判 例 特 報

①工場排水による稲作に対する損害の賠償が認められた例

―山王川事件控訴審判決（東京高判昭39・4・27)

②一、検察官の公訴が公権力の違法な行使であったか否かは起訴時に有罪判決を期待しうる合理的な根拠があったか否かによる

二、検察官の違法な公訴による損害賠償請求権の消滅時効はその公訴について無罪判決等の確定したときから進行する（東京地判昭39・4・15)

③公社アパート身替り入居者に対する明渡請求と権利濫用（最二判昭39・5・1)

判 決 録

民 事

○一、訴訟の目的たる権利の譲受が無効な場合と譲受人の当事者参加の適否

二、債権の譲渡が信託法一一条違反とされた事例（大阪高判昭39・4・10)

〇競売法二八条によって不動産の評価を命ぜられた鑑定人の評価の基準（大阪高決昭39・1・10)

〇氏の変更につきやむを得ない事由に当らぬときれた事例（名古屋高決昭39・4・10）

〇不動産の表示が実際と相違する場合と競売期日公告の適否（広島高決昭38・11・8)

▽破産の申立が権利の濫用と認められた事例（東京地決昭39・4・3)

▽解約申入後の明渡猶予を条件とした場合と賃貸借解約申入の正当事由（大阪地判昭38・12・25)

▽善意の占有者が果実を消費した場合と不当利得の成否（京都地判昭39・3・30)

▽建物取段ち後債務者が古材を引き取らない場合の執行吏の措置（千葉地決昭39・ 3・26)

▽併用軌道と農道との接続個所において通行を妨害する軌道会社の責任（大分地判昭39・2・28)

▽宅地建物取引業者の仲介と取引当事者に対する報酬請求権（大森簡判昭38・11・ 29)

▽区画整理のため借地が袋地となった場合の借地入の囲続地通行権（熊本簡判昭 39・3・31)

商 事

▽不正の意図に出た少数社員権による社員総会の決議と権利濫用の有無（大阪地判昭38・10・16)

労 働

▽一、ユニオン・ショップ条項に基づく解雇に慾戒解雇をするは違法

二、懲戒解雇には当時その事実の認識のもとに意思表示せねばならない（札幌地判昭39・2・24)

刑 事

○訴因変更の手続を経なかった点を法令違反として破棄、差戻した事例（東京高判昭39・2・11)

〇浴場業半但が天花粉と誤って浴槽浄化剤を売り幼児に傷害を負わせた所為につき業務上過失傷害罪の成立を認めた事例（大阪高判昭39・1・20)

〇確定的殺意を未必的殺血思と誤認した場合と判決への影響の有無（札幌高判昭38・12・17）