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判例時報 No.2050
             平成21年10月21日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

◆記事◆ 特集 裁判員裁判における評議の進め方(上)――コミュニケーション論からの提言 企画の趣旨……守屋克彦 評議設計はなぜ必要なのか――評議の課題と設計の方法……森本郁代   国際訴訟競合の規律に関する若干 […]


◆記事◆

特集

裁判員裁判における評議の進め方(上)――コミュニケーション論からの提言

企画の趣旨……守屋克彦

評議設計はなぜ必要なのか――評議の課題と設計の方法……森本郁代

国際訴訟競合の規律に関する若干の点について……藤下健

現代型取引をめぐる裁判例(240)……升田純

海外刑法だより(293)

自国民の犯罪人引渡し……森下忠

◆判例特報◆

一 地方自治法二四二条の二第1項四号に基づき当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを求める訴えにおいて、当該職員又は相手方がその氏名等でもって特定表示されていない場合であっても、これを氏名等以外の方法で客観的に特定することができるときは、当該訴えは請求の特定に欠けるところがない適法な訴えと解するのが相当であるとされた事例

二 地方自治法二〇四条一項にいう常勤の職員とは、その勤務の態様に照らして当該勤務が当該職員及びその家族の生計を支えるいわゆる生活の糧を得るための主要な手段と評価し得るような職務に従事する職員をいい、一週間当たりの勤務時間数が常勤の職員の一週間当たりの勤務時間数の四分の三を超えるような態様の勤務に従事する職員は、同項にいう常勤の職員に該当するものと推定されるとされた事例

三 「非常勤職員」に対し「特別報酬」名日の給与を支給することを定めた枚方市職員給与条例(昭和二三年枚方市条例第一〇三号。平成一七年枚方市条例第一八号による改正前のもの。)の規定が、当該特別報酬は地方自治法二〇四条二項にいう期末手当又は退職手当に該当するが、同条例がその支給の対象として規定する非常勤職員は地方自治法二〇四条一項にいう常勤の職員に該当するものをいうと合理的に解することができるから、その限りにおいて、同条二項の規定に違反するものということはできないとされた事例

四 地方自治法二〇四条一項にいう常勤の職員に該当する「非常勤職員」に対する期末手当及び退職手当に該当する「特別報酬」にて、算定の基礎となる額の上限及びこれに乗じるべき掛け率の上限あるいは支給額のみを定めた枚方市職員給与条例(昭和二三年枚方市条例第一八号による改正前のもの。)の規定が、およそ個々の非常勤職員に対する支給額を決定するに当たっての具体的な基準についての定めを欠くものというほかないとして、地方自治法二〇四条三項、二〇四条の二、地方公務員法二五条一項等の規定する給与条例主義に違反するとされた事例

五 地方公共団体の長が、専決権限を付与された職員が給与条例主義に違反する条例の規定に基づいて給与の支給を専決処理するのを阻止することなく放置していたことについて、過失があるとされた事例

六 地方公共団体の職員が、その専決権限に基づいて給与条例主義に違反する条例の規定に基づく給与の支給を専決処理したことについて、過失があるとはいえないとされた事例

――枚方市非常勤職員特別報酬返還措置請求住民訴訟第一審判決(大阪地裁平20・10・31)

判決録

行政

▽メニエール症候等の傷病を有する者につきその初診日が確定できないという理由でされた特別障害給付金の不支給決定が取り消された事例

(東京地判平21・4・17)

民事

○道路交通法違反被疑者に対する現行犯逮捕が逮捕の必要性等の要件を欠き違法であるとする同被疑者からの国家賠償請求が認められなかった事例

(東京高判平20・5・15)

○離婚等請求訴訟事件において人事訴訟法七条による移送申立が許容された事

(大阪高決平21・3・30)

▽インターネットによる株式の信用取引につき名義貸しをした顧客との間の契約が認められた事例(

(東京地判平21・5・14)

▽民法九三〇条二項所定の条件付きの債権又は存続期間の不確定な債権のいずれにも該当しない債権について家庭裁判所が選任した鑑定人の評価がなされた場合の当該債権についての評価の拘束力

(東京地判平21・5・18)

▽広域消防組合所属の救急隊員が被保護者の病態を的確に把握せずに病院への搬送義務を怠ったため脳挫傷等により植物状態となったとして、組合に対する国家賠償請求が認容された事例

(奈良地判平21・4・27)

知的財産

〇特許権侵害訴訟において差止請求を認容する旨の確定判決後に当該特許について無効審決が確定した事を理由とする最新の訴えが信義則に反するとはいえないとされた事例

(知的財産高平20・7・14)

▽先使用による商標の使用をする権利を有すことが認められた事例

(大阪地判平21・3・26)

商事

◎一 生命保険の指定受取人と当該指定受取人が先に死亡したとすればその相続人となるべき者とが同時に死亡した場合において、その者又はその相続人は、商法六七六条二項にいう「保険金額ヲ受取ルへキ者ノ相続人」に当たるか(①事件)

二 死亡給付金の指定受取人と当該指定受取人が先に死亡したとすればその相続人とな

るべき者とが同時に死亡した場合における死亡給付金受取人の確定方法についての年金共済約款の解釈(②事件)

(①、②最三判平21・6・2)

労働

▽破産手続廃止決定が確定した株式会社を被申立人とする不当労働行為救済申立ての可否(消極)

(東京地判平20・9・10)

刑事

◎世田谷区清掃・リサイクル条例における資源ごみの持ち去り規制に係る「所定の場所」と憲法三一条

(最一決平20・7・17)

◎一 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和四〇年北海

道条例第三四号)二条の二第一項四号にいう「卑わいな言動」の意義

二 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和四〇年北海

道条例第三四号)二条の二第一項四号の「卑わいな言動」の要件は不明確か

三 ズボンを着用した女性の腎部を撮影した行為が、被害者を著しくしゅう恥させ、被害者に不安を覚えさせるような卑わいな言動に当たるとされた事例

(最三決平20・11・10)

◆最高裁判例要旨(平成二一年六月分)

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