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判例時報 No.1986
             平成20年1月21日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

◆記事◆ 生命保険契約における保険金請求権と消滅時効の進行(下)――高度障害保険金請求権の時効を中心に……草野元己   現代型取引をめぐる裁判例(199)……升田純   海外刑法だより(272) 平穏 […]


◆記事◆

生命保険契約における保険金請求権と消滅時効の進行(下)――高度障害保険金請求権の時効を中心に……草野元己

現代型取引をめぐる裁判例(199)……升田純

海外刑法だより(272)

平穏生活権――暴力団事務所の排除に向けて……森下忠

◆判決録◆

行政

▽いわゆるレポ取引における売買代金額と再売買代金額との差額が所得税法一六一条六号にいう「貸付金(これに準ずるものを含む。)」の「利子」には該当しないとして、当該差額に係る所得の源泉徴収義務があるとして行われた各納税通知処分及び不納付加算税賦課決定処分をいずれも取り消し、国に対し、納付した金員から既に還付済みの金員を除いた約六三億円及び還付加算金の支払が命じられた事例(東京地判平19・4・17)

民事

○兵庫県住宅供給公社が阪神大震災の災害復興住宅として建設分譲したマンションが売れ残り、売残り分を当初分譲から四年後に市場価格の下限を10%以上も下廻る価格で販売した場合に、この販売には信義則上の義務に違反する過失があるとし、当初買受けた者に対する不法行為責任が認められた事例(大阪高判平19・4・13)

○アパートの賃借人の妻が洗濯物を干す際に二階の窓から転落して死亡した場合、窓に手すりや柵等が設置されていなかった瑕疵があったとして、賃貸人兼所有者の民法七一七条による損害賠償責任が認められた事例(福岡高判平19・3・20)

▽一 ダイヤモンドの指輪を百貨店にリフォームのために寄託したところ、人工石であるキュービック・ジルコニアが取り付けられた事故について、百貨店の寄託契約に基づく返還義務が認められた事例

二 前記事故後の百貨店の対応について説明義務違反及び名誉毀損は認められなかったものの、返還義務の不履行について慰謝料の支払いが命じられた事例

(東京地判平19・2・15)

▽患者が大腸癌切除手術後にカテーテル感染症から敗血症に陥り、約七か月間寝たきりの闘病生活をした後に死亡したことにつき、担当医師に、カテーテル感染症を疑ってIVHカテーテルを早期に抜去すべき義務を怠った過失があり、担当医師の過失がなければ、患者は現実の死亡の時点よりもなお若干の期間生存し、一時的にせよ通常の日常生活がおくれたとして、慰謝料一二〇〇万円等の損害賠償請求が認められた事例

(東京地判18・11・22)

▽市議会の財務総務委員会における傍聴を不許可とされたのは、記者クラブに所属していないためであるとして、フリージャーナリストが市に対して求めた国家賠償請求が棄却された事例

(大阪地判平19・2・16)

▽大学院入学の意思表示に要素の錯誤があるとして、大学に対し入学を辞退し、納入した入学料の返還を求めた請求が認容された事例

(名古屋地判平19・3・23)

▽智歯の抜歯の際、無理な外力を加えたために、患者の下顎骨を骨折し舌神経を損傷した場合、歯科医師に抜歯治療上の過失があったとして、不法行為に基づく損害賠償責任が認められた事例(富山地判平19・1・19)

知的財産権

○インクジェット記録装置用インクタンクに関する特許権侵害訴訟において、特許出願が不適法な分割出願であるため、出願日が原出願の時まで遡及せず、特許発明が新規性を欠き、特許権者の権利行使が制限されると判断された事例

(知的財産高判平19・5・30)

〇一 Ⅹ製品の包装の表示態様のうち自他商品識別機能を有するのは「ラッパの図柄」(及びXの社名)のみであるとされY製品の表示態様との類似性が否定された事例

二 「正露丸」という普通名称が商品等表示へ転換したとは認められなかった事例

(大阪高判平19・10・1)

商事

▽免責的債務引受等を承認した取締役の善管注意義務違反・忠実義務違反が否定された事例――カネボウ株主代表訴訟第一審判決

(東京地判平19・9・27)

刑事

◎一 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的でした営業中の銀行支店出張所への立入りと建造物侵入罪の成否

二 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮するためのビデオカメラを設置した現金自動預払機の隣にある現金自動預払機を、一般の利用客を装い相当時間にわたって占拠し続けた行為が、偽計業務妨害罪に当たるとされた事例

(最一決平19・7・2)

◎一 最高裁判所から高等裁判所判事の職務を代行させる旨の人事措置が発令されていない判事補が構成に加わった高等裁判所により宣告された原判決が、刑訴法四一一条一号により破棄された事例

二 上告裁判所が原判決を破棄するに当たり、口頭弁論を経ることを要しないとされ

た事例

(最三判平19・7・10)

◆最高裁判例要旨(平成一九年一〇月分・七月分補遺)

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