現代型取引をめぐる裁判例（406）……升田　純

空家をめぐる法的問題 第五回──空家特措法上の代執行の手続と課題……西口　元

海外判例研究─―第２回─―

・憲法

　　多様な学生を確保するために人種を考慮要素の一つとするテキサス大学の入試制度（アファーマティブアクション）を合憲とした事例

　　実際には政治活動を行っていないにもかかわらず、政治活動を行ったと誤認して公務員に不利益を課すことは表現の自由を侵害することになるとした事例……大林啓吾

・民法

　　交通事故による損害賠償と被害者の特殊な体質に関する最高人民法院指導性案例二四号……胡　光輝

・刑法

　　いわゆるセルフレジに安価な商品のバーコードを読み込ませた上で、それよりも高価な商品を持ち出す行為に対してコンピューター詐欺罪ではなく窃盗罪を認めた事例……仲道祐樹

　　強盗罪が成立するには、暴行・脅迫による強要と財物奪取の目的的つながりに加えて、財物に関する占有者の処分の自由が強要により制限されたといえるような場所的時間的連続性を要するとされた事例……小池信太郎

・刑事訴訟法

　　死刑適用事件における刑の加重事由の認定への陪審員の関与が限定されているフロリダ州法が合衆国憲法第六修正に反すると判断された事例……緑　大輔

▽生活保護受給者に対する生活保護法二七条に基づく行政指導が違法であり、右行政指導に従わなかったことを理由とする生活保護停止処分も違法であるとして取り消された事例

▽建設業法二八条三項に基づく建設業者に対する営業等停止処分について、同法二八条一項三号の「業務に関し」に関する法解釈をした上で、同解釈によっては事実関係についてさらなる審理を尽くす必要があることを否定できず、現段階では「本案について理由がないとみえる」とまではいい難いなどとして、処分の効力を停止した事例

 

▽露店業者が警察署長に提出した道路使用許可申請書に記載された露店業者及び現場責任者の氏名等の情報が、三重県情報公開条例七条二号・三号の「事業を営む個人の当該事業に関する情報」に該当すると判断された事例

○激しい息切れを起こして入院した患者が、退院後ＤＩＣを発症して再入院し、他に転院した後多臓器不全等により死亡した場合、医師に退院の際の説明義務違反があり、患者の自己決定権を侵害したとして病院側の不法行為責任が認められた事例

▽精神科医が執筆し、月刊誌に掲載された「大阪府知事は『病気』である」と題する記事が同知事の名誉を毀損するとして損害賠償を求めた場合において、右記事における表現を意見ないし論評であるとした上で、名誉毀損による不法行為の成立を認めた事例

▽駐車場の賃貸借契約において、過去の浸水被害につき賃貸人の説明義務違反があったとして不法行為に基づく損害賠償請求が認められた事例

▽本件特許出願が発明者自身又は発明者から特許を受ける権利を承継した者によりされたことの立証がなく、特許法一二三条一項六号及び一〇四条の三第一項に基づき特許権の行使ができないとされた事例

○造船会社で稼働していた者の肺がんによる死亡について業務起因性が認められた事例

○強盗殺人罪から強盗致死罪への認定変更を求める再審請求が、刑訴法四三五条六号の「軽い罪」を認めるべき場合に該当するとした事例