判例時報 No.2035
平成21年5月21日 号 定価:円
(本体価格:円+10%税)
◆記事◆ カルテル・入札談合の審査の対象・要件事実・状況証拠PartⅡ――平成二〇年判審決の総合的検討と今後の課題(下)……越知保見 現代型取引をめぐる裁判例(230)……升田純 海外刑法だよ […]
◆記事◆ カルテル・入札談合の審査の対象・要件事実・状況証拠PartⅡ――平成二〇年判審決の総合的検討と今後の課題(下)……越知保見 現代型取引をめぐる裁判例(230)……升田純 海外刑法だよ […]
◆記事◆
カルテル・入札談合の審査の対象・要件事実・状況証拠PartⅡ――平成二〇年判審決の総合的検討と今後の課題(下)……越知保見
現代型取引をめぐる裁判例(230)……升田純
海外刑法だより(280)国際刑事裁判所における被害者参加……森下忠
◆判決録◆
○建物譲渡による損失について損益通算を廃止した租税法規の遡及適用が憲法に違反しないとされた事例(福岡高判平20・10・21)
○商品先物取引につき商品取引員の説明義務、新規委託者保護義務、指導助言義務違反の損害賠償責任が認められた事例
(大阪高判平20・9・26)
○沖縄県青少年保護育成条例違反で逮捕された公立中学校教諭がテレビで実名で報道されたことについて、プライバシー侵害等の不法行為の成立が認められなかった事例
(福岡高那覇支判平20・10・28)
▽官庁発注の工事を談合によって受注した建設共同企業体が工事施工によって赤字を計上した場合について、構成員の損失分担義務が認められた事例
(東京地判平21・1・20)
▽有線放送業界の主位の企業が二位の企業の従業員を大量に引き抜き、二位の企業の顧客を奪ったことが独占禁止法二条五項所定の私的独占に当たり、同法三条に違反するとし、不法行為が認められた事例
(東京地判平20・12・10)
▽ヤミ金融の組織員が共謀して債務者に対し債権回収を口実に過酷で執抽な脅迫を続け、債務者夫妻を自殺以外にこの取立てから免れることができないとの心理状態に追い込んで自殺させたとして、組織員の共同不法行為に基づく損害賠償責任が認められた事例
(大阪地判平21・1・30)
▽歩行・起立・座位が不能な少年が訪問介護の食事介助を受けている時に食物を誤嘩し窒息死した事故につき、介助員に過失があるとして、介助員及び介護センターの損害賠償責任が認められた事例
(名古屋地一宮支判平20・9・24)
▽自転車を運転して国の管理する堤防から市道に出ようとし、その段差に気付かず市道に転落死亡した事散につき、堤防設置管理に瑕疵があるとして国の国家賠償責任が認められた事例(過失相殺六割)
(横浜地小田原支判平21・1・9)
▽一 著名政治家の氏名や出身地に関して虚偽の事実を記載した月刊誌の記事につき、名誉穀損が成立するとされた事例二著名政治家に関する月刊誌の記事に対して認められた名誉穀損について、謝罪広告などの原状回復処分を命じる必要性はないとされた事例
(神戸地尼崎支判平20・11・13)
◎特許権又は専用実施権の侵害差止めを求める仮処分事件において特許法一〇五条の四第一項に基づく秘密保持命令の申立てをすることの許否
(最三決平21・1・27)
▽一 秘密保持命令の申立人である独立当事者参加人の被告に対する訴訟が「特許権叉は専用実施権の侵害に係る訴訟」に当たらないとしても、これと併合審理される独立当事者参加人の原告に対する訴訟が特「許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟」に当たる限り、被告の代理人等は秘密保持命令の名宛人となる「当事者等、訴訟代理人又は補佐人」に該当するとされた事例
二 秘密保持命令の申立人である独立当事者参加人と被告との間に訴訟が係属していなくても、原告の被告に対する特許権侵害訴訟と併合審理される独立当事者参加人の原告に対する訴訟が「特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟」に当たる限り、被告の代理人等は秘密保持命令の名宛人となる「当事者等、訴訟代理人又は補佐人」に該当するとされた事例(大阪地決平20・4・18)
▽一 秘密保持命令の対象となった情報が、原告が秘密保持命令申立ての前に書証として提出していた報告書に被告製品の分析結果として開示されている点で、秘密保持命令の名宛人である原告の代理人等は秘密保持命令に係る証拠等の取調べ等以外の方法により当該情報を取得等していたことになるから、特許法一〇五条の四第1項ただし書に該当し、秘密保持命令の発令の要件を欠いていたとして、秘密保持命令を取り消すべきであるとされた事例
二 秘密保持命令の対象となった情報が、申立人がした特許出願に係る公開公報等の記載内容から容易に把握できる点、当業者の技術常識等に属する点、又は、申立人が提出した、秘密保持命令の対象とはなっておらず、閲覧制限の申立ての対象ともなっていない証拠に開示されている点で、「営業秘密」に該当せず、秘密保持命令の発令の要件を欠いていたとして、秘密保持命令を取り消すべきであるとされた事例
三 秘密保持命令の対象となった情報が、秘密保持命令発令後に申立人が閲覧制限の申立てをすることなく提出し、弁論準備手続期日において陳述し、その後も閲覧制限の申立てをすることなく、不特定多数人の閲覧に供し得る状態に置いた準備書面に開示されている点で、「営業秘密」に該当しなくなったから、秘密保持命令の発令の要件を欠くことになったとして、秘密保持命令を取り消すべきであるとされた事例
(大阪地決平20・12・25・)
▽上場会社が有価証券報告書等に虚偽記載をしたことにつき、同会社、会社経営者の株主に対する共同不法行為責任が認められた事例
(東京地判平21・1・30)
◎急迫不正の侵害に対する反撃として複数の暴行を加えた場合において、単独で評価すれば防衛手段としての相当性が認められる当初の暴行のみから傷害が生じたとしても、一個の過剰防衛としての傷害罪が成立するとされた事例(最一決平21・2・24)
◆最高裁判例要旨(平成二一年二月分)