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判例時報 No.1962〔判例評論 No.580〕
             平成19年6月1日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

◆判例特報◆ ①市立小学校の校長が音楽専科の教諭に対し入学式における国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏を行うよう命じた職務命令が憲法一九条に違反しないとされた事例 ――君が代ピアノ伴奏職務命令拒否戒告処分事件上告審判決 […]


◆判例特報◆

①市立小学校の校長が音楽専科の教諭に対し入学式における国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏を行うよう命じた職務命令が憲法一九条に違反しないとされた事例

――君が代ピアノ伴奏職務命令拒否戒告処分事件上告審判決(最三判平19・2・27)

②一 住民基本台帳ネットワークシステムの運用は、住民に保障されているプライバシー権を侵害するものであって、憲法一三条に逮反するとし、住民の住民票コードの削除請求が認められた事例(①事件)

二 住民基本台帳ネットワークシステムにおいて本人確認情報を取り扱うことは、憲法一三条に違反しないし、プライバシー権’氏名権、包括管理権を侵害するものではないとし、住民の本人確認情報の提供等の禁止、損害賠償請求が棄却された事例(②事件)

(①大阪高判l・11・30、②名古屋高金沢支判平18・12・11)

◆判決録◆

行政

◎公路に直接接していない無道路地であっても実際に利用している公路への通路が同一の所有者に帰属する場合は固定資産課税台帳に登録すべき価格を決定するに当たり固定資産評価基準(昭和三八年自治省告示第1五八号) 所定の通路開設補正を適用しないとする取扱いと地方税法(平成二年法律第一六〇号による改正前のもの)四〇三条一項

(最二判平19・1・19)

▽法人の事業活動に関する情報につき、それが開示された場合、当該法人と競争関係にある事業者が、当該情報を利周して違法な宣伝広告活動を行い、当該法人の公正な競争上の地位を害するおそれがあるから、当該情報は不開示事由である法人情報に当たるとの主張を排斥し、情報公開が認められた事例

(東京地判平18・9・26)

民事

◎一 貸主と借主との間で基本契約が締結されていない場合に第一の貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生しその後第二の貸付けに係る債務が発生したときにおける第一の貸付けに係る過払金の同債務への充当の可否

二 商行為である貸付けに係る債務の弁済金のうち利息制限法一条7項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当することにより発生する過払金を不当利得として返還する場合において悪意の受益者が付すべき民法七〇四条前段所定の利息の利率

(最三判平19・2・13)

〇私的な年金制度の受給者が一時金払いでなく年金払いを選択していたところ、年金制度が破綻し、年金を受給できなくなった場合、年金制度を運営する組合に説明義務違反による責任はないとされた事例

(東京高判平18・10・25)

○弁護士法二三条の二所定の照会、民事訴訟法一八六条所定の調査嘱託に対する回答を拒否した銀行の不法行為責任が否定された事例

(大阪高判平19・1・30)

▽依頼者から株券の取戻しの協議等の委任を受けた弁護士が、自ら立替私をする等して株券を取り戻した場合について、立替金返還請求権を有効に取得し、株券につき留置権が認められた事例

(東京地判平18・7・19)

▽債権回収会社と資力の乏しい連帯保証人問の求償債務の弁済交渉において、不動産の売却等により債務の一部を弁済し、その余の債務について自然債務とする旨の合意が成立したと認められた事例

(東京地判平18・9・7)

▽航空自衛隊の練習機が墜落し高圧送電線を切断したため停電したことにより廃棄物処理施設機械設備に損傷が生じた場合において国の損害賠償責任が認められた事例

(東京地判平18・10・31)

▽弁護士が検察庁の検察官執務室で被疑者と面会接見した際に担当検事及び検察事務官が立会ったことを違法として国家賠償請求が認められた事例

(名古屋地判平18・10・27)

知的財産権

▽著作権のライセンス業務を行う会社の取引先に対し第三者が同著作権を有している旨告知したことが不正競争防止法二条一項一四号所定の不正競争行為に当たるとされた事例

(東京地判平18・9・26)

◆最高裁判例要旨(平19年3月分)

判例評論

四一 自治体による住基ネット接続義務確認訴訟と司法権

(東京地判平18・3・24)……常岡孝好

四二 自賠法一六条1項に基づ-被害者の請求権と社会保険者が代位取得した同条項に基づく請求権の合計額が自賠責保険の保険金額を超える場合に、被害者の請求が全部認容された事例(大阪地判平17・12・19)……佐野誠

四三 登録商標「国際自由学園」が商標法四条一項八号所定の他人の著名な略称を含む商標に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例(最二判平17・7・22)……横山久芳

四四 中国を本国とする著作物の保護につきベルヌ条約に基づいて日本法を準拠法とし、被告らの引用の抗弁を認めなかった事例(東京地判16・5・31)……駒田泰土

四五 信用協同組合の商人性が否定された事例(最二判平18・6・23)……志谷匡史

四六 自宅から隣家の被害者に向けて連日連夜ラジオの音声等を大音量で鳴らし続け被害者に慢性頭痛症等を生じさせた行為が傷害罪の実行行為に当たるとされた事例

(最二決平17・3・29)…… 對馬直紀

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