判例時報 No.2039〔判例評論 No.605〕
平成21年7月1日 号 定価:円
(本体価格:円+10%税)
◆判決録◆ 行政 ○市がその発注したごみ焼却場建設工事の入札において談合が行われたことによって被ったという損害の賠償を求めた住民訴訟に勝訴した場合の弁護士報酬として市に三八〇〇万円の支払を命じた第一審判決に対する住民及び […]
◆判決録◆
行政
○市がその発注したごみ焼却場建設工事の入札において談合が行われたことによって被ったという損害の賠償を求めた住民訴訟に勝訴した場合の弁護士報酬として市に三八〇〇万円の支払を命じた第一審判決に対する住民及び市の控訴が棄却された事例
(名古屋高判州平20・6・12)
◎全身麻酔と局所麻酔の併周による手術中に生じた麻酔による心停止が原因で患者が死亡した場合において、麻酔医に各麻酔薬の投与量を調整すべき注意義務を怠った過失があり、同過失と死亡との間に相当因果関係があるとされた事例
(最二判12・3・27)
▽原告の配偶者の氏名・住所、親族の経営する会社の名称・本支店の所在地・電話番号をイター・ネット上の掲示板に書き込んだ行為が、プライバシーを侵害するとされた事例
(東京地判平21・1・21)
▽八百長相撲等を内容とする週刊誌の記事が名誉穀損に当たり、裏付け取材が極めて杜撰であった等として、出版社、執筆者らの日本相撲協会、横綱らに対する不法行為責任が肯定された事例
(東京地判平21・3・26)
▽民事再生手続開始決定の後にした、再生債務者に対する同人所有の建物についての根抵当権設定の請求及び右請求についての再生手続の監督員に対する同意を求める請求がいずれも棄却された事例
(大阪地判平20・10・31)
▽脱税事件の共犯者として逮捕、勾留、起訴された税理士が無罪判決を受けた場合、他の共犯者に対し、捜査機関に対する虚偽の供述が違法であるとしてした損害賠償請求が認められた事例
(名古屋地判平20・10・9)
知的財産権
〇一被告が製造販売する紙おむつが、原告の特許権の技術的範囲に属し、原告の特許権には特許法一〇四条の三所定の無効理由はないと判断された事例
二特許法一〇二条三項に基づいて損害額が算定された事例
――「ドレミ」特許権侵害訴訟控訴審判決(知的財産高判平20・4・17)
刑事
◎刑法平(成一九年法律第五四号による改正前のもの)二〇八条の二第二項後段にいう赤色信号を「殊更に無視し」の意義(最一決平20・10・16)
最新判例批評
三七在留資格を偽って上陸許可を受けていたことが判明した中国人夫婦及び未成年の子に対する出入国管理及び難民認定法に基づく裁決及び退去強制令書発付処分のうち、入管局長の裁量権の逸脱又は濫用があったとして当該子に対する裁決及び退去強制令書発付処分が取り消された事例
(大阪高判平20・5・28)……野口貴公美8–1
三八 宗教法人が死亡したペットの飼い主から依頼を受けて葬儀等を行う事業が法人税法二条二二号所定の収益事業に当たるとされた事例
(最二判平20・9・12)……渡辺充
三九 一 不法行為による損害賠償請求権を法人の収益として計上すべき事業年度
二 従業員の詐欺により損害を被った法人が当該従業員に対して取得する損害賠償請求権の額は、法律上当該請求権が発生した事業年度ではなく、当該法人が損害及び加害者を知った事業年度の益金に計上すべきであるとされた事例
(東京地判平20・2015)……阿部雪子
四〇 放送事業者等から放送番組のために取材を受けた者の放送内容への期待と信頼に対する法的保護およびその侵害を理由とする不法行為責任の有無INHK番組期待権訴訟上告審判決 (最一判平20・6・12)……右崎正博
四一 駅ビル内の店舗賃貸借契約と借地借家法の適用基準
(東京地判平20・6・30)……本田純一
四二 身体障害者の単独搭乗の拒否と航空会社の責任
(大阪高判平20・5・29)……松井和彦
四三 特許異議申立事件の継続中に複数の請求項に係る訂正請求がされた場合、特許異議の申立てがされている請求項についての特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正は、訂正の対象となっている請求項ごとは個別にその許否を判断すべきか
(最一判平20・7・10)……眞壽田順啓
四四 いずれも土人形等を指定商品とする登録商標「つつみのおひなっこや」と引用商標「つゝみ」又は「堤」が類似しないとされた事例
(最二判平20・9・8)……板倉集一