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判例時報 No.2165
             平成24年12月21日 号 定価:838円 (本体価格:762円+10%税)

■判例特報
 携帯電話機向け魚釣りゲーム訴訟控訴審判決
  (知的財産高判平24・8・8)
 
■判決録
<行政> 1件
<民事> 6件
<知的財産権> 1件
<商事> 1件
<刑事> 1件


◆記 事◆

医事関係裁判における鑑定機能強化のための新たな取組み

 ~千葉地方裁判所における「鑑定書作成の手引」の試みについて~……白石史子・村松悠史・酒井直樹

現代型取引をめぐる裁判例 (316)……升田 純

海外刑法だより(331)国内汚職の犯罪学……森下 忠

◆判例特報◆

 一 携帯電話機用釣りゲームにおける魚の引き寄せ画面及び主要画面の変遷について、アイデアなど表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において同一性を有するにすぎず、表現上の本質的な特徴を直接感得することができないとして、翻案が否定された事例
二 携帯電話機用釣りゲームの冒頭に登場する画面ではなく、ゲームの途中で登場する一画面又はそれに類似する画面にすぎないものであり、ゲームの全過程にわたって繰り返されて長時間にわたって画面に表示されるものではない影像は、不正競争防止法二条一項一号所定の周知な商品等表示に当たらない
三 ある行為が著作権侵害や不正競争行為に該当しないものである場合、著作権法や不正競争防止法が規律の対象とする著作物や周知商品等表示の利用による利益とは異なる法的に保護された利益を侵害するなどの特段の事情がない限り、不法行為を構成しない

――携帯電話機向け魚釣りゲーム訴訟控訴審判決(知的財産高判平24・8・8)

◆判決録細目◆

行 政

▽自転車競技法(平成一九年法律第八二号による改正前のもの)四条二項に基づく場外車券発売施設の設置許可処分の取消訴訟において、当該施設の周辺に医療施設を開設する原告らに原告適格を認めた上、いわゆる位置基準適合性を認めて右許可処分をした経済産業大臣の判断に、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるということはできないから、右許可処分は適法であるとして、原告らの請求がいずれも棄却された事例

(大阪地判平24・2・29)

民 事

○原判決の説示に民訴規則一七〇条一項に基づき調書記載が省略された証人の証言等が挙げられたことは手続上違法であるが、判決に影響を及ぼすことが明らかではないとして上告が棄却された事例

(東京高判平24・7・25)

▽特別地方公共団体であるYが都市計画の情報提供のために作成した図面(「墨田区都市計画図(S一/八〇〇〇)」)上の高度地区の表記が誤っていたとして、その表記を前提にマンション建築事業を計画し、その後表記の誤りが判明して同事業を断念した不動産業者Xに対するYの損害賠償責任が認められた事例

(東京地判平24・2・8)

▽内閣官房長官(当時)のセクシュアル・ハラスメント発言を取り上げた週刊誌の記事は、その重要な部分について真実性の証明があるとして、名誉毀損を理由とする損害賠償等請求が棄却された事例

(東京地判平24・6・12)

▽電気通信事業者が消費者と締結した携帯電話を利用する電気通信役務提供契約中のインターネット通信サービスの利用料が予想外の高額となったことにつき、利用する消費者に対し、その支払料金拡大防止のための通知等による注意喚起をする義務を怠ったとして、消費者に対する債務不履行による損害賠償責任が認められた事例

(京都地判平24・1・12)

▽製造物責任法五条一項所定の除斥期間の適用による損害賠償請求権の消滅が認められた事例

(神戸地尼崎支判平24・5・10)

▽県が松くい虫防除のために行った薬剤散布によって、化学物質過敏症を発症し、高血圧、めまい及び不安症が発症ないし増悪したとの主張が排斥され、右散布行為と右症状との間の因果関係が認められなかった事例

(宮崎地判平24・7・2)

知的財産権

○「PAG」「Point AD Game」の文字、符号及び図形からなる商標(本願商標)と「PAG」(引用商標)とは、外観において相違し、観念及び称呼が類似するとまではいえないとして、拒絶査定不服審判請求の不成立審決が取り消された事例

(知的財産高判平23・10・24)

商 事

▽任期一〇年の取締役の業績不良を理由とする解任につき、解任取締役が求めた不当な解任を理由とする損害賠償請求が棄却された事例

(横浜地判平24・7・20)

刑 事

◎刑訴法四四八条二項による刑の執行停止決定に対する不服申立ての方法

(最三決平24・9・18)

◆最高裁判例要旨(平成二四年九月分)

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