判例時報 No.2283
平成28年4月1日 号 定価:1466円
(本体価格:1333円+10%税)
<最新判例批評>
嶋崎健太郎 滝澤紗矢子 笠井 修 千藤洋三
山下典孝 宮澤俊昭 倉田原志
世界と日本における民法典の編纂と改正
──「中国の『法律外交』」の紹介を兼ねて──……加藤雅信
刑法判例と実務
──第四回 責任主義──……小林憲太郎
■判決録
<行政> 3件
<民事> 6件
<商事> 1件
<労働> 1件
<刑事> 1件
◆記 事◆
世界と日本における民法典の編纂と改正 ──「中国の『法律外交』」の紹介を兼ねて──……加藤雅信
刑法判例と実務 ──第四回 責任主義──……小林憲太郎
◆判決録細目◆
行 政
◎ 在外被爆者が日本国外で医療を受けた場合における、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律一八条一項の適用の有無
(最三判平27・9・8)
▽ 国立高専准教授の訓告等に関する独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律一三条一項に基づく保有個人情報の開示請求について不開示の処分が一部取り消された事例
(東京地判平27・6・25)
▽ 刑務所長が、服役中の受刑者と被収容者支援団体関係者との信書の発受を禁止する処分をしたことから、受刑者が原告となって、同処分は違法であるとしてその取消しを求めた事案について、刑務所長に裁量権があることを考慮しても、法の要件を充たすとした刑務所長の判断に合理的根拠や合理性があるものとはいえず違法であるとして、処分が取り消された事例
(千葉地判平27・4・21)
民 事
◯ 未成年者らの母を親権者として協議上の離婚がされたが、その後、親権者を母から抗告人(父)に変更した事例
(福岡高決平27・1・30)
▽ マンションの滞納管理費等につき居室の特定承継人である区分所有者の消滅時効の援用が信義則に反し、権利の濫用に当たるとされた事例
(東京地判平27・7・16)
▽ 弁護士の懲戒請求を担当した弁護士会、日本弁護士連合会の懲戒請求者に対する不法行為責任が否定された事例
(東京地判平27・7・22)
▽ 群馬県に所在するゴルフ場の経営会社の主張に係る逸失利益(風評損害)の発生、当該損害と福島第一原子力発電所事故との相当因果関係が否定された事例
(東京地判平27・7・1)
▽ インターネット上の動画サイトに投稿された動画の削除を命ずる仮処分の事例
(大阪地決平27・6・1)
▽ 差額分配法、利回り法、スライド法及び賃貸事例比較法による各試算賃料の平均値を適正賃料とする鑑定評価額算出方法を踏まえて、賃料減額請求を一部認容するとともに適正賃料と既払賃料との差額の返還等を認めた事例
(京都地宮津支判平27・8・28)
商 事
▽ 有価証券報告書等に虚偽の記載がされている上場株式を取得した投資家が当該虚偽記載がなくともこれを取得した場合における、右投資者に生じた損害額
(大阪地判平27・7・21)
労 働
▽ 更生管財人で更生会社の出資予定者であった株式会社企業再生支援機構のディレクターらが、更生会社の従業員等により組織する労働組合に対してした発言が、支配介入の不当労働行為に当たるとされた事例
(東京地判平26・8・28)
刑 事
▽ 家電量販店で万引きをした被告人に対し、行為時にNCSE(非けいれん性てんかん重積)による意識障害の状態(分別もうろう状態)にあった可能性が高いとした上、犯行時の行動や周囲の状況の詳細な認定に基づき、行動制御能力を有していたと認めるには合理的な疑いが残るとして心神喪失を認定した事例
(東京地立川支判平27・4・14)
判例評論
一七 国籍法上の国籍留保制度(国籍法一二条)と憲法一四条一項
(最三判平27・3・10)……嶋崎健太郎
一八 音楽著作権の管理事業者が放送への利用の許諾につき使用料の徴収方法を定めるなどの行為が、独占禁止法二条五項にいう「排除」の要件である他の事業者の参入を著しく困難にする効果を有するとされた事例
(最三判平27・4・28)……滝澤紗矢子
一九 建物建築請負契約における債務不履行に基づく解除の範囲
(東京地判平26・12・24)……笠井 修
二〇 相続放棄の熟慮期間の起算点は、相続債務の存在を知った時とすべきであるとされた事例
(福岡高決平27・2・16) ……千藤洋三
二一 死亡保険金受取人を法定相続人と指定した場合において、被保険者死亡後に法定相続人の一部の者が相続放棄に加えて保険金請求権の放棄又は受取拒絶の意思表示をしたとしても、これによってその者の保険金請求権が他の法定相続人に帰属するとも被保険者の相続財産に帰属するともいえないとされた事例
(大阪高判平27・4・23)……山下典孝
二二 干拓地の潮受堤防排水門の開放を命じた確定判決の間接強制として一人につき一日一万円の金銭の支払を命じたにもかかわらず、その履行がされなかったことにより、間接強制としての支払額を一人につき二万円に増額した原決定が維持された事例
(福岡高決平27・6・10)……宮澤俊昭
二三 大阪市労使関係条例に基づく学校施設使用不許可処分が裁量権の 逸脱・濫用にあたるとされた事例
(大阪地判平26・11・26)……倉田原志