判例時報 No.2002
平成20年7月1日 号 定価:円
(本体価格:円+10%税)
◆判例特報◆ ①一 国籍法三条一項が、日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子につき、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した(準正のあった)場合に限り日本国籍の取得を認めていることによっ […]
◆判例特報◆ ①一 国籍法三条一項が、日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子につき、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した(準正のあった)場合に限り日本国籍の取得を認めていることによっ […]
◆判例特報◆
①一 国籍法三条一項が、日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子につき、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した(準正のあった)場合に限り日本国籍の取得を認めていることによって国籍の取得に関する区別を生じさせていることと憲法一四条一項
二 日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子は、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分(準正要件)を除いた国籍法三条一項所定の国籍取得の要件が満たされるときは、日本国籍を取得するか
――国籍法違憲訴訟最高裁大法廷判決(最大判平20・6・4)
②一 旧刑訴法適用事件につき再審が開始された場合、その対象となった判決の確定後に刑の廃止叉は大赦があったときは、再審開始後の審判手続において免訴に関する規定の適用を排除して実体判決をすることができるか
二 旧刑訴法適用事件についての再審開始後の審判手続において、被告人は免訴判決に対し無罪を主張して上訴することができるか
三 旧刑訴法通庸事件について再審が開始され、第一審判決及び控訴審判決が言い渡されて更に上告に及んだ後に、当該再審の請求人が死亡しても、再審の手続が終了しない場合
――いわゆる横浜事件再審上告審判決(最二判平20・3・14)
③インターネット関連企業の経営者が、共犯者と共謀の上、①株式交換に関し虚偽の事実を公表し、②内容虚偽の有価証券報告書を提出したとして、証券取引法違反の罪に問われ、懲役二年六月の実刑判決に処せられた事例――ライブドア事件第一審判決(東京地判平19・3・16)
◎一 我が国において既に頒布され、販売されているわいせつ表現物を関税定率法(平成一七年法律第二二による改正前のもの)二一条一項四号による輸入規制の対象とすることと憲法二一条一項
二 輸入しょうとした写真集が、関税定率法(平成一七年法律第二二号による改正前のもの)二一条一項四号にいう「風俗を害すべき書籍、図画」等に該当しないとされた事例(最三判平20・2・19)
◎一 再生法七四条二項三号所定の「再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき」には、再生計画案が信義則に反する行為に基づいて可決された場合が含まれるか
二 民事再生法一七四条の三第一項三号の趣旨を潜脱し信義則に反する再生債務者らの行為に基づいて再生計画案が可決されたとして、再生計画に同法一七四条二項三号所定の不認可事由があるとされた事例(最一決平20・3・13)
▽バッテリーによって駆動するモーターを搭載した「電動ハイブリッド自転車」の継続的販売契約において、同自転車が道路交通法所定の原動機付自転車に該当するにもかかわらず、自転車に該当するものとして販売された場合につき、販売業者に売買契約上の債務不履行責任があるとして、その損害賠償責任が肯定された事例(東京地判平19・10・29)
▽学校法人の内紛において、理事会の議事録を偽造し、偽造の登記を経て、新理事、新評議員に選任された者について、法人の業務を妨害した不法行為に当たるとして、その損害賠償責任が認められた事例(東京地判平19・9・12)
▽利息制限法所定の利率を超過する過払金の返還請求につき、旧会社更生法二四一条所定の免責が認められなかった事例(神戸地判平20・2・13)
○意匠法一〇条の一第一項にいう「二以上の意匠」の「意匠」とは、「意匠登録を受けようとする意匠」の意味であるとして、もとの出願の参考図中に現された意匠を意匠登録を受けようとする意匠とする分割出願について、出願日の遡及を認めなかった審決が維持された事例(知的財産高判18・8・24)
◎会社法三四六条一項に基づき退任後もなお会社の役員としての権利義務を有する者に対する解任の訴えの許否(最三判平20・2・26)
〇一 任期を一年としその任用が反復更新された地方公務員法三条三項三号所定の非常勤職員(保育士)の勤務関係は、公法上の任用関係である
二 私法上の雇用関係における解雇制限法理は当事者の合理的意思解釈が基礎にあるとされ、前記非常勤職員の再任用拒否に対しては、期限付任用が長期にわたり反復更新されたとしても、期間の定めのない任命行為を認定することもできず、当事者双方の意思の推定規定である民法六二九条一項を類推適用することも困難であり、その法理は適用されない
三 前記非常勤職員を任用期間終了時に再任用しなかったことに対し、任命権者の補助職員が長期の職務従事の継続性を期待するような言動を示していたこと、その職務が保育士であり、継続性が求められる恒常的なものであること、再任用が多数回反復して行われ、職務の継続性が長期に及んだことなどの事実関係の下では、任周継続に対する期待権を侵害したとして国家賠償法に基づく慰謝料の支払いが命じられた事例
(東京高判平19・11・28)
◆最高裁判例要旨(平成二〇年四月分)
四二 宗教法人法二五条四項に基づき宗教法人から所轄庁(鳥取県知事)に提出された書類の管理事務が法定受託事務に該当するとされた事例
(広島高松江支判平18・10・1) ……金子優子
四三 連帯保証人が主債務者の債権者である信用保証協会のために根抵当権を設定した場合における被担保債権の範囲
(最一判平19・7・5)……関武志
四四 商品取引所法上の受託業務保証金の払渡対象債権の範囲――商品取引所法九三条の三第一項(平成一六年改正前)にいう『委託により生じた債権』の意義
(最一判平19・7・19) ……川口恭弘
四五 利息制限法違反の超過利息を受領した貸金業者が貸金業規制法四三条一項との関係で民法七〇四条の「悪意の受益者」と推定されるための要件
(①最二判平19・7・13②最二判平19・7・13③最三判平19・7・17)……川角由和
四六 隠れた塀庇ある建物を建築した設計・施工者等の、建築主から建物を買い受けた所有者に対する不法行為責任
(最二判平19・7・6)……山口成樹
四七 代理出産により生まれた子の母子関係と外国判決の承認
(最二決平19・3・23)……棚村政行
四八 マンション住み込み管理員の所定時間外における居室滞在時間の労働時間性
――大林ファシリティーズ(オークルビルサービス)事件
(最二判平19・10・19 ) ……橋本陽子