判例時報 No.2350
平成30年1月1日 号 定価:1466円
(本体価格:1333円+10%税)
<最新判例批評>
近江幸治 小林 量 中内 哲
刑法判例と実務
──第二五回 共同正犯の成立要件──……小林憲太郎
■判決録
<行政> 1件
<民事> 4件
<刑事> 1件
◆記 事◆
刑法判例と実務
──第二五回 共同正犯の成立要件──……小林憲太郎
行 政
▽一 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律一一条一項に基づく原爆症認定申請に対する却下処分につき、申請に係る疾病の放射線起因性及び要医療性が認められるとして一部取り消された事例
二 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律一一条一項に基づく原爆症認定申請に対する却下処分につき、申請に係る疾病の要医療性が認められないとして適法であるとされた事例
(名古屋地判平28・9・14)
民 事
○譲渡禁止の特約のある指名債権の譲渡者の破産管財人は、特約の存在を知って譲り受けた者に対し、債権譲渡の無効を主張することができるとされた事例
(大阪高判平29・3・3〈参考原審:大阪地判平28・9・26掲載〉)
〇外国船舶の衝突事故に関する損害賠償請求に係る法律事務を受任した弁護士に善管注意義務の違反があったとして、委任契約における債務不履行責任が認められた事例
(広島高判平29・6・1〈参考原審:広島地判平28・4・19掲載〉)
▽カイロプラクティック施術によって僧帽筋の付着部の腱の断裂が生じたとして、損害賠償請求が認められた事例
(東京地判平28・11・9)
▽いわゆるAIJ投資顧問年金資産消失事件において、信託契約の受託者による、信託財産に属する債権と信託財産に属さない債権との間での相殺が有効とされた事例
(東京地判平28・11・25)
刑 事
〇暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、道路交通法違反保護事件において少年を第一種少年院に送致した決定に対する処分不当を理由とする抗告に関し、少年に対しては、直ちに施設に収容しなければならないほどの高い要保護性があるとまでは認められず、試験観察によって少年の動向を観察して在宅処遇の可能性を検討することもなく第一種少年院に送致した原決定の処分は、短期間の処遇勧告を付した点を踏まえてもなお、著しく不当であると判断し、原決定を取り消して本件を原裁判所に差し戻した事例
(大阪高決平28・11・10)
◆最高裁判例要旨(平成二九年九月分)
判例評論
四四 信用保証協会と金融機関との間で保証契約が締結され融資が実行された後に主債務者が中小企業者の実体を有しないことが判明した場合において、信用保証協会の保証契約の意思表示に要素の錯誤がないとされた事例
(最一判平28・12・19)……近江幸治
四五 匿名組合において、営業者の善管注意義務違反が肯定された事例
(最三判平28・9・6)……小林 量
四六 業務を中断し社外行事へ出席した労働者が業務への帰途で交通事故死したことが労災保険法上の「業務災害」にあたるとされた事例
──国・行橋労基署長(テイクロ九州)事件最高裁判決
(最二判平28・7・8)……中内 哲