判例時報 No.2073
平成22年6月11日 号 定価:円
(本体価格:円+10%税)
◆記事◆ 裁判員裁判における量刑の理由と動向(上)……青木孝之 現代型取引をめぐる裁判例(255)……升田純 ◆判決録◆ 行政 ◎仕入れた重油及び灯油を石油精製工場に持ち込み、同工場を設置する会社に委託して […]
◆記事◆ 裁判員裁判における量刑の理由と動向(上)……青木孝之 現代型取引をめぐる裁判例(255)……升田純 ◆判決録◆ 行政 ◎仕入れた重油及び灯油を石油精製工場に持ち込み、同工場を設置する会社に委託して […]
◆記事◆
裁判員裁判における量刑の理由と動向(上)……青木孝之
現代型取引をめぐる裁判例(255)……升田純
◆判決録◆
◎仕入れた重油及び灯油を石油精製工場に持ち込み、同工場を設置する会社に委託してこれらを軽油にし、販売先に譲渡する取引を行っていた業者について、上記業者が当該軽油の所有権を原始取得していなかった疑いがあることのみを理由として、上記業者は地方税法(平成二一年法律第九号による改正前のもの)七〇〇条の四第一項五号にいう「軽油の製造」を行ったとはいえないから上記業者を同号に基づく軽油引取税の納税義務者であると解する余地はないとした原審の判断に違法があるとされた事例
(最三判平22・2・16)
○委任者の死亡後における事務処理を依頼する旨の委任契約は、委任者の死亡によっても当然に契約を終了させない旨の合意を包含し、委任者の遺言により祭把の主宰者に指定された者は、その契約の内容に不明確性や実現困難性があったり、履行負担が加重であるなど契約を履行させることが不合理と認められる特段の事情がない限り、同契約を解除して終了させることができないとされた事例(東京高判平21・12・21)
○認知症の高齢者の判断能力の低下に乗じてされた不公正な土地の売買につき、公序良俗に反し無効であるとされた事例
(大阪高判平21・8・25)
○社債発行会社が経営破綻した場合、社債購入者に社債を販売した証券会社の損害賠償責任が認められた事例
(名古屋高判平21・5・28)
○原決定が文書提出命令の対象とした文書の一部について職業の秘密に関する事項が記載されているとして同決定が抗告審においてその限度で変更された事例(福岡高決平21・10・23)
▽クレジットカードの発行会社と提携カードの発行会社との間のクレジットカードの発行等に関する契約上の危険負担条項が有効とされた事例(東京地判平21・1・1)
▽破綻した信用協同組合の出資者が、同組合に対して、当該出資時に組合は債務超過の状態にあることを告げずに出資勧誘したのは不法行為または債務不履行に当たるとして求めた損害賠償請求が認容された事例(大阪地判平21・8・31)
▽電気通信工事会社の現場監督業務に従事する職員が長時間の時間外労働を強いられたためうつ病にかかり自殺した事故につき、会社に安全配慮義務があるとして不法行為上の損害賠償責任が認められた事例
(福岡地判平21・12・2)
▽日本放送協会が受信者の妻と夫名義の放送受信契約を締結した場合における民法七六一条の適用の可否
(札幌地判平22・3・19)
○「性的障害の治療におけるフリバンセリンの使用」とする発明について、発明の詳細な説明において、フリバンセリン類の性欲障害治療用薬剤としての有用性を裏付ける薬理データ又はそれと同視すべき程度の記載がないことを理由として、当該出願は特許法三六条六項一号の要件を充足しないとして拒絶した審決に、理由不備の違法があるとして、審決が取り消された事例(知的財産高判平22・1・28)
▽診療所における氏表示の使用が不正競争防止法一九条一項二号の自己の氏名を不正の目的で使用する行為に該当しないとされた事例
(大阪地判平21・7・23)
○住宅総合保険契約に基づく保険金の支払請求について、その保険事故に係る当該住宅の火災が保険契約者又はその関係者と意思の連絡のある者による放火である高度の蓋然性が認められるとして、保険者の免責を理由に、当該請求が棄却された事例
(仙台高判平21・7・23)
▽取引先からの引き抜きについて内部告発をした従業員に対する配転命令権の行使について、不当な動機目的が認められず、権利濫用に当たらないとされた事例
(東京地判平22・1・5)
○被告人の責任能力が争われた殺人の事案において、原審で行われた精神鑑定の信用性を否定し、持続性妄想性障害の影響による心身耗弱を認め、完全責任能力を認めた原判決を破棄して自判した事例
(福間高那覇支判平22・3・9)
◆最高裁判例要旨(平成二二年三月分)