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判例時報 No.2011
             平成20年10月1日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

◆判例特報◆ ①一社会の倫理、遺徳に反する醜悪な行為に該当する不法行為の被害者が当該醜悪な行為に係る給付を受けて利益を得た場合に、被害者からの損害賠償請求において同利益を損益相殺等の対象として被害者の損害額から控除するこ […]


判例特報

①一社会の倫理、遺徳に反する醜悪な行為に該当する不法行為の被害者が当該醜悪な行為に係る給付を受けて利益を得た場合に、被害者からの損害賠償請求において同利益を損益相殺等の対象として被害者の損害額から控除することの可否

二 いわゆるヤミ金融業者が元利金等の名目で違法に金員を取得する手段として著し高利の貸付けの形をとって借主に金員を交付し、借主が貸付金に相当する利益を得た場合に、借主からの不法行為に基づく損害賠償請求において同利益を損益相殺等の対象として借主の損害額から控除することは、民法七〇八条の趣旨に反するものとして許されないとされた事例

――ヤミ金融被害賠償請求訴訟上告審判決(最三判平20・60.)

②被爆者援護法に基づく原爆症認定申請に関する却下処分について、放射線起因性の有無に関する判断を誤った違法があるとして、その取消請求が認容された事例

――原爆症認定大阪訴訟控訴審判決(阪高判平20・5・30)

◆判決録◆

行政

▽愛知県個人情報保護条例 (平成一六年愛知県条例第六六号。平成一九年愛知県条例第四七号による改正前のもの)に基づく死体見分調書等の開示請求について、愛知県警察本部長が同条例一七条六号の不開示事由があるとして不開示とした処分が取り消され、開示決定の義務付けが認められた事例

(名古屋地判平20・1・31)

民事

◎婚姻費用の分担に関する処分の審判に対する抗告審が抗告の相手方に対し抗告状及び抗告理由書の副本を送達せず、反論の機会を与えることなく不利益な判断をしたことと憲法三二条(最三決平20・5・8)

○産廃業者が不法投棄した廃棄物を業者に代わって処理するための調香費を支出した市が産廃業者に対してした事務管理に基づく償還請求が認容された事例名(古屋高判平20・6・4)

▽一 賃料についての具体的な合意がないとし、建物の賃貸借契約の成立が否定された事例

二 債務不存在等確認の訴えが前訴の既判力に抵触するとして却下された事例

三 賃貸借を行うことの基本的合意は成立しているが賃料についての合意がない場合に、新規賃料額の確認を求める訴えは法律上の争訟に当たらないとされた事例(東京地判平20・2・27)

▽市の臨時職員が住民の戸籍情報を知人に漏洩した場合において、市の国家賠償責任が否定され、臨時職員のプライバシー侵害の不法行為責任につき五万円の慰謝料が認められた事例 (京都地判平20・3・25)

知的財産権

○裁判傍聴に関する記述の著作物性が否定された事例

――「ライブドア裁判傍聴記」著作権侵害訴訟控訴審判決(知的財産高判平20・7・17)

商事

▽企業買収の過程で合併、株式交換等が実施された場合について、少数株主の株主価値の毀損

等による不法行為が否定された事例(東京地判平19・11・12)

刑事

◎数罪が科刑上一罪の関係にある場合において、その最も重い罪の刑は懲役刑のみであるがその他の罪に罰金刑の任意的併科の定めがあるときに、最も重い罪の懲役刑にその他の罪の罰金刑を併科することの可否(最一決平19・12・3)

◎一 訴訟関係人のする刑事確定訴訟記録法に基づく保管記録の閲覧請求が許されない場合

二 訴訟関係人がした閲覧請求が、関係者の名誉又は生活の平穏を害する行為をする目的でされたと認められる相当の理由があり、権利の濫用として許されないとされた事例

(最二決平20・6・24)

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