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判例時報 No.2008
             第2008号(平成20年9月1日) 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

◆判例特報◆ 検察官及び警察官が公職選挙法違反の被告人及び被疑者の取調べの際に弁護士との接見内容を聴取し供述調書を作成したが、弁護士の被告人及び被疑者に対する秘密交通権を侵害したとして弁護士が国及び県に対して求めた国家賠 […]


◆判例特報◆

検察官及び警察官が公職選挙法違反の被告人及び被疑者の取調べの際に弁護士との接見内容を聴取し供述調書を作成したが、弁護士の被告人及び被疑者に対する秘密交通権を侵害したとして弁護士が国及び県に対して求めた国家賠償請求が認められた事例

――いわゆる志布志事件「接見交通権」侵害国家賠償訴訟判決(鹿児島地判平20・3・24)

◆判決録◆

行政

▽労働保険の保険料の徴収等に関する法律八条一項の「厚生労働省令で定める事業が数次の請負によって行われる場合には、……その事業を一の事業とみなし、元請負人のみを当該事業の事業主とする」。の解釈適用の誤りを理由として、労働保険料の認定決定処分が取り消された事例(東京地判平20・4・17)

▽民事訴訟の当事者たる死刑確定者の口頭弁論期日への出頭申請を拒否した拘置所長の措置に裁量権の範囲を逸脱した違法があるとはいえないとされた事例

(東京地判平19・9・21)

民事

◎一 チーム医療として手術が行われる場合にチーム医療の折責任者が患者やその家族に対してする手術についての説明に関して負う義務

二 チーム医療として手術が行われるに際し、患者やその家族に対してする手術についての説明を主治医にゆだねたチーム医療の総責任者が、当該主治医の説明が不十分なものであっても説明義務違反の不法行為責任を負わない場合(最一判平20・4・24)

〇法人顧客の大口取引については来店者の本人確認などを行う旨が記載されたパンフレットを作成・配布していた銀行が、通帳(法人)による多額の普通預金の払戻しに当たり本人確認の手続をとらなかった場合において、銀行側に過失があったとして、債権の準占有者に対する弁済としての免責が認められなかった事例

(大阪高判平20・2・28)

○施設入所の未成年者が有する施設主宰者らに対する損害賠償請求権の除斥期間の起算点は、親権者がこの権利を行使することを期待して施設との委託契約を解除したときとされた事例

(名古屋高判平19・9・26)

▽オンラインゲームの提供者の従業員がその運営管理プログラムに不正アクセス行為を行いゲーム内の仮想通貨の保有量を増やしこれを仮装通貨やアイテムを現実の金銭で取引する業者に売却した行為が当該提供者の信用を毀損する不法行為に該当するとして当該提供者が当該従業員に対して求めた損害賠償請求が認容された事例(東京地判平19・10・23)

▽一 過払金につき、後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意が認められた事例

二 過払金の消滅時効につき判断された事例

(水戸地日立支判平20・1・25)

知的財産権

〇「無アルカリガラス、液晶ディスプレイパネル及びガラス板」の発明に係る特許出願につき、同出願に先立つ特許出願を優先権主張の基礎とする特許出願の明細書に記載された発明と同一であるとして、特許法二九条の二の規定により登録を拒絶すべきものとした審決が、審決において同条の規定の対象とした発明は優先権主張の基礎とされた先出願の明細書には記載されていないとして、取り消された事例

(知的財産高判平19・12・26)

商事

▽株式発行会社の有価証券報告書等の虚偽記載により同株式の取得価格と想定価格との差額について損害を被ったとの株主の主張が排斥された事例(東京地判平20・2・21)

刑事

○航空機事故について航空管制官の過失責任が肯定された事例

――日航機ニアミス事件控訴審判決(東京高判平20・4・11)

◆最高裁判例要旨平(成二〇年五・六月分)

最新判例批評

五四 一 所得税法一六一条六号の貸「付金(これに準ずるものを含む。)」の「利子」の意義

二 いわゆるレポ取引に係る売買代金と再売買代金との差額が所得税法一六一条六号の「貸付金(これに準ずるものを含む。)」の「利子」には該当せず、源泉徴収義務が存しないとされた事例

(東京地判平19・4・17)……占部裕典

五五 消費者金融業者が消費者より利息制限法所定の上限利率を超えた利息による過払金を受領する行為を違法として、消費者の金融業者に対する損害賠償請求が認容された事例

(神戸地判平19・11・13)……小野秀誠

五六 自賠法七二条の政府の保障事業における被害者のてん補請求において、労災保険の障害年金のうち既に支給を受けたもの及び支給を受けることが確定したものは控除すべきであるが、未だ支給を受けることが確定していない障害年金の額についてまで控除することは要しないとされた事例

(東京地判平19・7・26)……信揮久美子

五七 代位債権者が債権者代位訴訟による給付判決を取得した後に被代位債権について差押債権者が転付命令を取得した場合の転付命令の効力

(大阪高判18・12・13)……高田賢治

五八 資本提携契約と業務提携契約の解釈と表明保証責任――ライブドアオート事件

(東京地判平19・9・27)……中東正文

五九 夜間高速道路において自動車を運転中に自損事故を起こし車外に避難した運転手が後続車にれき過されて死亡したことが、自家用自動車保険契約普通保険約款の搭乗者傷害条項における死亡保険金の支払事由に該当するとされた事例

(最三判平19・5・9)……福島雄一

六〇 労働組合からの脱退を制限する労働者・使用者間の合意の効力

――東芝労働組合小向支部・東芝事件(最二判平19・2・2)……土田道夫

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