バックナンバー

判例時報 No.2110
             平成23年6月21日 号 定価:円 (本体価格:円+10%税)

 



◆記事◆

過失犯における作為と不作為の区別基準論(下)―-ドイツの判例を中心に……神山敏雄

現代型取引をめぐる裁判例(280)……升田純

海外刑法だより(313)

犯罪人引渡しにおけるセーリング原則……森下忠

◆判決録◆

行政

○犯罪被害者等給付金の支給裁定の申請について法律の規定する除斥期間を経過する前の時点における申請権の行使が客観的に不可能であるといえるか、又は申請権の不行使が真に止むを得ないといえる特別な事情がある場合には、当該事情が止んだ後六か月の間は、除斥期間の経過による効果は生じないとした第一審判決が控訴審において是認された事例

(福岡高判22・11・30)

▽特定の金融庁検査官に係る調査依頼書に関する書面の開示請求に対し、金融庁長官が、開示対象文書の存否を明らかにすることが行政機関の保有する情報の公開に関する法律五条一号の不開示情報を明らかにすることになるとして、同法八条により当該文書の存否を明らかにしないで不開示とした処分が適法であると判断された事例

(東京地判22・4・23)

民事

◎給付の訴えにおける原告適格

(最三判23・2・15)

○病院に入院中の患者がベッドから転落し負傷した事件について、病院側に転落防止のための抑制帯使用義務違反及び看護師の監視義務違反があるとして病院の責任が認められた事例

(広島高岡山支判22・12・9)

○胸痛を訴えて来院した患者が当直医の診断を受けた後急死した場合に、当直医は内科医で循環器の専門でなく急性心筋梗塞を診断した経験もなかったものであるときは、その内科医に循環器の専門医と同等の診断を要求することは困難であるとして、医師に過失がないとされた事例

(福岡高判22・11・26)

▽土地の売買において土地に区の指導要綱所定の基準を超える油分が存在していたことが土地の瑕疵に当たるとしたが、買主の悪意・過失を認め’売主の澱庇担保責任が否定された事例

(東京地判23・1・27)

▽店舗用建物の賃貸借契約上の、連続三日間を超えて建物における営業を休業するときは、予め賃貸人に対し書面で申入れをし、賃貸人の承諾を得なければならず、賃借人がこれに反したときは、賃貸人は通知催告することく-契約を解除することができる旨の特約違反の債務不履行責任が肯定され、賃料相当額等の損害賠償が認められた事例

(東京地判22・10・28)

▽株式会社とその代表取締役の双方の破産申立人となった弁護士が、会社から代表取締役の着手金を受領することは、会社に対する不当利得が成立するとされた事例

(大阪地判22・8・27)

知的財産権

〇六角形のディンプルを密に配設したゴルフボールに係る意匠につき、出願日前に頒布された刊行物に記載された意匠と類似し、新規性を欠き登録が無効であるとした審決が維持された事例―-ゴルフボール事件判決

(知的財産高判22・6・30)

▽一 「蛍光電子内視鏡システム」の発明に係る特許権の侵害訴訟において、明細書の記載や図面、特許異議手続における特許権者(反訴原告)の主張内容を参酌して特許請求の範囲を解釈した上、反訴被告の製造、販売する蛍光内視鏡観察システムは「送信後三つのチャンネルの信号を再構成し」ていないとして、反訴原告の有する特許権に対する文言侵害の成立が認められなかった事例

二 反訴被告の製品の構成は、反訴原告の特許発明の出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるとして、反訴原告の有する特許権に対する均等侵害の成立が認められなかった事例

(東京地判21・12・16)

商事

▽海外旅行保険の加入者が旅行先で溺死したとして、その遺族が保険会社に保険金の支払を求めたが、加入者の死亡は旅行同行者の故意による殺人によるもので同行者は加入者の死亡による保険金受領により利益を享受する立場にあり、請求者と同一の地位にあるから免責条項に当たるとして、請求が棄却された事例

(岐阜地判23・3・23)

Copyrightc 株式会社判例時報社 All Rights Reserved.

PAGE TOP