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判例時報 No.2027
             平成21年3月1日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

行政 ◎統合失調症を発症し医師の診療を必要とする状態に至った時点において二〇歳未満であったことが事後的診断等により医学的に確認できた者と国民年金法三〇条の四所定のいわゆる初診日要件 (最二判平20・10・10) &ens […]


行政

◎統合失調症を発症し医師の診療を必要とする状態に至った時点において二〇歳未満であったことが事後的診断等により医学的に確認できた者と国民年金法三〇条の四所定のいわゆる初診日要件

(最二判平20・10・10)

▽地方自治法一二六条ただし書に基づく地方公共団体の議会の議員の辞職許可処分が、正当な理由を欠き、同条の規定により議長に付与された裁量権の範囲を超え、又はこれを濫用したものとして取り消された事例

(大阪地判平20・5・16)

民事

◎一 金融機関を当事者とする民事訴訟の手続の中で、当該金融機関が顧客から守秘義務を負うことを前提に提供された非公開の当該顧客の財務情報が記載された文書につき、文書提出命令が申し立てられた場合において、上記文書が民訴法二二〇条四号ハ所定の文書に該当しないとされた事例

二 金融機関を当事者とする民事訴訟の手続の中で、当該金融機関が行った顧客の財務状況等についての分析、評価等に関する情報が記載された文書につき、文書提出命令が申し立てられた場合において、上記文書が民訴法二二〇条四号ハ所定の文書に該当しないとされた事例

三 事実審である抗告審が民訴法二二三条六項に基づき文書提出命令の申立てに係る文書をその所持者に提示させ、これを閲読した上でした文書の記載内容の認定を法律著である許可抗告審において争うことの許否

(最三決平20・11・25)

〇スーパーマーケットが所有者から賃借している土地建物の賃料減額請求について、建設協力融資金につき運用益を実質賃料算定に当たり考慮するとともに、いわゆるオーダーメイド賃貸借ではないとして適正賃料額が算定された事例

(東京高判平19・9・12)

▽消防署職員が店舗に消防法四条所定の立入検査を実施する等したことが国家賠償法上達法ではないとされた事例

(東京地判平20・10・30)

▽テレビ局が、貨幣損傷等取締法違反被疑事件に関して放送した報道番組において、出演者等の実演を交えて奇術用コインの種を説明したことが、奇術を職業又は趣味とする原告らが所有する奇術用コインの財産的価値を違法に低下させたものとは認められないとされた事例

二 テレビ局が貨幣損傷等取締法違反被疑事件に関して放送した報道番組において、奇術を職業又は趣味とする原告らの社会的評価を低下させるような事実が摘示されたものとは認められないとされた事例

(東京地判平20・10・30)

▽外国人生徒の母が市立中学校の生徒の退学届を提出し、これを受領した校長が当該生徒の意見を聴取し処理しなかったことが違法であるとして、市の国家賠償責任が認められた事例

(大阪地判平20・9・26)

▽市がホームヘルプサービス事業を廃止し利用契約を解除したのが違法であるとして求めた、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求が棄却された事例

(名古屋地判平20・3・26)

▽出張旅費を不正受給したとして懲戒解雇された元従業員の会社に対する懲戒解雇処分の無効確認及び退職金の支払請求が棄却され、会社の右元従業員に対する出張旅費の不当利得返還、解雇後の会社の名誉等を穀損する文書の送付行為を違法とする損害賠償及び会社内部資料返還の各請求が認容された事例

(神戸地尼崎支判平20・2・28)

▽漁業協同組合連合会が、その元代表理事、専務理事、参与に対して、仕入れたモズク、ソデイカの保管、在庫管理、販売につき善管注意義務違反があるとして求めた、債務不履行に基づく損害賠償請求が棄却された事例

(那覇地判平20・6・25)

▽社員がうつ病にり患し自殺したことにつき、同社員が行った不正経理を是正するための上司による過剰ノルマの強要や、度重なる叱責が違法であるとして、遺族の求めた会社に対する損害賠償請求が認められた事例(過失相殺六割)

(松山地判平20・7・1)

知的財産権

○携帯電話の待受画面用に一日一枚一年分として花の画像を三六五枚集めたデジタル写真集につき、控訴人との契約により著作権の譲渡を受けた被控訴人が週一回一枚ずつその画像を携帯電話の待受画面として配信した行為は、編集著作物としての前記写真集の同一性保持権を侵害するものではないとされた事例

(知的財産高判平20・6・23)

▽一 特許発明の自己実施により特許権者において独占の利益が生じているといえるためには、当該特許権の保有と競業他者の排除との間に因果関係が認められることが必要であり、その存否については、①当該特許権者が採用しているライセンスポリシーの内容、②競業他者による当該特許発明の代替技術の使用の有無及びその代替技術の内容、③ライセンス契約の相手方による当該特許発明の実施の有無、④当該特許権者自身による代替技術の実施の有無等の事情を総合的に考慮して判断すべきである

二 職務発明対価請求権の消減時効の起算点となる実施褒賞金の支払時期について、特許権の設定登録時、当該発明の実施又は実施許諾時のうち、いずれかの遅い時点と解するのが相当であるとされた事例

(東京地判平20・9・29)

刑事

▽既に起訴された窃盗未遂罪と一罪の関係にある常習累犯窃盗罪が追起訴された場合、前訴又は後訴につき公訴棄却することなく、後者の訴因を変更した上、審理・判決がされた事例

(東京地判平20・5・22)

◆最高裁判例要旨(平成二〇年一二月分)

最新判例批評

一二 新幹線新駅建設事業に伴う地方債の起債行為が地方財政法五条に違反するとして住民訴訟言霊絹求による差止めが認められた事例

(大阪高判平19・3・1)……木村琢麿

一三 共有の性質を有する入会権の処分につき入会集団の構成員全員の同意 を要件としない慣習の効力

(最一判平20・4・14)……上原由起夫

一四 私立学校の教育内容の変更が生徒の保護者の学校選択の自由を違法に侵害するとして、学校側の損害賠償責任が認められた事例

(東京高判平19・10・31)……渡辺達徳

一五 水門開閉装置用の減速機に関する営業秘密の不正開示・不正使用に基づく損害賠償請求が、営業秘密性が否定されるか不正開示等行為が否定されて棄却された事例――水門開閉装置用減速機事件

(大阪地判平20・4・25)……千野直邦

一六 ライブドア裁判傍聴記事件

(知的財産高判平20・7・17)……柳沢眞実子

一七 粉飾決算を看破できなかった監査法人の債務不履行責任

(大阪地判平20・4・18)……弥永真生

一八 いわゆる「偽装請負」にあたる事例について、委託者・受託者問の業務委託契約及び受託者・労働者間の雇用契約の双方を公の秩序に反し無効としたうえで、当該労働者の就業の実態に鑑み委託者・労働者問に黙示の労働契約の成立が認められた事例

(大阪高判平20・4 ・25)……手塚和彰

一九 一 政治団体の会長代理であった被告人が、会計責任者と共謀の上、 ある業界団体から一億円の寄附を受けながら収支報告書に記載しなかったという政治資金規正法違反の事案に関し、会計責任者との共謀を否定して被告人に無罪が言い渡された事例 (①事件)

二 ①事件について、会計責任者との共謀を否定した原判決には事実の誤認があるとして控訴審において破棄された事例 (②事件)

(①東京地判平18・3・30、②東京高判平19・5・10)……十河太朗

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