◆記事◆
熊本地方裁判所における新破産法施行後の破産手続の運用状況について
――小規模管財手続導入後の二年間を振り返って……熊本地方裁判所民事第一部破産係

許可抗告事件の実情――平成一八年度……福田剛久、溝上真

◆特報◆
一　漁業被害に関する損害賠償請求訴訟の受訴裁判所から公害等調整委員会に対して当該訴訟の因果関係に係る争点につき原因裁定の嘱託がなされた事例
二　排砂式ダムにおける排砂と河口海域でのワカメ養殖の収穫不振との間の因果関係が認められた事例
三　排砂式ダムにおける排砂と河口海域での刺し網漁業の漁獲華変動との間の因果関係が認められなかった事例
――富山県黒部川河口海域における出し平ダム排砂漁業被害原因裁定嘱託事件(公調委裁定平19・3･28)

◆判決録◆

行政

◎郵便番号自動読取区分機類に関する入札談合の事案につき公正取引委員会が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(平成一七年法律第三五号による改正前のもの)五四条二項所定の｢特に必要があると認めるとき｣の要件に該当するとしてした排除確保措置を命ずる審決が同法五七条一項及び同法五四条二項の規定に違反しないとされた事例
(最一判平19・4・19)

民事

◎離婚の訴えにおける別居後離婚までの問の子の監護費用の支払を求める旨の申立てと裁判所の審理判断の安否

(最二判平19・3・30)

〇追突事故の被害女性について脳脊髄液減少症の発症が認められないとされた事例
(福岡高判平19・2・13)

▽換金目的で大量の新幹線回数券を購入した被用者の行為を職務権限内でなされたものと信じた相手方に重大な過失があるとして､使用者責任が否定された事例
(東京地判平18・10･27)

▽貸金等の返還請求訴訟の受任弁護士の受任義務違反により敗訴が確定したが､右敗訴と右弁護士の義務違反との間に因果関係が認められないとして､委任者の損害賠償請求が棄却された事例(大阪地判平18・12･8)

▽冷凍食品などの保管､配送業務を営む会社の骨髄異形成症候群(MDs)に篠患した社員が､肺炎を発病して死亡した場合､過重労働と死亡との間に因果関係があるとして､会社の安全配慮義務違反の損害賠償責任が認められた事例(千葉地判平17・9･21)

▽九州新幹線(鹿児島ルート)の軌道､架線及び高架橋の設置又は管理上の暇庇により日照阻害､騒音被害､地価の低下による被害を蒙ったとして､住民が求めた損害賠償請求が認容された事例(鹿児島地判平19・4･25)

知的財産権

○職務発明の対価を請求する訴訟において発明者及び発明者問の貢献割合を認定した上対価の額が算定された事例
(知的財産高判平19・12･13)

商事

○債権者への取立委任裏書がなされた上で交付されていた商業手形が債権担保のため債権者に譲渡された場合､後日なされた取立委任の記載の抹消を待たずに譲渡の時点で手形債権は譲渡担保として債権者に移転したものとされた事例
(福岡高判平19・2・22)