◆記事◆

カルテル･入札談合の審査の対象･要件事実･状況証拠Part２

――平成二〇年審決の総合的検討と今後の課題（上）……越知保見

現代型取引をめぐる裁判例（229）……升田純

◆判決録◆

行政

◎情報公開法に基づく行政文書の開示請求に対する不開示決定の取消訴訟において､不開示とされた文書を検証の目的として被告にその提示を命ずることの許否 (最一決平21・1・15)

民事

◎一　金融機関の預金者に対する預金口座の取引経過開示義務の有無

二共同相続人の一人が被相続人名義の預金口座の取引経過開示請求権を単独で行使することの可否

(最一判平21・1・22)

〇日本郵政公社において､コンビニエンスストアに対してゆうパックの取次所となるよう誘引したり､新料金でゆうパックサービスを提供したりする行為が､独占禁止法にいう｢不公正な取引方法｣に該当する行為としての不当な利益による顧客誘引及び不当廉売等に当たらないとされた事例

二　日本郵政公社の郵便事業株式会社への移行を数か月後に控えた控訴審の口頭弁論終結時の事情の下において､コンビニエンスストアをゆうパック取次所となるよう誘引すること及び新料金でゆうパックサービスを提供することを停止させなければならない程に､独占禁止法二四条にいう著しい損害を生じ､又は生ずるおそれがあるとは認められないとされた事例――ゆうパック不当廉売等差止訴訟控訴審判決(東京高判平19・11･28)

▽法律事務所に勤務する外国法事務弁護士の経営弁護士に対する受任事件に関する報酬支払の合意に基づく報酬請求が一部認容された事例(東京地判平20・1･16)

▽交通事故の被害者について高次脳機能障害の後遺障害の残存が認められなかった事例乗(

京地判平20・9･18)

▽一　インターネット上の掲示板に第三者による投稿が自動的に公開される管理体制が採られていた場合において､掲示板を開設し管理する者は､一見して第三者に対する誹誇中傷を含むなど第三者の名誉を穀損することが明らかな内容の投稿については､右内容の投稿を具体的に知ったときには､第三者による削除要求なくして削除義務を負うが､これに至らない内容の投稿については､第三者から削除を求める投稿を特定した削除要求があって初めて削除義務を負うとされた事例

二　インターネット上の掲示板が管理者による投稿内容の確認を経て公開される体制の下において､掲示板に第三者の名誉を穀損する投稿がされた場合は､掲示板の管理者は､当該投稿を公開しない条理上の義務を負い､これに反して当該投稿を公開した場合には､速やかにこれを削除すべき条理上の義務を負うとされた事例

三　インターネット上の掲示板における対抗言論の抗弁が否定された事例

四　使周者に関する表現行為が名誉穀損に当たる場合において､正当な組合活動としての違法性阻却事由が認められないとされた事例

(東京地判平20・10・1)

▽共同執筆者から医学雑誌に投稿した論文につきねつ造データによるものであると記者発表をされ名誉を穀漬されたとして発表者に対して求めた損害賠償請求が棄却された事例

(大阪地判22･12・16･)

▽交通事故に基づく損害賠償請求に関し､弁護士でない者が介入しても､被害者と加害者・損害保険会社との間に成立した示談契約は無効とはならないとされた事例 (大津地判平20・12･5)

知的財産権

▽商標権に基づく結合商標 (結合標章)の使周の差止等請求が「AGATHA｣という欧文字六字から成る本件商標と「AgathaNaomi｣という欧文字１１字から成る被告各標章の構成部分全体とを対比すると､被告各標章は本件商標に類似する商標に当たらないとして､棄却された事例

(東京地判平21・2・27)

▽一　著作権法二条一項一〇号の映画製作者についての認定がされた事例

二　著作権の譲渡契約において､翻案権についての六1条二項の特｢掲｣がされていたとはいえず､さらに､翻案権が譲渡人に留保されていたとの推定を覆すに足る事実も認められないと判断された事例

三　映画の著作物について､複製権侵害が認められなかった事例

四　不正競争防止法二条7項l号､二号の周知性､著名性の承継が否定された事例

(東京地判平18・12・27)

◆最高裁判例要旨（平成二一年二月分)