判例時報 No.2074
平成22年6月21日 号 定価:円
(本体価格:円+10%税)
◆記事◆
損害賠償額算定の基準時に関する最高裁判例にみる統一基準……石崎泰雄
裁判員裁判における量刑の理由と動向(下)…‥青木孝之
現代型取引をめぐる裁判例(256)……升田純
海外刑法だより(301)
執筆三〇〇回に寄せて――愚直、わが道を行く(2)……森下忠
◆判例特報◆
神奈川県が条例により法人に対し法定外普通税として課税した企業税は、法人事業税を補完する「別の税目」として併存し得る実質を有するものであり、法人事業税につき欠損金額の繰越控除を定めた地方税法の規定と矛盾抵触せず、適法有効であるとされた事例
――神奈川県臨時特例企業税条例事件控訴審判決(東京高判平22・2・25 )
◆判決録◆
◎市議会の会派に交付する政務調査費の使途を「会派が行う」調査研究活動と定める函館市
議会政務調査費の交付に関する条例施行規則(平成一三年函館市規則第四号)の下で、会派の代表者の承認を得て政務調査費が会派から所属議員に支出された場合において、当該支出が右の「会派が行う」との要件を満たすとされた事例
(最三判平22・2・23)
○出資金預託契約は、投資家が出資金を預託し、投資の成績に応じて配当を受ける契約であり、投資結束に従って精算が予定されているものであるとして、損益確定後の精算金請求が認められた事例
(東京高判平21・12・21)
○東京と沖縄との定期航路に就航している船舶に対する執行申立て前に船舶国籍証書等の申立てができるとされた事例(高松高決平21・7・31)
▽医学研究に関する研究委託契約について債務不履行が否定され、民法六五一条所定の解除が肯定された事例(東京地判平21・12・21)
▽追突事故の被害者について、脳脊髄液減少症否定された事例(福岡地小倉支判平21・8・21)
▽弁護士報酬のいわゆるみなし成功報酬特約が消費者契約法九条一号により無効とされた事例(横浜地判平21・7・10)
▽村落共同体の所有する山林について村落の住民の共同体が入会権を有するものと認められた事例
(甲府地判平21・10・27)
▽重度の自閉症児の福祉施設における事故死についての損害賠償につき、重度障害者も健常者並みに就労の機会が増えつつあるとして、一定程度の就労の可能性を認めて逸失利益が認められた事例
(青森地判平21・12・25)
○「携帯型コミュニケータおよびその使用方法」に関する特許権の侵害訴訟において、被告製品が特許発明の技術的範囲に属さず、均等侵害も成立しないとして控訴が棄却された事例
(知的財産高判平22・3・30)
▽商標権侵害を理由とする損害賠償請求権と不正競争防止法二条7項一号違反を理由とする損害賠償請求権とは重複する逸失利益の限度において連帯債権となるとされた事例
(大阪地判平21・9・17)
▽二度の交通事故について、運転者がシンナー等の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で自動車を運転している場合に生じたとして、保険会社の免責が認められた事例
(静岡地沼津支判平21・1・30)
▽一 被告が設置する市立病院の参事副院長であった原告に対する「参事を命ずる」、「被告市立病院付属市民健康相談室勤務を命ずる」という処分が、地方公務員法四九条一項の不利益処分に当たるとして、取り消された事例
二 原告の被告に対する国家賠償法一条一項に基づく損害賠償請求が棄却された事例
(東京地判平21・11・16)