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判例時報 No.1981 〔判例評論 No.586〕
             平成19年12月1日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

◆判決録◆ 行政 ○村が県に対してした施設用地取得費の寄附が地方財政法二八条の二に違反しないとされた事例 ――昆虫の森負担区分事件控訴審判決(東京高判17・2・9) ▽出生届出が不受理の場合において、例外的に職権で、当該 […]


◆判決録◆

行政

○村が県に対してした施設用地取得費の寄附が地方財政法二八条の二に違反しないとされた事例

――昆虫の森負担区分事件控訴審判決(東京高判17・2・9)

▽出生届出が不受理の場合において、例外的に職権で、当該子の住民票を作成する義務があるとして、当該子の住民票の記載をしない処分を取り消し、住民票を作成するよう命じられた事例

(東京地判19・5・31)

民事

◎同一の貸主と借主の間で基本契約を締結せずに切替え及び貸増しとしてされた多数回の貸付けに係る金銭消費貸借契約が、利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものと解された事例

(最一判19・7・19)

〇市が発注した工水管取替工事において、工事業者の従業員運転のバックホウが持ち上げた水道管の上に乗って作業をしていた作業員が水道管と土留切梁との問に挟まれて死亡した場合に、工事業者に安全配慮義務違反の損害賠償責任があるとされ、市には注文者としての損害賠償責任はないとされた事例

(大阪高判18・11・17)

○被用者の使用者に対する既発生と将来の損害賠償債務に関する親族の保証について、身元保証に関する法律五条の趣旨に従い、一定の範囲に限定された事例

(福岡高判18・11・9)

○友人らと飲酒して気分が悪くなった大学生である救急患者が急性アルコール中毒に起因してアルコール性心筋症等を生じて急性心不全となり、肺水腫を発症して急性呼吸不全で死亡した場合に、救急患者として治療を終了して帰宅させる際に、医師がアルコール性心筋症等の発症を疑い、再度診療すべき注意義務があるのに、これを懈怠したとして不法行為責任が認められた事例

(高松高判18・9・15)

▽LPガスの供給事業を営む会社の代表取締役が競業会社と共謀し、競業する会社を設立し、従業員を引き抜き、顧客を奪った場合について、代表取締役’競業会社、設立された会社の不法行為が認められた事例

(東京地判18・12・12)

▽携帯電話による低温熱傷の発症が主張された事故につき、製造業者の製造物責任が否定された事例

(仙台地判19・7・10)

知的財産権

○白塗りの袋文字で表した「本生」の文字に影を付けて表示してなり、指定商品を第三二類「ビール風味の麦芽発泡酒」とする商標登録出願を拒絶すべきものとした特許庁の審決について、商標法四条一項一六号に該当するとした認定判断に誤りがあるが、同法三条一項三号に該当するとした認定判断及び同法三条二項に該当しないとした認定判断に誤りはなく、結論に影響しないとして、審決が維持された事例――商標「本生」事件判決

(知的財産高判19・3・28)

商事

▽会社が会計監査のために取引銀行に対して会計監査人に直接送付を依頼した残高確認書につき、同銀行が同会社の経理部長に交付し、同経理部長が残高証明書を偽造し、同会計監査人に送付したことが準委任契約上の債務不履行に当たるとされ、同銀行に対して一〇〇〇万円の無形損害の賠償支払いが命じられた事例

(東京地判19・5・31)

労働

〇一 在職中、賃金について女性であることを理由に差別的な取扱いを受けたとして、不

法行為に基づく損害賠償請求が認容された事例

二 改正前の均等法八条は、単なる訓示規定ではなく、実効性のある規定であるとして、不法行為の成否についての違法性判断の基準とすべき雇用関係についての私法秩序には同条の趣旨も含まれると判示された事例

(東京高判19・6・28)

刑事

◎一 出来高に関し他人に誤解を生じさせる目的は、価格操作ないし相場操縦の目的を伴わない場合でも、証券取引法(平成一二年法律第九六号による改正前のもの) 一五九条一項柱書きにいう「取引が繁盛に行われていると誤解させる等これらの取引の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的」に当たるか

二 いわゆる自己両建ての有価証券オプション取引(判文参照)は、証券取引法(平成二一年法律第九六号による改正前のもの)一五九条一項三号にいう「オプションの付与又は取得を目的としない仮装の有価証券オプション取引」に当たるか

(最一決19・7・12)

最新判例批評

八九 公職選挙法(平成一八年法律第五二号による改正前のもの) 一四条、別表第三の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性

(最大判18・10・4)……中谷実

九〇 市立小学校の校長が音楽専科の教諭に対し入学式における国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏を行うよう命じた職務命令が憲法一九条に違反しないとされた事例

――君が代ピアノ伴奏職務命令拒否懲戒処分事件上告審判決

(最三判19・2・27)……安西文雄

九一 一 資金前渡を受けた職員のする普通地方公共団体に債務を負担させる行為及び債権者に対する支払と住民訴訟の対象となる「公金の支出」

二 資金前渡を受けた職員と地方自治法(平成一四年法律第四号による改正前のもの)二四二条の二第一項四号にいう「当該職員」

三 資金前渡を受けた職員が普通地方公共団体に債務を負担させる行為をした場合における当該普通地方公共団体の長と地方自治演(平成一四年法律第四号による改正前のもの)二四二条の二第一項四号にいう「当該職員」

四 資金前渡を受けた職員が普通地方公共団体に債務を負担させる行為をした場合における当該普通地方公共団体の長の損害賠償責任

五 普通地方公共団体の長その他の執行機関が一般的な友好、信頼関係の維持増進自体を目的として各種団体等の主催する会合に列席し祝金を交付するなどの交際をすることの適否

(最二判18・12・1)……岡本博志

九二 学納金返還訴訟上告審判決(①〜③最二判18・1・27)……今西康人

九三 証券投資信託における受益証券の解約実行請求の方法

(最一判18・12・14)……藤田寿夫

九四 一 数量的な一部を明示して損害賠償を求める訴訟の係属中に請求が拡張された場合において損害賠償請求権の残部につき民法一五三条の催告が継続していたものとされた事例

二 自賠法三条の他人性と好意同乗減額

(高松高判19.2・22)……小賀野晶一

九五 破産した賃借人の破産管財人がした破産宣告後の未払賃料等への敷金の合意充当と、敷金返還請求権に質権の設定を受けた質権者に対する破産管財人の注意義務

(①最一判18・12・21,②最一判18・12・21)……桶舎典哲

九六 プロ野球選手と所属球団との間において、プロ野球ゲームソフト及びプロ野球カードにつき、球団が第三者に対して選手らの氏名及び肖像の使用許諾をする権限を有しないことの確認請求が棄却された事例

――プロ野球選手肖像権訴訟第一審判決(東京地判18・8・1)……花本広志

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