判例時報 No.2138
平成24年3月21日 号 定価:838円
(本体価格:762円+10%税)
■判決録
<民事> 8件
<知的財産権> 2件
<商事> 1件
<刑事> 1件
■判決録
<民事> 8件
<知的財産権> 2件
<商事> 1件
<刑事> 1件
◆記 事◆
◆判決録細目◆
◎会社から取立委任を受けた約束手形につき商事留置権を有する銀行が、同会社の再生手続開始後の取立てに係る取立金を銀行取引約定に基づき同会社の債務の弁済に充当することの可否
○外国国家が所有する本邦所在の土地の開発契約及びこれに基づく同土地の地上権の取得について準拠法が争点となり、法の適用に関する通則法(以下「通則法」という。)附則二条、三条に基づき、開発契約については法例七条により当該外国法が、地上権の取得については通則法一三条により日本法が準拠法となるとし、物権行為の有因性・無因性の点も同条の射程に含まれる旨説示したほか、地上権取得に係る表見法理及び禁反言法理の準拠法についても同様の判断が示された事例
○飼い犬用のブレーキ付きひもについて、製造物責任法上の欠陥があるとされた事例
○外国籍を理由に国民年金を受給できなかったとしても、憲法一四条に違反しないとされた事例
▽損害保険会社が交通事故の被害者の損害賠償請求権を保険代位した場合、被害者とともに消滅時効が進行するとし、加害者の消滅時効の援用の効力が認められた事例
▽自律神経失調症で休職中の患者に対する産業医の言動が注意義務に違反するとして、その不法行為責任が認められた事例
▽戸籍事件について市長が職務を怠ったとは認められないとされた事案
▽受刑者の弁護士宛の発信を制限した刑務所長等の措置が違法であるとして、国家賠償請求が認容された事例
○安全後退用針を備えたカニューレ挿入装置の発明について、特許法二九条の二所定の先願発明と同一の発明ではないとした審決が維持された事例
○一 特許権者が、特許発明を実施する者に対し、特許権の侵害である旨の告知をしたことが、結果的に当該特許が無効にされるべきものとして権利行使が許されないため、競業者の営業上の信用を害する結果となる場合において、不競法二条一項一四号による損害賠償責任の有無を検討するに当たっては、特許権者の権利行使を不必要に萎縮させるおそれの有無や、営業上の信用を害される競業者の利益を総合的に考慮した上で、違法性や故意過失の有無を判断すべきものである
二 特許権を侵害する旨の告知をした後に、結果的に本件特許が無効にされるべきものとして権利行使が許されないとされ、競業者の営業上の信用を害する結果となる場合において、当該特許の無効理由が告知行為の時点において明らかなものではなく、新規性欠如といった明確なものではなく、無効理由について特許権者が十分な検討をしなかったという注意義務違反を認めることはできないこと、告知行為の内容ないし態様が社会通念上著しく不相当であるとはいえず、本件特許権に基づく権利行使の範囲を逸脱するものとまではいうこともできないことから、少なくとも故意過失がないとして、不競法二条一項一四号所定の損害賠償責任はないとされた事例
▽損害保険会社を当事会社とする共同株式移転における株式移転比率の合意について、取締役に善管注意義務違反となるべき任務懈怠があるとはいえないとされた事例
◎一 被害者の証人尋問において、捜査段階で撮影された被害者による被害再現写真を示すことを許可した裁判所の措置に違法がないとされた事例
二 証人に示した写真を刑訴規則四九条に基づいて証人尋問調書に添付する措置について、当事者の同意は必要か
三 独立した証拠として採用されていない被害再現写真を示して得られた証言を事実認定の用に供することができるか
◆最高裁判例要旨(平成二三年一二月分)