判例時報 No.2132
平成24年1月21日 号 定価:838円
(本体価格:762円+10%税)
◆記 事◆
最高裁刑事破棄判決等の実情(中)――平成二二年度……西野吾一
現代型取引をめぐる裁判例(294)……升田純
海外刑法だより(320)国際汚職の構造3……森下忠
◆判決録細目◆
◎長期譲渡所得に係る損益通算を認めないこととした平成一六年法律第一四号による改正後の租税特別措置法三一条の規定をその施行日より前に個人が行う土地等又は建物等の譲渡について適用するものとしている平成一六年法律第一四号附則二七条一項と憲法八四条(①・②事件)(①最一判23・9・22、②最二判23・9・30)
○消費者金融取引を継続して行っていた店舗が訴え提起の時点で民訴法五条五号所定の「事務所又は営業所」に該当しない場合、当該取引又は取引終了後の記録管理業務を行う事務所又は営業所における業務が、同号所定の「その事務所又は営業所における業務」に当たるとして、同業務を行う事務所又は営業所所在地の裁判所に同号に基づ-管轄が認められた事例(東京高決23・9・26)
○交通事故の被害者について、脳脊髄液減少症の発症が認められた事例(大阪高判23・7・22)
▽派遣会社の従業員が被派遣会社でその従業員から暴行を受けたことにつき、被派遣会社及び派遣会社の損害賠償責任が否定された事例(大阪地判23・9・5)
▽一 高等学校二年の女子生徒の自殺につき、私立中学校一年在学中に同級生らによる継続的ないじめ行為があったとされた事例
▽組織的な詐欺的商法を行った会社の代理店及びその代表取締役の説明義務違反の不法行為責任が認められた事例(福岡地判23 ・3・31)
▽未決勾留中の被告人が拘置所の独房内で凍死した事故につき、拘置所職員に過失があるとして、国家賠償責任が認められた事例(神戸地判23 ・9・8)
○上段に欧文字からなる「CHOOP」(一部、花柄様に描かれた図形により白抜きされている。)の文字、下段に片仮名からなる「シュープ」の文字が表記された本件商標が、横一段に「shoop」の欧文字が表記された引用商標に類似するとした審決が取り消された事例(知的財産高判23 ・6・29)
○市場で流通している製品から容易に取得できる情報は、不正競争防止法二条六項所定の「公然と知られていないもの」ということができないところ、アルミニウム製雨戸を組み立てるに当たって使用される補助的な部品等は、一般的な技術的手段を用いれば当該雨戸の製品自体から再製することが容易なものであるから、被告(控訴人)らが原告(被控訴人)から交付された当該部品に関する情報等は、「公然と知られていないもの」ということはできず、同項所定の「営業秘密」に当たるということはできないとされた事例
――光通風雨戸事件控訴審判決(知的財産高判23・7・21)
▽船舶の建造・修繕会社の作業所において船舶の修繕作業に従事していた下請会社の作業員が中皮腫に篠思して死亡したことにつき、建造・修繕会社の安全配慮義務違反が認められた事例(大阪地判23・9・16)
◎通行中の女性に対して暴行、脅迫を加えてビルの階段踊り場まで連行し、強いて姦淫したとされる強姦被告事件について、被害者とされた者の供述の信用性を全面的に肯定した第一審判決及び原判決の認定が是認できないとされた事例(最二判23・7・25)