判例時報 No.2033
平成21年5月1日 号 定価:円
(本体価格:円+10%税)
◆判例特報◆ 元横綱夫妻に関する週刊誌の記事が名誉毀損に当たる場合において、出版社等の不法行為とともに、出版社の代表取締役の旧商法二六六条ノ三所定の任務傑怠責任が認められた事例 ――週刊新潮名誉毀損に係る代表取締役任務懈 […]
◆判例特報◆ 元横綱夫妻に関する週刊誌の記事が名誉毀損に当たる場合において、出版社等の不法行為とともに、出版社の代表取締役の旧商法二六六条ノ三所定の任務傑怠責任が認められた事例 ――週刊新潮名誉毀損に係る代表取締役任務懈 […]
◆判例特報◆
元横綱夫妻に関する週刊誌の記事が名誉毀損に当たる場合において、出版社等の不法行為とともに、出版社の代表取締役の旧商法二六六条ノ三所定の任務傑怠責任が認められた事例
――週刊新潮名誉毀損に係る代表取締役任務懈怠事件第一審判決(東京地判平21・2・4)
◆判決録◆
◎継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が、利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含む場合における、上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効の起算点
(最一判平21・1・22)
○売買の対象となった宅地について、隣人の強迫的言辞のため事実上建物建築が制限されることが、一般人に共通の重大な心理的欠陥がある場合として、民法五七〇条の畷庇に当たるとされた事例(東京高判平20・5・29)
〇後見人が自己の直系卑属である未成年被後見人を養子とするため民法七九四条の養子縁組許可を申し立てた場合において、家庭裁判所は、被後見人の財産的地位に対する危険を排除するという観点以外に、未成年者の福祉確保の観点から当該縁組の許否を署査することができるか(消極)(大阪高決平19・9・20)
▽著名な経済人に関する週刊誌の記事が名誉毀損に当たらないとされたが、表紙、広告が名誉毀損に当たるとされた事例(東京地判平20・12・25)
▽児童同士の喧嘩につき、加害児童の親の監督義務者の責任が肯定された事例(東京地判平20・2・22)
▽インターネットのチャットルームにおける書込みがプライバシー侵害・名誉毀損に当たるなどとして発信者情報開示請求が認められたが、プロバイダーによる情報開示請求の拒否について重過失が認められないとして損害賠償請求が棄却された事例
(大阪地判平20・6・26)
▽病院で出生した新生児に敗血症等による重篤な後遺障害が残った場合、病院側に転院義務違反の不法行為責任が認められた事例
(名古屋地判平20・7・18)
▽テレビ番組において、急斜面を埋立て造成したマンション敷地に崩壊の危険があり、建築関係法規を潜脱したものとして放送されたことにより、マンション業者が信用を失墜されたとして放送局に対して求めた損害賠償請求が認容された事例
(横浜地判平20・11・28)
〇「ELLE」の文字からなる著名な原告商標とロックバンド名を表示する「ELLEGARDEN」の文字からなる被告標章との類否につき、原告商標及び被告標章の構成、使用態様、本件ロックバンドの著名性等を認定した上、被告標章のうち前記文字を一連に表示した標章については類似性を否定し、「ELLE」と「GARDEN」を二段に表示した標章については類似性が肯定された事例
――ELLEGARDEN事件知的財産高裁判決 (知的財産高判平20・3・19)
▽八坂神社の祇園祭の写真に依拠して水彩画を制作した行為は、当該写真の翻案権を侵害するとされた事例
(東京地判平20・3・13)
◎交通事故の加筆者Yが被害者Xに賠償すべき人的損害の額の算定に当たり、Ⅹの父が締結していた自動養保険契約の人身傷害補償条項に基づきXが支払を受けた保険金の額を控除した原審の判断に違法があるとされた事例(最三判02・10・7)
○条件附採用されたことを前提とする公立小学校教員に対する免職処分につき、当該教員はそもそも条件附採用されたものではなく、同処分はその前提となる法解釈を誤ったものである等として、処分が取消された事例
(大阪高判平20・8・29)
◎一 管理者が管壇する、公務員宿舎である集合住宅の一階出入口から各室玄関前までの部分及び門塀等の囲障を設置したその敷地が、刑法一三〇条の邸宅侵入罪の客体に当たるとされた事例
二 各室玄関ドアの新聞受けに政治的意見を記載したビラを投かんする目的で公務員宿舎である集合住宅の敷地等に管理権者の意思に反して立ち入った行為をもって刑法一三〇条前段の罪に問うことが、憲法二一条一項に違反しないとされた事例
(最二判平20・4・11)
二七 大学入試における合否判定の合理性
(東京高判平19・3・29)……星野豊
二八 いわゆるヤミ金融業者が元利金等の名目で違法に金員を取得する手段として著しく高利の貸付けの形をとって借主に金員を交付し、借主が貸付金に相当する利益を得た場合に、借主からの不法行為に基づく損害賠償請求において同利益を損益相殺等の対象として借主の損害額から控除することは、民法七〇八条の趣旨に反するものとして許されないとされた事例
(最三判平20・6・10)……長谷川隆
二九 共同不法行為における過失相殺の方法と被害者側の過失
(最二判平20・7・4)……菊地秀典
三〇 銀行が法令により義務づけられている資産査定の前提として債務者区分を行うために作成、保存している銀行の自己査定資料の民訴法二二○条四号二文書該当性
(最二決平19・11・30)……松村和徳
三一 一 心神喪失者等医療観察法による医療の必要性と精神保健福祉法による医療との関係 (①事件)
二 対象者が幻覚妄想状態心(神喪失状態)で行った行為の心神喪失者等医療観察法対象行為該当性判断における対象者の認識や意図の認定方法 (②事件)
(①最二決平19・7・25②東京高決平19・12・21)……安田拓人
三二 強盗強姦罪の成否に関する事実認定が争われた事例
(最一決平19・10・10)……川上拓一