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判例時報 No.2481〔評論 No.748〕
             2021年7月1日 号 定価:1470円 (本体価格:1336円+10%税)

<最新判例批評>
 神野 礼斉  伊藤 靖史  冨川 雅満
 小島  淳  上田信太郞
 
情報をめぐる現代の法的課題⑶
 ウェブ裁判(裁判手続IT化)の憲法論……吉原裕樹
 
■書評
Birke Häcker and Wolfgang Ernst編
『合議による裁判の比較法的検討
(Collective Judging in Comparative Perspective)』
評者 ①平野哲郎 ②新倉 修
 
■判決録
<民事> 3件
<知的財産権> 2件
<労働> 1件
<刑事> 2件


◆記 事◆

情報をめぐる現代の法的課題⑶
 ウェブ裁判(裁判手続IT化)の憲法論……吉原裕樹

◆書 評◆

Birke Häcker and Wolfgang Ernst編
『合議による裁判の比較法的検討(Collective Judging in Comparative Perspective)』
評者……①平野哲郎 ②新倉 修

◆判決録細目◆

民 事

◎参議院(比例代表選出)議員の選挙についていわゆる特定枠制度を定める公職選挙法の規定の合憲性

(最二判令2・10・23)

▽債務者が生活福祉資金貸付制度に基づいて社会福祉協議会から貸付けを受けた資金が入金された預金口座に対する債権差押えについて差押命令の一部取消しが認められた事例

(大阪地決令2・9・17)

▽市を事業主体とする土地区画整理事業又は非農用地造成事業により造成された土地を購入し、自宅建物を建築するなどした後、台風の影響による降雨によって床上浸水等の被害に遭った7名の原告らが、市に対して損害賠償を請求した事案において、市から直接土地を買い受けた3名の原告らとの関係では、市が、土地を売却する際に、市が把握していた土地に関する近時の浸水被害状況や今後浸水被害が発生する可能性に関する情報について開示し、説明すべき義務を怠ったとして原告らの請求を一部認容したが、その余の4名の原告らとの関係では、市の職員が職務上の法的義務に違背したということはできないとして原告らの請求を棄却した事例

(京都地判令2・6・17)

知的財産権

◎特許権の通常実施権者が、特許権者を被告として、特許権者の第三者に対する特許権侵害を理由とする損害賠償請求権が存在しないことの確認を求める訴えにつき、確認の利益を欠くとされた事例

(最二判令2・9・7)

▽1 特許権の均等侵害の成否の判断において、対象製品が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるという特段の事情が存するとして、均等侵害が成立しないとされた事例
2 特許法101条2号における「その物がその発明の実施に用いられることを知りながら」とは、当該物の性質、その客観的利用状況、提供方法等に照らし、当該物を購入等する者のうち例外的とはいえない範囲の者が当該物を特許権侵害に利用する蓋然性が高い状況が現に存在し、その物の生産、譲渡等をする者において、そのことを認識、認容していることを要し、またそれで足りるとして、同号所定の間接侵害が成立するとされた事例
3 特許法101条2号所定の間接侵害を構成する物について、当該物を購入等する者のうち例外的とはいえない範囲の者が当該物を特許権侵害に利用する蓋然性が高い状況が現に存在することなどから、その生産、譲渡等につき間接侵害が成立するのであるから、用途に係る限定を付すことなく差止請求を認めたとしても過剰とはいえないとして、用途に係る限定を付さない差止請求が認められた事例
4 特許法101条2号所定の間接侵害を構成する物について、特許発明に係る物の生産以外の用途に用いられている分は侵害者が得た利益と特許権者が受けた損害との相当因果関係を阻害する事情であるとして、その分について特許法102条2項に基づく推定の覆滅が認められた事例

(大阪地判令2・5・28)

労 働

▽1 個人面談における上司による従業員に対する退職勧奨の違法性がみとめられ、慰謝料として20万円が認容された事例
2 従業員に対する査定制度の結果に基づいて賞与・給与の額が決定された場合に、その査定の違法性が否定された事例

(横浜地判令2・3・24)

刑 事

○原決定の見解によれば、当該事件の捜査の過程で作成・入手した証拠でなくとも、弁護人の主張次第で開示対象はいかようにも広げられることになるが、このような帰結を法が予定しているとは思われないとして、原決定を取り消し、弁護人の裁定請求を棄却した事例

(名古屋高決令1・10・24〈参考原審:名古屋地決令1・10・7〉)

▽再審公判を覆審的に運用した上、被告人の自白などの検察官の証拠請求を却下して即日結審し、殺人につき被告人に無罪を宣告した事例

──松橋事件再審無罪判決(熊本地判平31・3・28)

判例評論

13 民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知ったとき」の意義

(最二判令1・8・9)……神野礼斉

14 合資会社の無限責任社員が退社により当該会社に対して金員支払債務を負う場合

(最三判令1・12・24)……伊藤靖史

15 詐欺罪につき実行の着手があるとされた事例

(最一判平30・3・22)……冨川雅満

16 勾留の裁判に関する準抗告決定(原裁判取消し、勾留請求却下)に対する検察官からの特別抗告が棄却された事例

(最二決平30・10・31)……小島 淳

17 裁判員裁判で審理された第1審判決に対して事実誤認があるとした原判決に382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例及び第1審における訴因変更命令等の義務の存否が問われた事例

(最二判平30・3・19)……上田信太郎

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