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判例時報 No.1990〔判例評論 No.589〕
             平成20年3月1日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

判例特報 一 特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者が我が国において特許製品を譲渡した場合に、特許権者が当該特許製品につき特許権を行使することの可否 二 特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者が我が国において […]


判例特報

一 特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者が我が国において特許製品を譲渡した場合に、特許権者が当該特許製品につき特許権を行使することの可否

二 特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者が我が国において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされた場合に、特許権者が当該加工等がされた製品につき特許権を行使することの可否

三 特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者が我が国において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされた場合に、当該加工等が特許製品の新たな製造に当たるとしてその特許製品につき特許権の行使が許されるといえるかどうかの判断基準

四 我が国の特許権者又はこれと同視し得る者が国外において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされた場合に、特許権者が当該加工等がされた製品につき我が国において特許権を行使することの可否

五 我が国の特許権者又はこれと同視し得る者が国外において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされた場合に、当該加丁等が特許製品の新たな製造に当たるとしてその特許製品につき我が国において特許権の行使が許されるといえるかどうかの判断基準

六 インクジェットプリンタ用インクタンクに関する特許の特許権者により我が国及び同罪で譲渡された特許製品の使用済みインクタンク本体を、第三者が利用しこれに加工するなどして製品化したインクタンクについて、特許権者による権利行使が認められた事例

――インクカートリッジ事件上告審判決(最一判平19・11・8)

判決録

行政

▽行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づいてされた開示請求に対し外務大臣が開示決定等をしない不作為が違法であると判断された事例(東京地判平19・12・26)

民事

〇一 飼い犬の卵巣子宮全摘出、下顎骨切除、乳腺腫癌切除の手術の施行について、飼い主から獣医師に対する損害賠償請求が認容された事例

二 飼い犬の手術の施行に関し、獣医師の飼い主に対する説明義務違反が肯定された事例

(東京高判平19・9・27)

▽マンションの建築主の代理人である建設業者と隣地の建物所有者との問で目隠し等の設置に関する合意が有効に成立したとし、建築主に対して、目隠し等の設置と一〇〇万円の慰謝料の支払が命じられた事例(東京地判平19・4・27)

▽円錐角膜症の治療のための角膜移植手術後に、散瞳剤の投与を継続的に受けていた患者に不可逆的な散瞳症が発症した事例について、不可逆的な散瞳症に至った原因は散瞳剤の継続的投与にあるとし、かつ、散瞳剤の投与回数を誤った過失があると認めた上、これに伴う損害として合計一七〇〇万円余りの損害賠償請求が認容された事例(東京地判平19・4・13)

▽私道の敷地所有者が設置した鉄柱、看板により、平穏な生活を送る人格的な法益を侵害するとして、私道に接する建物所有者の敷地所有者に対する鉄柱、看板の撤去請求が認容された事例(東京地判平19・2・13)

▽従業員が会社の長時間における過重な労働によりうつ病に擢患し自殺したとして、会社に対し安全配慮義務違反に基づいて求めた損害賠償請求が棄却された事例(名古屋地判平19・1・24)

▽町長の町道改良事業に関する設計委託費の支出命令の決裁に裁量権の逸脱があるとして、町の町長に対する損害賠償請求が認容された事例(津地判平19・7・19)

▽執行官のした差押茶葉の競売期日の指定、公告、評価に違法があるとしたが、差押債務者に損害が生じたとは認められないとして、国家賠償請求が棄却された事例(熊本地判平19・3・30)

知的財産権

○昭和二八年に公表された映画の著作物の著作権が、平成一五年法律第八五号により改正さ

れた著作権法の施行日に既に消滅していて、映画の著作物の著作権の保護期間を七〇年に延長する同法五四条一項の規定が適用されないとされた事例

(知的財産高判平19・3・29)

▽特許を受ける権利の確認訴訟において、同権利の共有者であると主張して被告側に参加しようとする者は、共同訴訟参加の方法によることができる

(東京地判平19・6・27)

商事

◎自動車総合保険契約の人身傷害補償特約が、「自動車の運行に起因する事故等に該当する

急激かつ偶然な外来の事故により被保険者が身体に傷害を被ること」を保険金支払事由と定め、被保険者の疾病によって生じた損害に対しては保険金を支払わない旨の規定を置いていない場合に、保険金の支払を請求する者が主張、立証すべき事項

(最二判平19・10・19)

労働

○初任給の大幅な引き下げが組合員の労働条件、権利等に影響を及ぼす可能性が大きく、組合員の労働条件との関わりが強い事項であるとして使周者の義務的団交事項に当たり、団交拒否が不当労働行為に当たると判断された事例

(東京高判平19・7・31)

刑事

▽一 国際捜査共助の要請に基づき、アメリカ合衆国において作成された宣誓供述書について、刑訴法三二一条一項三号により証拠能力が認められた事例

二 刑法五条にいう「同一の行為」の意義

(東京地判平19・10・25)

◆最高裁判例要旨(平成一九年一二月分)

最新判例批評

一三 一 個人情報保護法二五条一項に基づ-訴訟による個人情報の開示請求の可否(消極)

二 個人情報保護法二五条二項に違反した事業者が慰謝料の賠償責任を負わないとされた事例

(東京地判平19・6・27) ……宇賀克也

一四 産院における新生児取り違えを理由とする債務不履行に基づく損害賠償請求について、損害が顕在化して権利行使が現実に期待可能となったときから消滅時効が進行するとして、時効の完成を認めなかった事例

(東京高判平18・10・12) ……半田吉信

一五 私的な年金制度の受給者が一時払いでなく年金払いを選択していたところ、年金制度が破綻し、年金を受給できなくなった場合、年金制度を運営する組合に説明義務違反による責任はないとされた事例

(東京高判平18・10・25 ) ……本澤巴代子

一六 精神科病院に入院中の患者が消化管出血による吐血等の際に吐物を誤晒して窒息死した場合において、担当医に転送義務違反等の過失があるとした原審の判断に経験則違反の違法があるとされた事例

(最三判平19・4・3)……飯塚和之

一七 貸金業者の制限超過利息の請求と不法行為の成立・慰謝料

(札幌高判平19・4・26) ……小野秀誠

一八 民事再生手続が開始され当該手続が進行中の状態の下では、再生債権者は再生債権を被保全債権とする詐害行為取消訴訟を提起することは許されない

(東京地判平19・3・26) ……佐藤岩昭

一九 証券取引法七九条の二〇第三項二号に規定する「証券業に係る取引」と証券会社が同取引を仮装して行った取引

(最一判平18・7・13) ……王子田誠

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