判例時報 No.2542〔評論 No.768〕
2023年3月1日 号 定価:2100円
(本体価格:1909円+10%税)
<最新判例批評>
奥田 進一 谷口 智紀 安永 祐司
未遂犯の構造をめぐる近時の議論について(再論)……小林憲太郎
■判決録
<行政> 2件
<民事> 3件
<刑事> 1件
◆記 事◆
未遂犯の構造をめぐる近時の議論について(再論)……小林憲太郎
◆判決録細目◆
行 政
○国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律(平成24年法律第99号)は、憲法25条、13条、29条1項、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)2条、9条、11条1項に違反しないとした事例
(高松高判令4・5・26〈参考原審:徳島地判令2・12・23〉)
○幼少期に発行された身体障害者手帳が国民年金法施行規則(平成27年厚生労働省令第144号による改正前のもの)31条2項6号の「障害の原因となつた疾病又は負傷に係る初診日(疾病又は負傷が昭和61年4月1日前に発したものであるときは、当該疾病又は負傷が発した日を含む。)を明らかにすることができる書類」に当たるものとされた事例
(名古屋高金沢支判令3・9・15〈参考原審:金沢地判令2・11・13〉)
民 事
○弁護士会が所属弁護士に対してした業務停止1月の懲戒処分が違法であったとして国家賠償法に基づく損害賠償請求を認容した原判決が取り消され、同請求が棄却された事例
(東京高判令4・4・14〈参考原審:東京地判令3・1・26本誌2512号48頁〉)
▽被告が開設する病院において、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を受けた84歳の男性が手術の翌日に死亡した事案につき、執刀医に適応外であるESDを実施した注意義務違反があったとして、被告に対する使用者責任に基づく損害賠償請求を認容した事例
(東京地判令3・8・27)
▽禁忌であった血栓溶解剤を投与したことにより患者が死亡した事案において、担当医師の死亡診断書の記載、担当医師が異状死の届出をしなかったこと、病院管理者が医療法上の医療事故として報告をしなかったことにつき、遺族の権利利益を違法に侵害したとは認められないとされた事例
(大阪地判令4・4・15)
刑 事
▽いわゆる特殊詐欺等の事案において、包括的共謀の成立が認められなかった事例
(東京地判令3・12・7)
判例評論
46 廃棄物処分場の立地自治体による、一般廃棄物の搬入及び処分を委託した者への事務管理に基づく有益費償還請求が認められた事例
(福井地判令3・3・29)……奥田進一
47 相続税法32条1項に規定する更正の請求と納税者の権利救済
(最一判令3・6・24)……谷口智紀
48 1 電気通信事業に従事する者及びその職を退いた者と民事訴訟法197条1項2号の類推適用
2 電気通信事業者は、その管理する電気通信設備を用いて送信された通信の送信者の特定に資する氏名、住所等の情報で黙秘の義務が免除されていないものが記載され、又は記録された文書又は準文書を検証の目的として提示する義務を負うか
(最一決令3・3・18)……安永祐司