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判例時報 No.2003
             平成20年7月11日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

◆ 記事◆ 現代型取引をめぐる裁判例(210)……升田純   ◆判例特報◆ 一 有価証券報告書の株式数についての虚偽記載が不法行為法上の違法に当たるとされた事例 二 有価証券報告書に虚偽記載があることが発覚し、 […]


◆ 記事◆

現代型取引をめぐる裁判例(210)……升田純

◆判例特報◆

一 有価証券報告書の株式数についての虚偽記載が不法行為法上の違法に当たるとされた事例

二 有価証券報告書に虚偽記載があることが発覚し、上場廃止となった会社の株主の損害賠償集団訴訟において’株式を処分した株主の請求が認容され、株式を保有している株主の

請求が棄却された事例

――西武鉄道株主集団訴訟第一審判決(東京地判平20・4・24)

◆判決録◆

行政

◎公正取引委員会の排除措置命令に違反した者を独禁法九七条の定める過料に処さないこととした原審の判断が是認された事例

(最一決平20・3・6)

▽建物譲渡による損失について損益通算を廃止した租税法規の沸及適用が違憲とされた事例

(福岡地判平20・1・29)

民事

◎賃料自動改定特約のある建物賃貸借契約の賃借人からの賃料減額請求の当否等を判断するに当たり、上記特約による改定前に当事者が現実に合意した直近の賃料を基にすることなく、上記特約によって増額された賃料を基にして、増額された日から当該請求の日までの間に限定して経済事情の変動等を考慮した原審の判断に違法があるとされた事例

(最二判平20・2・29)

○株券を拾得した者が遺失物法に基づく報労金を請求した件について、具体的な報労金の額が認定された事例

(大阪高判平20・1・25)

▽一 新聞記事の名誉穀損性を判断するに当たっては、原則として、見出しのみならず記事本文等、記事全体から受ける印象をもって判断すべきであるとされた事例

二 名誉穀損記事の情報提供者に対する損害賠償及び謝罪広告の請求が棄却された事例

(東京地判平19・12・5)

▽核燃料加工会社での臨界事故により付近の自動車組立場の経営者夫妻が被曝し身体に変調があるとして加工会社及びその親会社に対して求めた損害賠償請求が棄却された事例

(水戸地判平20・2 ・27)

▽町の管理する流雪溝入口の河川内で除雪作業中の受注業者の従業員が、急激に発生した水流に流され受傷した事故につき、町の安全管理義務違反に基づく損害賠償責任が認められた事例(旭川地判平19・12・26)

知的財産

▽一 レコード製作者に付与された著作隣接権としての送信可能化権について、著作権法改正による同権利の創設前に音楽事務所とレコード会社との間で締結された共同制作原盤譲渡契約及び原盤独占譲渡契約における包括的な権利譲渡条項に基づき、音楽事務所からレコード会社への譲渡が認められた事例

二 自己の計算と責任においてレコード原盤に録音した者がレコード製作者であるとされた事例

(東京地判平19・1・19)

▽一 店舗外観は、それ自体は営業主体を識別させるために選択されるものではないが、特徴的な店舗外観の長年にわたる使用等により、第二次的に店舗外観全体も特定の営業主体を識別する営業表示性を取得する場合もあり得ないではないとされた事例

二 店舗外観全体の類否を検討するに当たっては、単に、店舗外観を全体として見た場合の漠然とした印象、雰囲気や、当該店舗外観に関するコンセプトに似ている点があるというだけでは足りず、少なくとも需要者の目を惹く特徴的ないし主要構成部分が同一であるか著しく類似しており、その結果、飲食店の利用者たる需要者において、当該店舗の営業主体が同一であるとの誤認混同を生じさせる客観的なおそれがあることを要するとされた事例

(大阪地判平19・7・3)

商事

◎一 会社の行為が商行為に該当することの主張立証責任

二 会社の貸付けが当該会社の代表者の情宜に基づいてされたものとみる余地があっても、当該貸付けに係る債権が商行為によって生じた債権に当たるとされた事例

(最二判平20・2・2)

▽有価証券報告書に虚偽記載があることが発覚し、保有株式を売却した機関投資家から虚偽記載をした会社等に対する請求が、主張する損害が理由がないとして棄却された事例

――西武鉄道株式・機関投資家事件第一審判決

(東京地判平20・4・24)

労働

◎業務上の過重負荷と基礎疾患とが共に原因となって従業員が死亡した場合において、使用者の不法行為を理由とする損害賠償の額を定めるに当たり、使庸者による過失相殺の主張が訴訟上の信義則に反するとして民法七二二条二項の規定を類推適用しなかった原審の判断に違法があるとされた事例

(最一判平20・3・27)

◎船舶から海上に投下し回収する方法により覚せい剤を輸入しようとした行為につき、覚せい剤取締法四一条の輸入罪及び関税法(平成一七年法律第二二号による改正前のもの) 一〇九条一項、三項の禁制品輸入罪の実行の着手があったとはいえないとされた事例

(最二判平20・3・4)

◆最高裁判例要旨(平成二〇年四月分)

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