判例時報 No.2366*
平成30年6月11日 号 定価:845円
(本体価格:768円+10%税)
最高裁大法廷平成二九年一一月二九日判決の背景……奥村 徹
最高裁平成二九年一一月二九日大法廷判決について……小林憲太郎
最大判平成二九年一一月二九日の意義と今後の課題……佐藤拓磨
■判決録
<行政> 2件
<民事> 3件
<労働> 1件
<刑事> 2件
◆最高裁判例要旨(平成三〇年二月分)
◆記 事◆
最高裁大法廷平成二九年一一月二九日判決の背景……奥村 徹
最高裁平成二九年一一月二九日大法廷判決について……小林憲太郎
最大判平成二九年一一月二九日の意義と今後の課題……佐藤拓磨
◆判決録細目◆
行 政
◎県が職員らの不正につき損害賠償金を支払ったことにより取得した求償権の一部を知事において行使しないことが違法な怠る事実に当たるとはいえないとした原審の判断に違法があるとされた事例
(最二判平29・9・15)
◎公害健康被害の補償等に関する法律四条二項の認定を受けた者が原因者に対する損害賠償請求訴訟の判決により確定された損害賠償義務の全ての履行を既に受けている場合における都道府県知事の同法に基づく障害補償費の支給義務(消極)
(最二判平29・9・8)
民 事
〇ピースおおさか展示リニューアル監修委員会の配布資料の公開請求に対する非開示決定は違法であるとして、請求人の損害賠償請求が認容された事例
(大阪高判平29・9・1〈参考原審:大阪地判平28・12・8掲載〉)
○非親権者である父親が、訴訟上の和解において合意された子らの養育費についての免除又は減額を求めた事案において、親権者である母親が再婚し、再婚相手が子らと養子縁組したことは、養育費を見直すべき事情に該当し、養親らだけでは子らについて十分に扶養義務を履行することができないときは、非親権者である実親は、その不足分を補う養育費を支払う義務を負い、その額は、生活保護法による保護の基準が一つの目安となるが、それだけでなく、子の需要、非親権者の意思等諸般の事情を総合的に勘案すべきとされた事例
(福岡高決平29・9・20)
▽一 郵便局員が差押許可状の呈示前に警察官に対して郵便物の情報を教えたことが、郵便物の受取人の通信の秘密等を侵害する行為であるとして、損害賠償責任が認められた事例
二 郵便局員が警察官に対して令状に記載された差押目的物とは異なる郵便物を交付し、警察官がこれを差し押さえたことが、郵便物の受取人の通信の秘密等を侵害する行為であるとして、損害賠償責任が認められた事例
(大阪地判平29・11・29)
労 働
▽大学教授が研究室内のパソコンの中にわいせつな動画を保存していたこと等を理由とする同教授に対する懲戒解雇が懲戒権を濫用したものとして労働契約法一五条により無効とされ、勤務態度不良・能力不足を理由とする予備的な普通解雇が客観的に合理的な理由を欠くものとして同法一六条により無効とされた事例
(東京地判平29・9・14)
刑 事
○賄賂等に当たる現金の授受について、贈賄者の証言の信用性を否定して無罪とした原判決を破棄し、その信用性を認めて有罪と認定した事例
(名古屋高判平28・11・28〈参考原審:名古屋地判平27・3・5掲載〉)
▽一 少年法二〇条の検察官送致決定後起訴前に少年が成人に達した事案において、検察官送致決定が起訴後の刑事事件の訴訟条件であると判示した事例
二 少年法二〇条の検察官送致決定が違法・無効であるとされ、送致を受けた検察官による公訴の提起もまた違法であるとして無効となる場合とは、例えば検察官送致決定を行うこと自体が職務犯罪を構成する場合や、家庭裁判所が故意に事件を長期間にわたり放置していたにもかかわらず検察官送致決定を行った場合など、極限的な場合に限られると解するのが相当であると判示した事例
(名古屋地判平29・3・24)
◆最高裁判例要旨(平成三〇年二月分)
※訂正箇所
●本誌115頁・2段・23行目
誤 …三箇条
正 …三条