判例時報 No.2005
平成20年8月1日 号 定価:円
(本体価格:円+10%税)
判決録 行政 ▽一 不法行為による損害賠償請求権を法人の収益として計上すべき事業年度 二 従業員の詐欺により損害を被った法人が当該従業員に対して取得する損害賠償請求権の額は、法律上当該請求権が発生した事業年度ではなく、当 […]
判決録 行政 ▽一 不法行為による損害賠償請求権を法人の収益として計上すべき事業年度 二 従業員の詐欺により損害を被った法人が当該従業員に対して取得する損害賠償請求権の額は、法律上当該請求権が発生した事業年度ではなく、当 […]
判決録
▽一 不法行為による損害賠償請求権を法人の収益として計上すべき事業年度
二 従業員の詐欺により損害を被った法人が当該従業員に対して取得する損害賠償請求権の額は、法律上当該請求権が発生した事業年度ではなく、当該法人が損害及び加害者を知った事業年度の益金に計上すべきであるとされた事例
(東京地判平20・2・15)
◎少年Aが少年B及び少年Cから暴行を受けて死亡したことについて、暴行が行われている現場に居た少年Y1、Y4及びY7がAを救護するための措置を執るべき法的義務を負っていたとはいえないとされた事例
(最一判平20・2・28)
○保険会社を被告とし被保険者の死亡事故による死亡保険金を請求する訴訟において、被保険者を同じくする他の保険契約により死亡保険金を請求されるおそれがある他の保険会社が被告を補助参加するため訴訟に参加することの許否
(東京高決平20・4・30)
○貸金業者が期限の利益喪失特約により債務者が期限の利益を喪失したと主張するのは信義誠実の原則により許されないとされた事例
(大阪高判平20・1・29)
▽学校法人の内紛において、新たに選任されたとする理事らが詐欺により理事長を辞任させ、法人を支配したとして不法行為に基づく損害賠償責任が認められた事例
(東京地判平19・10・25)
▽受贈者が破産者から贈与を受けた新株引受権を行使して新株を取得した後これを第三者に売却している場合において、破産管財人の当該贈与行為に対する否認権行使の時点における当該新株の価額を基準とする価額賠償請求が認容された事例
(名古屋地判平19・11・30)
▽高齢な患者の前立腺肥大のレーザー手術にあたり医師が脊椎麻酔を施したところ、低血圧から呼吸停・心肺停止のショック状態に陥り、半年程して肺炎を併発して死亡した場合に、脊椎麻酔施行後の体位保持義務、麻酔高監視義務違反があるとして、病院と医師の不法行為責任が認められた事例
(札幌地判平19・9・26)
〇一 商標の不使用取消審決が維持された事案において、輸出用商品に商標を付する行為は平成一八年改正前の商標法の下における「登録商標の使用」(商標法五〇条7項)に該当しないとされた事例
二 商標の不便周取消審判の「請求の趣旨」における「指定商品の範囲」(特に、「類似する商品」との記載)の明確性について付言のされた事例
(知的財産高判平19・10・31)
▽株式移転により完全親会社の取締役に就任した者は、完全子会社の取締役として行った過去の違法行為について、完全親会社に対しても責任を負うか(消極)
(東京地判平20・3・27)
▽仮免許の取得者が運転する自家用軽貨物自動車の荷台に搭乗中に事政に遭い負傷した被害者が当該車両を被保険自動車として締結されていた家庭用総合自動車保険契約の人身傷害補償条項に基づく保険金を請求した場合において、①当該被害者は同条項の「被保険者の除外事由」にいう「極めて異常かつ危険な方法で搭乗中の者」に該当しない、②当該被害は同条項の「保険者の免責事由」にいう「被保険者の故意又は極めて重大な過失によって生じた損害」に該当しないとして、当該被害者の保険金請求が認容された事例
(福岡地判平19・7・13)
〇一 男女の差によって賃金を差別する状態を形成、維持した措置が労働基準法四条、不法行為の違法性の基準とすべき雇用関係についての私法秩序に反する違法な行為であるとして、不法行為に基づ-損害賠償請求が認容された事例
二 違法な男女のコース別の処遇について、差額賃金等相当損害金’慰謝料の支払が命ぜられた事例
――兼松男女差別事件控訴審判決(東京高判平20・1・31)
◎薬物犯罪の暫助犯から「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神菜取締法等の特例等に関する法律一一条一唄、一三条一項により没収・追徴できる薬物犯罪収益等の範囲
(最三判平20・4・22)
▽一 通勤電車内で爆発物であるTATPを爆発させる意図であったとの被告人の捜査段
階の自白の信用性が否定された事例
二TATPの製造並びに同TATP及び爆発物の使用に供すべき器具の所持につき、人の身体、財産を害する目的を有していたとは認められず、爆発物取締罰則三条違反の罪の成立が否定された事例
三TATPの製造及び所持につき、人の財産を害する冒的がなかったことの証明がなされたとはいえないとして、爆発物取締罰則六条違反の罪の成立が肯定された事例
(東京地判平20・2・22)
四九 行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づいてされた開示請求に対し外務大臣が開示決定等をしない不作為が違法であると認定された事例
(東京地判平19・12・26) 佐伯 彰洋
五〇 大和都市管財国家賠償請求訴訟
(大阪地判平19・6・6) 小幡 純子
五一 受託保証人の事前求償権と消滅時効
(東京高判平19・12・5)渡邊 力
五二 土地を目的とする先順位の甲抵当権が消滅した後に後順位の乙抵当権が実行された場合において、土地と地上建物が甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったが、乙抵当権の設定時には同一の所有者に属していたときの法定地上権の成否
(最二判19 ・7・6)高橋 寿一
五三 初任給の大幅な引き下げが組合員の労働条件、権利等に影響を及ぼす可能性が大きく、組合員の労働条件との関わりが強い事項であるとして使用者の義務的団交事項にあたり、団交拒否が不当労働行為に当たると判断された事例――根岸病院事件
(東京高判平19・7・31)道幸 哲也