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判例時報 No.2139
             平成24年4月1日 号 定価:1466円 (本体価格:1333円+10%税)

<最新判例批評>
 木村弘之亮 生熊長幸 山口成樹 福本知行 久保田安彦 北川佳世子
 
■判決録
<民事> 7件
<知的財産権> 3件
<労働> 1件
<刑事> 1件


◆判決録細目◆

民 事

◎一 建築基準法等の法令の規定に適合しない建物の建築を目的とする請負契約が公序良俗に反し無効とされた事例
二 建築基準法等の法令の規定に適合しない建物の建築を目的とする公序良俗違反の請負契約に基づく本工事の施工が開始された後に施工された追加変更工事の施工の合意が公序良俗に反しないとされた事例

(最二判平23・12・16)

◎いわゆるリボルビング方式の貸付けについて、貸金業者が貸金業の規制等に関する法律(平成一八年法律第一一五号による改正前のもの)一七条一項に規定する書面として交付する書面に個々の貸付けの時点での残元利金につき最低返済額を毎月の返済期日に返済する場合の返済期間、返済金額等の記載をしない場合、当該貸金業者は、最高裁平成一七年〓受第五六〇号同年一二月一五日第一小法廷判決・民集五九巻一〇号二八九九頁の言渡し日以前であっても、過払金の取得につき民法七〇四条の「悪意の受益者」であると推定されるか

(最一判平23・12・1)

○一 外国製高級車の交通事故に基づく物損の範囲について、休車損、代車費用及び評価損がいずれも否定された事例
二 一審手続で成立した交通事故の損害額の一部に関する自白について、控訴審においてその撤回が認められた事例

(名古屋高判平23・7・14)

○異常な挙動をした者を保護した警察官が猿ぐつわをして心肺停止にしたことに過失があったとして、国家賠償請求が認容された事例

(仙台高判平23・11・8)

▽一 豊洲新市場予定地の土壌サンプルについて、人格権及び安全配慮請求権に基づく廃棄差止請求権の有無(消極)
二 豊洲新市場予定地の土壌汚染状況についての説明義務違反に基づく損害賠償請求権の有無(消極)

(東京地判平23・12・22)

▽一 不動産証券化商品の勧誘において、レバレッジリスクについての説明義務違反が認められた事例
二 商品の仕組みとして同一性を有する複数の不動産証券化商品に継続的に投資が行われた場合の損害額算定方法
三 不動産証券化商品の勧誘において一の説明義務違反がある事案で、不動産価格の下落による元本毀損部分について、同義務違反との相当因果関係が認められないとされた事例
四 不動産証券化商品の勧誘において一の説明義務違反がある事案で、過失相殺の主張が認められなかった事例

(東京地判平23・12・7)

▽新生児に黄疸が発症し脳性麻痺の後遺障害が残った場合、担当医師に光線療法の開始が遅れた義務違反があるとして、病院側の不法行為責任が認められた事例

(大阪地判平23・2・18)

知的財産権

○引用発明の組合せにより発明の進歩性を否定した審決が、審判手続に違法がある上、引用発明の適用にも誤りがあるとして取り消された事例――逆転洗濯伝動機事件判決

(知的財産高判平23・10・4)

○折り紙折り図についての著作権侵害及び著作者人格権侵害が争われた事案において、被告による被告折り図の作成ないし被告のホームページへの掲載行為は、原告の折り紙折り図について有する著作権ないし著作者人格権を侵害しないなどと判断された事例

(知的財産高判平23・12・26)

▽一 商品「洋菓子」は、役務「洋菓子の小売」と類似するとされた事例
二 ドメイン名につき商標としての使用が認められた事例

――モンシュシュ事件第一審判決
(大阪地判平23・6・30)

労 働

▽一 子会社の事業再編成をめぐる労働条件の問題について、従前からの親会社及び当該事業再編成に伴い持株会社として設立された親会社が、いずれも当該子会社の従業員(組合員)との関係で労働組合法七条の「使用者」に該当しないとされた事例
二 事業再編成等に伴う労働条件の変更を協議及び同意の対象とする労働協約中の事前協議・同意条項の効力について、少なくとも、労働条件の変更を含む当該経営上の措置が使用者にとって必要やむを得ないものであり、かつ、これについて労働組合の了解を得るために使用者として尽くすべき処置を講じたのに、労働組合の了解を得るに至らなかったような場合において、使用者が一方的に当該経営措置を実施することを妨げるものではないとされた事例

(東京地判平23・5・12)

刑 事

◎一 訴訟条件である告発の事実を上告審において認定する方法
二 訴訟条件である告発の調査を怠った一、二審の法令違反と上告審において告発の事実を認定することができる場合の判決への影響の有無

(最二決平23・10・26)

判例評論

<総合研究>

行政裁量の手続的審査の実体(下)―ー裁量基準の本来的拘束性……常岡孝好

<最新判例批評>

一七 Limited Partnership の性格決定とその税法上の取り扱い

(大阪地判平22・12・17)……木村弘之亮

一八 競売不動産の元所有者の買受人に対する固定資産税等の日割精算額の不当利得返還請求が否定された事例

(大阪地判平23・2・7)……生熊長幸

一九 通信社からの配信記事を掲載した新聞社が、当該記事中の他人の名誉を毀損する摘示事実を真実と信ずべき相当の理由

(最一判平23・4・28)……山口成樹

二〇 一 数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて共同訴訟人の一人が上告を提起した後にされた他の共同訴訟人による上告の適否

 二 数人の提起する養子縁組無効の訴えにおいて共同訴訟人の一人が上告受理の申立てをした後にされた他の共同訴訟人による上告受理の申立ての適否
(最一決平23・2・17)……福本知行

二一 楽天対TBS株式買取価格決定申立事件許可抗告審決定

(最三決平23・4・19)……久保田安彦

二二 明石砂浜陥没事件における因果経過の予見可能性――明石砂浜陥没死事件上告審決定

(最二決平21・12・7)……北川佳世子

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