記事
現代型取引をめぐる裁判例(191)……升田純

最高裁民事破棄判決等の実情（4）･完――平成一八年度……宮坂昌利、谷口豊

海外刑法だより(267)
国際刑事訴訟法の論点（6）――当事者主義と職権主義……森下忠

判例特報
｢衝突､接触…その他偶然な事故｣及び｢被保険自動車の盗難｣を保険事故として規定している家庭用総合自動車保険約款に基づき上記盗難に当たる保険事故が発生したとして車両保険金の支払を請求する場合における事故の偶発性についての主張立証責任
(最三判平19・4･17)

特　報
一　農地転用不許可を砂利採取計画不認可の理
由とすることの可否(消極)
二　鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律一条二号に列挙されたイ､ロ､リを除く各項目所定の法条に基づく処分に関して､公害等調整委員会における不服裁定の対象となる｢不服の理由が鉱業､採石業又は砂利採取業との調整に関するもの｣の意義
――徳島県阿南市横見町地内の砂利採取計画不認可処分及び農地転用不許可処分に対する取消裁定申請事件(公調委平19・2･2裁定)

判決録
行政
○県主催の懇談会に出席した社長､支社長､支店長､副社長､副会長等の肩書を付された者は､法人等の代表者又はこれに準ずる地位にある者に該当し､これらの者の行為に関する情報は､非開示情報に当たらないとして､その開示請求が認められた事例
(福岡高判平18・10・19)

民事
◎内縁の夫の運転する自動車に同乗中に第三者の運転する自動車との衝突事故により傷害を負った内縁の妻が第三者に対して損害賠償を請求する場合にその賠償額を定めるに当たり内縁の夫の過失を被害者側の過失として考慮することの可否
(最三判平19・4.24)

▽弁護士の提起した名誉穀損を理由とする損害賠償請求訴訟において’被告側が同弁護士が韓国籍の若い女性と海外旅行した旨の陳述書を提出したとしても､相当な訴訟活動の域を逸脱するものではないとし､名誉､プライバシーの侵害を理由とする損害賠償請求が棄却された事例
(東京地判平18・9・7)

▽工場内に設置された工作機械の付近から出火した事故につき､機械の設計上の欠陥､警告上の欠陥が認められなかった事例
(東京地判平19・2・5)

▽被告信用金庫が､会員である原告会社につき､直ちに当該会員を除名するのが一般であったというような事情も認められないのに､その債務不履行を理由とする除名を被告総代会に付議する旨の予告書を､誤って､原告以外の会員に対しても送付したことにつき､原告会社に対する債務不履行又は不法行為の成立が認められた事例
(横浜地判平19・1・26)

▽自動車メーカーの中間管理職がうつ病を発症し飛び下り自殺した事故につき､会社に従業員に対する安全配慮義務違反があるとして損害賠償責任が認められた事例(静岡地浜松支判平18・10･30)

知的財産権
▽雑誌に付された標章の一部が､｢本当にあったH (エッチ)な話｣の語を配置した図形商標と類似するとして､商標権侵害に基づく差止請求等が一部認容された事例
(東京地判平17・12・21)

商事
◎一　｢衝突､接触…その他偶然な事故｣及び｢被保険自動車の盗難｣を保険事故として規定している一般自動車総合保険約款に基づき上記盗難に当たる保険事故が発生したとして車両保険金の支払を請求する場合における事故の偶発性についての主張立証責任
二　被保険自動車の盗難を理由に車両保険金を請求する者が主張立証責任を負う盗難の外形的事実について単に｢外形的･客観的にみて第三者による持ち去りとみて矛盾のない状況｣を立証するだけで盗難の事実が推定されるとした原審の判断には違法があるとされた事例
(最一判平19・4･23)

労働
▽被告が行った経営改革により担当職務がなくなった社員に対してされた遠隔地への配転が有効とされた事例(東京地判平19・3・29)