判例時報 No.1999
平成20年6月1日 号 定価:円
(本体価格:円+10%税)
◆ 判例特報◆ 太平洋戦争後期に沖縄慶良問列島の座間味島及び渡嘉敷島で発生した住民の集団自決について、自決命令を発したとされた守備隊長若しくはその親族が、著者及び出版社に対して名誉若しくは敬愛追慕の情を侵害されたとして求 […]
◆ 判例特報◆ 太平洋戦争後期に沖縄慶良問列島の座間味島及び渡嘉敷島で発生した住民の集団自決について、自決命令を発したとされた守備隊長若しくはその親族が、著者及び出版社に対して名誉若しくは敬愛追慕の情を侵害されたとして求 […]
◆ 判例特報◆
太平洋戦争後期に沖縄慶良問列島の座間味島及び渡嘉敷島で発生した住民の集団自決について、自決命令を発したとされた守備隊長若しくはその親族が、著者及び出版社に対して名誉若しくは敬愛追慕の情を侵害されたとして求めた損害賠償請求及び書籍の出版等差止めの請求等がいずれも棄却された事例
――沖縄集団自決出版差止等訴訟第1審判決(大阪地判平20・3・28)
◆判決録◆
▽原告の両下肢の機能障害が国民年金法施行令別表の二級一五号及び同一七号に該当することを理由として、障害基礎年金不支給処分が取り消された事例
(東京地判平19・8・31)
◎受遺者から民法一〇四一条一項の規定による価額弁償の意思奉不を受けた遺留分権利者が受遺者に対し価額弁償を請求する旨の意思表示をした場合において、当該遺留分権利者が遺贈の目的物について価額弁償請求権を確定的に取得する時期
(最一判平20・1・24)
〇遺留分権利者が遺留分減殺請求権を行使する前提として、遺贈に係る債権について処分禁止の仮処分を申請した場合において、遺言執行者が指定されているときは、権利を害されるおそれはなく、保全の必要性は認められないとして、その申請が却下された事例
(広島高決平19・9・21)
○特定不動産について「相続させる」旨の遺言がされた場合、遺留分権利者は、遺留分減殺請求権を行使した上、相続人を債務者として処分禁止の仮処分の申立てができるとされた事例
(広島高決平19・9・27)
▽レンタカーサービス会社から自動車を賃借した者が運転中に人身事故を起こした場合、同会社に自賠法三条の責任が認められた事例
(東京地判平19・7・5)
▽演習場で行われた徒歩行進訓練に参加した自衛隊員が、その離脱後に冠状動脈閉塞症により死亡した事故につき、上司である隊長に過失があるとして、遺族の国に対する損害賠償請求が認容された事例(神戸地判平19・9・26)
▽刑務所の受刑者が刑務作業中に左手指を負傷した場合、刑務所側に安全配慮義務違反があったとして、国の不法行為責任が認められた事例
(熊本地判平20・1・15)
〇二以上の請求項を対象とする訂正審判請求における訂正の許否の判断について説示された事例
(知的財産高判平19・12・28)
〇一 二以上の請求項を対象とする訂正審判請求における訂正の許否の判断を請求項ごとにすべきものとされた事例
二 訂正審判請求に係る複数の請求項のうちの一つにつき訂正要件及び独立特許要件を認めたにもかかわらず’他の請求項が独立特許要件を欠くことを埋由とした審判請求不成立の審決に対する取消訴訟において、訂正要件及び独立特許要件が認められた当該請求項に係る訂正の確定時期、について判示された事例
(知的財産高判平20・2・12)
▽水門開閉装置用の減速機に関する営業秘密の不正開示・不正使用に基づく損害賠償請求が、営業秘密性が否定されるか不正開示等行為が否定されて棄却された事例(大阪地判平19・5・24)
▽証券業の登録を受けない業者による未公開株の販売が詐欺的商法に当たるとし、その取締役らの任務懈怠責任が肯定された事例
(東京地判平19・1・30)
▽運送会社のトラック運転手の腰痛の発症、椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄の後遺障害の残存につき、会社側の安全配慮義務違反の損害賠償責任が認められた事例(長野地判平19・12・4)
◎被害者一名の殺人等の事案につき死刑の量刑が維持された事例
――三島女子短大生焼殺事件上告審判決(最二判平20・2・29)
◎被殺者二名の強盗殺人等被告事件につき、多数意見では被告人二名を無期懲役に処した第一審判決を維持した控訴審判決を破棄しなければ著しく正義に反するとは認められないとされたが、一名の被告人について、二裁判官による量刑不当との反対意見が付された事例
(最二決平20・2・20)
◆ 最高裁判例要旨(平成二〇年三月分)
三五 将来の給付の訴えを提起する請求権としての適格を有しないものとされた事例――横田基地騒音公害訴訟上告審判決
(最三判平19・5・29)……山本和彦
三六 村内で行われた県営事業の用地取得費相当額の村から県への寄附が地方財政法二八条の二に違反しないとされた事例(東京高判17・2・9)……甲斐素直
三七 一 公正証書により死因贈与契約が締結され、その執行者が指定された場合、遺言執行者に関する民法の規定が準用された事例
二 死因贈与執行者は、受贈者への真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続きを求める訴えについて、原告適格が認められるとされた事例
(東京地判平19・3・27)……川 淳一
三八 再生計画案の可決決議において、手続開始申立前にされた再生債権の一部譲渡により、譲渡前の状態では頭数要件を具備しなかったものが頭数要件を具備するものとされたことが、民事再生法一七四条二項三号所定の「再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき」に該当するとされ、かつ、債権額の一パーセントを一括弁済するとの再生計画の決議が、本件事案のもとでは再生債権者の一般の利益に反するとして、再生計画認可決定が取り消された事例
(東京高決平19・4・1)……三上威彦
三九 立体商標の出願につき、当該商標登録出願を拒絶すべきものとした審決が商標法三条二項に該当するとして取消された事例
――マグライト立体商標事件(知的財産高判平19・6・27)……生駒正文
四〇 神奈川信用農業協同組合事件(最一判19 ・1・18)……山下昇
四一 「会社一本」と呼ばれる大工の労災保険法上の労働者性
――藤沢労基署長(大工負傷)事件(最一判平19・6・2)……藤原稔弘