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判例時報 No.2361
             平成30年4月21日 号 定価:845円 (本体価格:768円+10%税)

最高裁刑事破棄判決等の実情
 ──平成二八年度──……三上 潤
 
岐路に立つ裁判官(13)
 独立した司法が原発訴訟と向き合う④
  国民から信頼される司法への課題
  ─原発差止仮処分を題材に─……中野宏典
 
現代型取引をめぐる裁判例(429)……升田 純
 
■判決録
<行政> 2件
<民事> 3件
<知的財産権> 1件
<労働> 1件
<刑事> 1件
 
◆最高裁判例要旨(平成二九年一二月分)


◆記 事◆

最高裁刑事破棄判決等の実情
 ──平成二八年度──……三上 潤
岐路に立つ裁判官(13)
 独立した司法が原発訴訟と向き合う④
 国民から信頼される司法への課題
  ─原発差止仮処分を題材に─……中野宏典
現代型取引をめぐる裁判例(429)……升田 純

◆判決録細目◆

行 政

◎一 内国法人に係る特定外国子会社等の行う地域統括業務が租税特別措置法(平成二一年法律第一三号による改正前のもの)六六条の六第三項にいう株式の保有に係る事業に含まれるとはいえないとされた事例
二 内国法人に係る特定外国子会社等の行う地域統括業務が租税特別措置法(平成二一年法律第一三号による改正前のもの)六六条の六第三項及び四項にいう主たる事業であるとされた事例

(最三判平29・10・24)

○弁護士会が行う懲戒処分の差止請求は行政事件訴訟法が定める差止めの訴えによるべきであり、これによらずに民事上の差止請求である独占禁止法二四条に基づく差止請求に係る訴えによることは不適法であるとして訴えが却下された事例

(東京高判平28・10・27〈原審:東京地判平28・4・14本誌2322号84頁掲載〉)

民 事

◎一 弁護士法二五条一号に違反する訴訟行為及び同号に違反して訴訟代理人となった弁護士から委任を受けた訴訟復代理人の訴訟行為につき、相手方である当事者が右各訴訟行為を排除する旨の裁判を求める申立権の有無
二 弁護士法二五条一号に違反することを理由として訴訟行為を排除する旨の決定に対し、自らの訴訟代理人又は訴訟復代理人の訴訟行為を排除するものとされた当事者が即時抗告をすることの許否
三 弁護士法二五条一号に違反することを理由として訴訟行為を排除する旨の決定に対し、当該決定において訴訟行為を排除するものとされた訴訟代理人又は訴訟復代理人が自らを抗告人とする即時抗告をすることの許否
四 破産管財人を原告とする訴訟において、破産者の依頼を承諾したことのある弁護士が被告の訴訟代理人として訴訟行為を行うことが、弁護士法二五条一号に違反するとされた事例

(最一決平29・10・5)

▽占有者の占有がかつての占有侵奪者の占有を侵奪することによって取得された場合の占有回収の訴えにつき、先行の占有侵奪から後行の占有侵奪までの期間、占有者の本権の存否・相当の理由の有無、占有侵奪の態様その他の諸般の事情を総合考慮し、権利の濫用として許されないとされた事例

(東京地判平28・8・24)

▽遺言者の咽喉部に装着された人工呼吸器のために発話が聞き取りにくい場合にその発話を聞き慣れた者を通訳人として作成された公正証書による遺言が有効とされた事例

(東京地判平27・12・25)

知的財産権

○一 存続期間が延長された特許権に係る特許発明の効力は、政令処分で定められた「成分、分量、用法、用量、効能及び効果」によって特定された「物」(医薬品)のみならず、これと医薬品として実質同一なものにも及ぶ
二 政令処分で定められた右構成中に対象製品と異なる部分が存する場合であっても、当該部分が僅かな差異又は全体的にみて形式的な差異にすぎないときは、対象製品は、医薬品として政令処分の対象となった物と実質同一なものに含まれ、存続期間が延長された特許権の効力の及ぶ範囲に属する
三 存続期間が延長された特許権に基づく製剤の製造販売等の差止請求について、同特許権の効力が及ばないことを理由に同請求を棄却した事例

(知財高判平29・1・20〈原審:東京地判平28・3・30本誌2317号121頁掲載〉)

労 働

▽社会保険庁廃止に伴う同庁職員らに対する分限免職処分について、一部の原告に関しては裁量権の範囲の逸脱又はこれを濫用した違法があるとされた事例

(東京地判平29・6・29)

刑 事

○検察官の供述調書の証拠調請求に対し「同意、ただし信用性を争う」と述べたのみで、これに対する積極的な弾劾活動を行わなかった弁護人の訴訟活動は被告人の重要な主張を無にするものであるのに、裁判所が、被告人にその同意が真意に沿うものであるかどうかの確認をとらず、当該書証を証拠排除しないで有罪認定の資料としたのは訴訟手続の法令違反であるとした事例

(大阪高判平29・3・14〈参考原審:大阪地判平28・10・24掲載〉)

◆最高裁判例要旨(平成二九年一二月分)

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