判例時報 No.2281
平成28年3月11日 号 定価:845円
(本体価格:768円+10%税)
法曹実務にとっての近代立憲主義
――第三回 表現の自由②――……市川正人
近代型取引をめぐる裁判例(391)……升田 純
■判例特報
衆議院議員定数訴訟大法廷判決(最大判平27・11・25)
■判決録
<行政> 3件
<民事> 6件
<商事> 1件
<刑事> 1件
◆記 事◆
法曹実務にとっての近代立憲主義 ──第三回 表現の自由② 表現の自由と「人権」──……市川正人
現代型取引をめぐる裁判例(391)……升田 純
◆判例特報◆
衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りを定める公職選挙法一三条一項、別表第一の規定の合憲性
──衆議院議員定数訴訟大法廷判決(最大判平27・11・25)
◆判決録細目◆
行 政
○一 公立病院において医師が過重労働及びパワーハラスメントによりうつ病に罹患し自殺した事案につき、運営主体である一部事務組合に国賠法一条の責任が認められた事例
二 長時間労働の一因となった医師の経験・能力不足は病院側で通常予想すべき範囲のものであり、また医師であっても自ら神経科等を受診することは期待し難いとして過失相殺ないし素因減額を否定した事例
◯ 裁判員法は違憲・違法ではなく、裁判員裁判における検察官及び裁判官の訴訟行為に不適切はないとして、裁判員の国に対する損害賠償請求が棄却された事例
(仙台高判平27・10・29)
▽ 親権者による児童に対する虐待等を理由として行われた一時保護について、必要な期間を超えて継続したとの違法はないとして損害賠償請求が棄却された事例
(東京地判平27・3・11)
民 事
◎ 過払金が発生している継続的な金銭消費貸借取引の当事者間で特定調停手続において成立した調停であって、借主の貸金業者に対する残債務の存在を認める旨の確認条項及びいわゆる清算条項を含むものが公序良俗に反するものとはいえないとされた事例
(最三判平27・9・15)
○ 過払金が発生している継続的な金銭消費貸借取引の当事者間で成立した裁判外の和解について、当該和解が過払金返還請求権についての争いを対象とするものではないとして和解の効力が否定された事例
(東京高判平27・10・15)
▽ いわゆるジョイントベンチャー代表者の財産管理権限に対応する原価管理義務違反の主張につき、同企業の構成員の定めた取扱規則等に照らして、不正支出であると疑われるような特段の事情がない限り、原価管理義務違反とはならず、そのような特段の事情は認められないとされた事例
(東京地判平27・3・12)
▽ 共同相続人の一人から遺産分割に関わる事件を受任し、報酬等を得た行政書士につき、弁護士法七二条に違反するとし、不法行為が肯定された事例
(東京地判平27・7・30)
▽ マンションの管理組合の理事長(管理者)が集会の決議なく締結した建物調査診断等の委託契約につき、管理者の権限外の行為であるとし、その効力が否定された事例
(東京地判平27・7・8)
▽ 土地改良区に対する書簿閲覧請求権の行使につき、請求申請書一枚につき五〇〇〇円以上の申請事務手数料を徴収することを定めた事務手数料規程は、土地改良法二九条四項に違反するとはいえないとされた事例
(徳島地阿南支判平27・7・14)
商 事
○ 株式会社の一人株主かつ唯一の取締役かつ代表取締役が会社の経営を委ねていた者が、会社がリースしていた物件を第三者に譲渡したため、リース会社がリース物件を処分して残リース料を回収することができなくなった場合には、同代表取締役に会社法四二九条一項の損害賠償責任が認められるとされた事例
(大阪高判平27・7・10)
刑 事
◯ 傷害被疑事件の現場で現行犯逮捕された被疑者が現行犯逮捕の不存在を主張し、自発的に出頭した警察署において令状によらない違法な逮捕をされたとして国家賠償を求めた事案につき、被疑者は同現場で現行犯逮捕されたことが認められ、現行犯逮捕の要件にも欠けるところはないとされた事例
(東京高判平27・8・19)