷害補償条項に基づき被害者が支払いを受けた保険金の額を控除した原審の判断に違法があるとされた事例

(最三判平20・10・7)……出口正義

七〇 条件附採用されたことを前提とする公立小学校教員に対する免職処分につき、当該教員はそもそも条件附採用されたものではなく、同処分はその前提となる法解釈を誤ったものである等として、処分が取消された事例

(大阪高判平20・8・29)……橋本基弘

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