判例時報 No.2374*
平成30年9月1日 号 定価:1466円
(本体価格:1333円+10%税)
<最新判例批評>
山下義昭 中村 肇 中舎寛樹
山下典孝 松尾健一
最高裁民事破棄判決等の実情
──平成二九年度──……齋藤 毅・中丸 隆
終末期医療を考える(2)
治療中止をめぐって
──立法による問題解決は可能か……井田 良
刑法判例と実務
──第三三回 遺棄罪の周辺──……小林憲太郎
外国人をめぐる諸問題(2)
訴訟法的視点からの行政裁量の司法審査
──入国管理行政を中心にして……西口 元
■判決録
<民事> 2件
<商事> 1件
<労働> 1件
◆記 事◆
最高裁民事破棄判決等の実情
──平成二九年度──……齋藤 毅・中丸 隆
終末期医療を考える(2)
治療中止をめぐって──立法による問題解決は可能か……井田 良
刑法判例と実務
──第三三回 遺棄罪の周辺──……小林憲太郎
外国人をめぐる諸問題(2)
訴訟法的視点からの行政裁量の司法審査
──入国管理行政を中心にして……西口 元
◆判決録細目◆
民 事
○民法七二四条後段の除斥期間による請求権の消滅を妨げるには裁判上の権利行使をする必要があり、不法行為時から二〇年経過した後に拡張された明示的一部請求に係る残部請求部分については、除斥期間の経過により請求権が消滅しているとされた事例
(札幌高判平30・3・15〈参考原審:札幌地判平29・9・22掲載〉)
○甲事件申立人が相続債権者であるとして、民法九四一条一項に基づき、被相続人の相続財産につき、第一種財産分離の請求をした事案において、原審が、相続人らの財産から被相続人の相続財産を分離し、被相続人の相続財産管理人として甲事件申立人を選任する旨の審判をしたことに対し、抗告審は、相続人らの固有財産が債務超過の状態(もしくは近い将来において債務超過となるおそれがある状態)にあるか明らかではなく、財産分離の必要性について審理しないまま、財産分離を命じた原審の判断は相当ではないなどとして、原判決を取り消し、差し戻すのが相当であるとした事例
(大阪高決平29・4・20〈参考原審:大阪家審平29・2・15掲載〉)
商 事
○一 株式会社の上場実現及び維持のために実行された有価証券報告書等の虚偽記載(粉飾決算)に故意に加担して有価証券報告書等に虚偽記載がない旨の監査証明をした公認会計士が所属する監査法人が、金融商品取引法二一条、二二条及び二四条の四により賠償の責めに任ずるとされた事例
二 有価証券報告書等の虚偽記載(粉飾決算)を隠して上場された株式を取得して虚偽記載公表時まで所持していた株主の株価下落に伴う損害が、株式の取得対価の全額(公表後処分した場合は処分価格を控除した額)であり、粉飾発覚後に倒産したなどの判示の事実関係の下においては虚偽記載に起因しない価額の下落分として損害額から控除すべき金額はないとされた事例
(東京高判平30・3・19〈参考原審:東京地判平29・7・19掲載〉)
労 働
○会社に勤務していたAの自殺について、Aの上司が、先輩従業員からの頻回にわたる厳しい叱責を制止せず、かつ、Aの業務が過重となったにもかかわらず、業務内容の見直しをしなかったことにより、Aが全体として強い心理的負荷を受け、うつ状態に陥ったことが原因であるとして、相当因果関係が認められ、勤務先会社の損害賠償責任が認められた事例
(名古屋高判平29・11・30〈参考原審:名古屋地判平29・1・27掲載〉)
判例評論
二六 四国電力伊方発電所三号機の原子炉の運転差止めを命じる仮処分命令が発令された事例
(広島高決平29・12・13)……山下義昭
二七 譲渡禁止の特約のある指名債権の譲渡者の破産管財人は、特約の存在を知って譲り受けた者に対し、債権譲渡の無効を主張することができるとされた事例
(大阪高判平29・3・3)……中村 肇
二八 ゴルフ会員権の実質的価値に関する共通錯誤と錯誤無効(肯定)
(大阪高判平29・4・27)……中舎寛樹
二九 交通事故の加害者が破産した場合における任意自動車保険の約款上の被害者直接請求権の請求完了日
(東京地判平28・9・12)……山下典孝
三〇 大会社でありながら監査役の監査の範囲を会計に限定する定款の定めを有する非公開会社において、会計限定監査役として監査役に就任した者の第三者に対する責任
(大阪高平29・4・20)……松尾健一
※訂正箇所
●本誌57頁・4段・20行目
誤 …七〇頁
正 …六九頁
●本誌79頁・1段・25行目
誤 …九二頁
正 …九一頁
●本誌134頁・3段・10行目
誤 …ロジック
正 …ロジックである。
●本誌136頁・1段・23行目
誤 …担当前
正 …相当前
●本誌138頁・2段・10行目
誤 …淡路剛久も「原発規制
正 …淡路剛久「原発規制