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判例時報 No.2094
             平成23年1月11日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

 


◆ 記事◆

カルテル・入札談合における審査の対象・要件事実・状況証拠partⅢ

多摩談合事件・郵便区分機事件・ポリプロピレン事件東京高裁判決の総合的検討(上)

――情報交換活動の評価と公取委の事件処理の在り方……越知保見

最高裁刑事破棄判決等の実情(下)―-平成二一年度……任介辰哉

現代型取引をめぐる裁判例(269)……升田純

◆判決録◆

民事

◎賃貸人から賃借人に対して借地借家法三八条二項所定の書面の交付があったとした原審の認定に経験則又は採証法則に反する違法があるとされた事例

(最二判平22・7・16)

▽クレジットカードの発行に関する事業者間の契約におけるキャッシングロイヤリティの支払に関する規定が規定の解釈上貸金業法等の改正などに伴う事情変更によって失効するとされた事例

(東京地判平23・3・24)

▽破産法一六二条一項二号の規定にいう「支払不能」の解釈

(東京地判平22・7・8)

▽一 民法五四五条二項の「利息」は法定利息であると判示された事例

二 民法五四五条二項に基づ-利息請求権と売買代金返還請求権の履行遅滞に基づく損害賠償請求権との訴訟物の異同について判示された事例

三 相殺の意思表示は自働債樫の消滅時効の進行を中断させる請求ないし催告に当たらないとされた事例(大阪地判平22・1・29)

▽交通事故に遭った国税調査官に二級七号の後遺障害が残った場合、収入の減少がなくても将来の昇給や昇格に影響が出る可能性があるとして、逸実利益の損害が認められた事例

(名古屋地判平22・7・2)

知的財産権

○名称を「樹脂配合用酸素吸収剤及びその組成物」とする発明について、発明の詳細な説明には、酸素吸収剤を適用すべき樹脂一般につき、発明が所期する作用効果を奏することを裏付ける程度の記載がないから、実施可能要件を満たしているとは認められず、また、発明の詳細な説明には、当該樹脂一般につき、当業者において発明の課題が解決されるものと認識し得る程度の記載ないし示唆はなく、特許出願時の技術常識に照らしても、当業者において当該課題が解決されるものと認識し得るとはいえないから、サポート要件を満たしているとも認められないとされた事例

(知的財産高判平21・8・18)

▽一 訂正後の特許権を侵害した者は、訂正がなされる前の侵害行為についても特許法一〇三条により過失が推定され、かつ、訂正前の特許に無効理由があったとしても、それだけで過失の推定が覆るものではないとされた事例

二 特許権者が訴訟提起三年以上前の時点で対象行為が特許権を侵害することを現実に認識していたとまでは認められないとして、不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効の援用が否定された事例

三 日本国内から外国の顧客等に販売することは特許法二条三項言号の規定で定められている譲渡に該当するとされた事例

四 特許権者が、外国特許権に基づき、我が国特許権に基づく訴訟における被告の取引先を被告とし、当該訴訟と同一の物件を対象として、当該外国において損害賠償請求訴訟を提起しているとしても、特許権者が日本と当該外国とで同一の物件について二重の賠償を得ようとしているとは認められないとされた事例

五 特許権侵害者が当該特許発明に対応する外国特許発明の実施許諾を受けていることを理由に、侵害物件の販売利益に対する当該特許発明の寄与度を減殺するのは相当でないとされた事例(大阪地判平22・1・28)

商事

▽再任取締役の現在の任期前に発生・判明した取締役解任の事由は、再任の株主総会で取締役としての適格が認められているから、再任取締役の解任事由とすることはできないとされた事例

(宮崎地判平22・9・3)

刑事

◎保釈された者につき、刑訴法九六条三項所定の事由が認められる場合、刑事施設に収容され刑の執行が開始された後に保釈保証金を没取することができるか

(最一決平21・12・9)

○自動車運転過失致死の事件において、被告人を犯人と認めるには合理的な疑いが残るとして、一審判決が破棄され、無罪が言い渡された事例

(福岡高那覇支判平22・8・17)

◆最高裁判例要旨(平成二二年一〇月分)

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