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判例時報 No.1965〔判例評論 No.581〕
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◆判例特報◆ 一 将来の地位確認を求める訴えが適法とされた事例 二 職種限定契約が認められた事例 三 職種限定契約が肯定される場合において、他職種へ職種変更することについて正当性が否定された事例 ――東京海上日動火災保険 […]


◆判例特報◆

一 将来の地位確認を求める訴えが適法とされた事例

二 職種限定契約が認められた事例

三 職種限定契約が肯定される場合において、他職種へ職種変更することについて正当性が否定された事例

――東京海上日動火災保険RA制度廃止訴訟第1審判決(東京地判平19・3・26)

◆判決録◆

行政

▽一 公社発注の土木工事について実施された指名競争入札において、指名業者らの問で談合が行われた結果、市が損害を被ったと認められた事例

二 談合が行われて発生した市の損害について、民訴法二四八条に基づき、工事請負契約における契約金額の五パーセントに相当する金額が損害と認定された事例

三 公社発注の土木工事について実施された指名競争入札において、指名業者らの間で談合が行われた結果、市が損害を被ったとして、地方自治法(平成一四年法律第四号による改正前)二四二条の二第一項四号に基づき、市に代位して、工事請負契約の相手方業者に対してされた不法行為に基づく損害賠償請求につき、右記談合に関連する課徴金納付命令に係る審判請求に対する公正取引委員会の審決が確定する前の時期であっても、認められるとされた事例

(東京地判平18・11・24)

民事

◎法律上の原因なく代替性のある物を利得した受益者が利得した物を第三者に売却処分した場合に負う不当利得返還義務の内容(最一判平19・3・8)

○中国人同士の養育料及び扶養料の支払いについて、国際裁判管轄権、養育料等に関する準拠法、その前提問題としての成年の時期に関する準拠法、中国での離婚判決の効力等が問題とされた事例(東京高決平18・10・30)

▽先行の任意後見契約が締結された後、高齢者である本人によって解除され、後行の任意後見契約が締結された場合について、意思能力がなかったとし、先行の契約の解除、後行の契約の締結が無効とされた事例(東京地判平18・7・6)

▽自己啓発セミナーの主催者によるマインドコントロールが違法であるとしてセミナー生からの損害賠償請求及び慰謝料請求が認容された事例(東京地判平19・2・26)

▽元看護師が勤務先病院での消毒液使用が原因で化学物質過敏症に罹患したとして求めた病院側に対する安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求が認容された事例(大阪地判平18・12・25 )

▽県立高校の野球部員がゴロ捕球の練習中に’バッティングの球が右眼に直撃して受傷した事故につき、指導教諭に過失があるとして、県の国家賠償貫任が認められた事例

(名古屋地判平18・11・24)

▽私立高校の生徒が上級生からの寮でのいじめによる集団暴行により受傷したとして求めた損害賠償請求が、学校側に生徒に対する安全配慮義務違反があるとして認容された事例

(神戸地姫路支判平18・7・10)

知的財産権

○意匠の類否判断に当たっては、意匠を全体として観察することを要し、この場合、意匠に係る物品の性質、用途、使用態様、さらには公知意匠にない新規な創作部分の存否等を参酌して、取引者・需要者の注意を最も惹きやすい部分を意匠の要部として把握し、登録意匠と相手方意匠が要部において構成態様を共通にするか否かを中心に観察して、両意匠が全体として美感を共通にするか否かを判断するとされた事例

(大阪高判平18・8・30)

商事

▽会社の代表取締役が、自らが代表取締役を兼任していた別の会社に対し支払証書(約束事ユ右

形)を発行する行為について、当時の株主全員の合意による株式買取契約における価格調整条項に基づき、その債務の履行としてされたことを理由に、利益相反取引として無効とはならないとされた事例(東京地判平18・5・29)

◆ 最高裁判例要旨(平成一九年四月分)

最新判例批評

四七 先日付振込みを依頼した後に、債権の仮差押命令が送達された場合に、その後になされた振込みによる弁済を仮差押債権者に対抗することの可否(最一判平18・7・20)……中山知己

四八 県立高校の女子生徒がいじめを受け自殺した場合につき、加害生徒及び同高校の教諭に自殺についての予見可能性がないとして、被害生徒に精神的苦痛を与えたことに関する損害賠償のみが認容された事例(横浜地判平18・3・28) ……後藤巻則

四九 週刊誌における新聞社社長泣致事件の記事に関する新聞、車内等の広告について、名誉毀損の成立を認め、慰謝料等の支払が命じられた事例(東京高判平18・10・18)……池端忠司

五〇 根抵当権の目的不動産に再生債務者と第三者所有の不動産が含まれ、これらが全体としてぱちんこ遊技場として利用されている場合、全不動産について担保権実行の中止命令を発令するのは相当ではないとされた事例(福岡高決平18・2・13)……野村秀敏

五一 同順位の根抵当権者の一人が提出した不動産競売手続申立書の被担保債権及び請求債権の部分における「金八億円但し、債権者が債務者に対して有する下記債権のうち、下記債権の順序にしたがい上記金額に満つるまで」との記載が、被担保債権の一部について担保権の実行をする趣旨ではないとされた事例(最一判平17・11・24)……中西正

五二 在職中の複数の職務発明に関し、出願時の願書に共同発明者として記載されておらず、また、各発明への異体的な関与状況に鑑みれば、原告は共同発明者とは認められないとして、会社に対する、元従業員による特許を受ける権利の譲渡に対する相当の対価の請求及び持分についての移転登録請求が棄却された事例(東京地判平18・1・26)……森正宰

五三 一 「衝突、接触–その他偶然な事故」を保険事故とする自家用自動車総合保険契約の約款に基づき車両の水没が保険事故に該当するとして車両保険金の支払いを請求する場合における事故の偶発性についての主張立証責任(①事件)

二 「衝突、接触……その他偶然な事故」を保険事故とする自動車保険契約の約款に基づき車両の表面に傷が付けられたことが保険事故に該当するとして車両保険金の支払いを請求する場合における事故の偶発性についての主張立証責任(②事件)

(①最一判平18・6・1、②最三判平18・6・6) ……大津康孝

五四 一 任期付き特別職地方公務員の再任用拒否と地位確認請求

二 任期付き特別職地方公務員の再任用拒否に対する損害賠償請求(東京地判平18・6・8)

……島田陽一

五五 定款に株式譲渡制限の定めのある非上場会社の一人株主が、その全株式を同社の債務の譲渡担保に供した後、債権者側の役員らを解任する等の株式会社変更登記申請を行い、商業登記簿の原本にその旨記載させた行為につき、公正証書原本不実記載罪及び同行使罪が成立するとされた事例(最二決平17・11・15) ……佐久間修

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